経営課題では、人材確保・育成、DX・AI活用など「人材と組織の変革」が上位
人事部が経営戦略へ関与する企業では、売上高・利益率が増加した割合が高い傾向
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労働力不足を背景に経営課題が「ヒト」に集中する一方、AIの普及や働き方改革など、人事部を取り巻く環境は大きく変化しています。調査の結果、人事課題の重心は2021年調査※1と比べ、既存人材の「定着・活躍支援」へシフトしていることが分かりました。一方、人事部の多くが人員・専門性不足に悩み、経営戦略やDX推進といった「攻め」の領域に十分関与できていない実態も明らかになりました。
また、人事部が経営戦略へ関与する企業ほど売上高・利益率が増加する傾向がみられ、こうした戦略人事※2の実現には、「処遇の市場化」や「職務範囲の脱・属人化」など5つの要素(5 Essentials)が重要であることが分かりました。
人事部の戦略的パフォーマンス※3が高いと財務パフォーマンスも良好

※1
2021年パーソル総合研究所「人事部大研究」
※2
戦略人事とは、経営戦略と連動した人材戦略のもと、人と組織を通じて事業成果に貢献する人事のあり方を指す。
※3
本調査では、戦略人事の発揮度合いを「人事部の戦略的パフォーマンス」と定義し、それを高める要因と阻む要因を分析した。

人事課題は、「従業員満足度・エンゲージメントの向上」、「最適な人員配置」、「従業員の定着/離職防止」が上位にあがる。人材を確保するだけでなく、既存人材の活躍・配置・定着をどう高めるかが、人事課題の中心になっている。


人事部の内部課題:人事部の内部課題は、人員不足や専門性不足が上位にあがる。業務量に対して十分な体制を確保しきれていないことに加え、企画構想力やビジョン・目的の共有にも課題が見られ、結果として人事部門は攻めよりも守りの機能に偏りやすい状況にある。

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戦略人事とは、経営戦略と連動した人材戦略のもと、人と組織を通じて事業成果に貢献する人事のあり方を指す。その発揮度合いを「人事部の戦略的パフォーマンス」と定義し、それを高める要因と阻む要因を分析。


上記結果より、戦略人事のための5つの重要な要素(5 Essentials)をまとめた。人事・従業員の2つの観点に分けられ、職務範囲の属人性を脱すること、処遇を市場水準と照らして差をつけること、タレントデータの一元化、自律的キャリア選択、社内/外の雇用の流動性が重要な要素である。

5つの重要な要素の細目について、実態を見た。特に、管理職の等級の属人性(57.1%)は半数超が該当する一方、昇降格基準の明確な共有(22.2%)、評価のメリハリ(26.6%)、社内公募中心の異動(25.9%)は2〜3割の企業しか実現できていない。

人事部の戦略的パフォーマンスにネガティブに影響する要素:人事部の戦略的パフォーマンスにネガティブに関連している要素は、人事部門の企画構想力の低さ、事業部門とのコミュニケーションが不足していること、人事部門全体に共通するビジョンや目的がないこと。全体で3-4割の企業でこうした特徴が見られる。


人事部内のAI活用:人事部でAIを日常活用している企業は約4割。活用業務は「一般的な事務・デスクワーク」が最も高く、「人事評価・タレントマネジメント」「研修・人材開発」が続く。まずは文書作成・要約・確認、評価コメント作成、研修資料作成など、既存業務を支援する領域から活用が広がっている。

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2022年パーソル総合研究所「賃金に関する調査」

賃上げ判断のための要素:「物価動向」が29.7%で最上位。次に「従業員の離職防止」「優秀人材の採用強化」が続く。小サンプルのため参考だが、4年前と比較すると、「予算達成度や業績の良し悪し」の要素が大きく減少した。


働き方改革関連施策の弊害:「管理職への負担が増えた」が4割を超え、圧倒的に高い。さらに、残業施策の数が多い企業ほど、「管理職への負担が増えた」「アイデアを練る/品質を高めるための時間が減った」の回答がさらに多くなる。


パーソル総合研究所
上席主任研究員
佐々木 聡
今、労働力不足の中で、企業の経営課題はますます「ヒト」の課題に集中してきた。そうした中、人事課題の重心は既存の人材が長く活躍し続けるための「定着・活躍支援」へとシフトし、「攻めより守り」という姿勢がより鮮明になりつつある。
AIの組織普及や次世代リーダー育成など、経営戦略的な領域への関与が限定的で、昨今のビジネス戦略に人事が取り残されつつある側面が垣間見える。また、過去の調査と比較して、人事組織の社内における位置づけがやや下降して見えることにも、注意が必要だろう。
本調査からは、人事が戦略的にパフォーマンスを発揮するためには、「処遇の市場化」、「職務範囲の脱・属人化」、「タレントデータの一元化」、「自律的キャリア選択」、「社内/外の雇用流動化」という5つが重要な要素として抽出されている。一方で、ビジョンや企画構想力の欠如、事業部門との連携の不足といった状況は、パフォーマンスを押し下げている。
人事部門が取り組むべきことは、自社の事業戦略を見据えた上で、❶まず自らの組織目的を問い直し、戦略人事を推進していくための指針となる人事ポリシーを定めること、❷HRBPを主軸に事業戦略と人材戦略を再接続すること、❸人材データの一元化による配置・育成の高度化を進めること、そして、❹経営とのコミュニケーションを密にし、自社ビジネスへの感度を高めること、❺従業員の報酬と市場価値との乖離を埋めていくことだ。 ますますAIAIが経営戦略に組み込まれていく中で、「人と組織」の意思決定が人事の外側で進んでいけば、人事部が存在感を失っていく事態になりかねない。こうした取り組みを通じて、人事部門が実務運営の担い手ではなく、経営と事業の成長を支える戦略パートナーへと進化していくことが期待される。
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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/hr-trend2026/
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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
| 調査名称 | パーソル総合研究所 「人事部トレンド定量調査2026」 |
|---|---|
| 調査内容 | ・企業の経営課題・人事課題と、人事施策の実施状況を明らかにする。 |
| 調査対象 | ・対象者:全国の係長以上の正規雇用者および会社経営・会社役員、20~64歳男女 |
| 調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
| 調査時期 | 2026年 3月4日 – 3月16日 |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
株式会社パーソル総合研究所 広報
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