AI ヘビーユーザーの中でも「メタ・スキル」※の高低で業務成果に最大3.6倍差
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多くの企業で生成AIの導入やAI投資が急速に進む中、AI時代に成果を生み出す人材・マネジメント・組織の条件を明らかにするため、「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」を実施しました。
AIの活用による業務効率化の実感が広がる一方、AIを「便利なツール」として活用するにとどまり、企業価値や労働生産性の向上といった十分な価値創出には結び付いていません。 そこで本調査では、その違いを生み出す人材・マネジメント・組織の特徴について分析しました。
その結果、業務の成果を大きく左右する要因の一つはAIの活用量そのものではなく、情報収集や優先順位づけ、実地検証などの「メタ・スキル」であることが分かりました。同じAIヘビーユーザーでも、メタ・スキルの高低によって業務成果に最大3.6倍の差が見られました。また、高い成果を上げる人材には、強い好奇心や多面的・長期的な視点を備える傾向が見られました。
AI時代の成果は「AIを使う量」ではなく「メタ・スキル」で決まる

※メタ・スキル
本調査における「メタ・スキル」とは、AI活用において成果につながる「集める(構造的整理)」「決める(優先順位づけ)」「確かめる(実地検証)」「壊す(レジリエンス)」「蓄える(組織知の更新)」といった能力の総称。

性年代別では低利用層ほど伸びが大きく、利用格差は縮小の傾向。役職別でも管理職層は軒並み+10〜17pt増加した。一方、専門職・エキスパート職のみ35.2%→35.7%(+0.5pt)とほぼ横ばいで、全属性の中で伸び悩みが目立つ。

AI活用時における業務課題は、「欲しい回答を得るために、指示を何度も出し直すことがある」「業務の前提や背景を、生成AIに入力するのが負担である」が上位。

組織課題は、「AIの教育・サポートが正式な業務や評価に位置づけられていない」「データが部署ごとに分断され、横断利用しづらい」「手順が人ごとに異なり、例外が多い」が3割を超え、上位。

AI活用が進むほどに、業務課題も組織課題もともに全体的に大きくなっている。業務課題では指示の出し直しや社内ルールによる使いにくさ、組織課題では旧システムとの連携困難や推進チームの情報が現場に落ちにくいなどの課題が特に大きくなる。


AI活用が進むほど「上司よりAIに相談」が増加:メンバー層に対して、AIと上司を比較したときの評価を尋ねたところ、「情報処理・整理ができる」「相談する頻度が多い」「学びや学習について支援してくれる」について、AIヘビーユーザーほど「AIのほうがあてはまる」と回答する割合が高い傾向にあった。

AIを活用して業務上の成果を達成しているハイパフォーマー の特性を分析した。より多角的に分析するため、AIを使っていないハイパフォーマーの特性とも比較を行った。
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個人のAI利用頻度と上司・同僚のAI利用頻度との相関係数はそれぞれ0.602/0.601と高いため、個人利用を軸に「AI環境」と表記している。

非AI環境とAI環境それぞれにおけるハイパフォーマー/ローパフォーマーの特性の差: ハイパフォーマーとローパフォーマーの差が大きく表れる特徴について、AI環境と非AI環境のそれぞれで比較した。非AI環境では「相談力」「対人感情のケア」「対人関係調整」など対人特性との関連が強かった一方、AI環境では好奇心やレジリエンス、メタ視点など思考特性との関連が強かった。
非AI環境とAI環境それぞれのハイパフォーマーの特徴


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メタ・スキル:本調査における「メタ・スキル」とは、AI活用において成果につながる「集める(構造的整理)」「決める(優先順位づけ)」「確かめる(実地検証)」「壊す(レジリエンス)」「蓄える(組織知の更新)」といった能力の総称。
AI環境のハイパフォーマー特性:AI環境のハイパフォーマーは、「閃く(アニマル・スピリット)」と「練る(立体思考)」という思考・マインドをベースに、「集める」「決める」「確かめる」「壊す」「蓄える」という上流・下流工程のメタ・スキルが高い。AIと協働して成果を生み出し、その知見を次の業務へ生かす「AIとの価値共創ループ」を回す人材が成果を上げている。

思考・マインドとAIの使い方:アニマル・スピリットが高い者は、AIを新しいアイデアや発想の素早い拡散ツールとして用いている。立体思考が高い者は、自分の考えを深めるトリガーとしてAIを使っている様子が見られる。


非AI環境/AI環境における有効なマネジャー特性


AI利用者はインプット型学習行動に傾く:AI継続利用群※は、この半年で「AIの使い方・活用に関する学習」を筆頭に、「趣味の読書」「勉強会・セミナー参加」などが増加。一方、アニマル・スピリットと正の関係にあった「資格取得」「副業・兼業」などは減少し、学習行動の重心が「実践型」から「インプット型」へややシフトしている。

AIを使い続けてもアニマル・スピリットは育たない:アニマル・スピリットが高い層ほど、早い時期からAIを活用している。その一方で、追跡調査として2025年調査時点からAIを継続的に利用している人の半年間の変化を見ても、アニマル・スピリットの上昇はほとんど見られない。

AI環境の思考・マインドを育てる学習:分析結果を総合的に整理すると、AI環境において人の思考・マインドを育てるためには、リアルとの接点と実践を重視する「冒険探索型」と思索を深め前提を相対化する「認知拡張型」の学びの双方が必要であることが示唆される。


パーソル総合研究所
主席研究員
小林 祐児
ここ数年間、世界中の企業がテクノロジーの進歩に遅れまいと自社のAI普及に努め、投資を積み重ねてきた。しかし、マクロな指標を見ても、表面的なAI活用が組織成果につながっている企業は想定以上に少ない。目の前のタスクが速く終わる実感と、組織全体の労働生産性・価値創出の間には、深い断絶が存在する。
本調査は、AI環境において実際に成果を出している個人・マネジャー・組織それぞれの特徴を定量的に描き出した。
個人のパフォーマンスの成否を分けたのは、「アニマル・スピリットと立体思考」というマインド、そして上流・下流工程のメタ・スキルである。タスク実行工数がAIで圧縮されるなかで、AIとの価値共創ループを回すメタ・タスクの質が重要になっていることが示唆された。マネジャーの役割や育成、組織的意思決定も、このループを円滑に回すための支援が有効になっている。
ここから示唆されるのは、AIは「仕事の効率化ツール」ではなく、人材ポリシーと組織デザインを書き換えるトリガーになるべきということである。それはつまり、AI「を」一歩先に進めるフェーズから、AI「と」先に進むフェーズに移ることを意味する。そのフェーズの移行が進まない場合、そう遠くない未来、AI投資は「過去の失敗」として語られることになりそうだ。
AI環境における人と組織の指針

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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/ai-management/
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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
| 調査名称 | パーソル総合研究所 「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」 |
|---|---|
| 調査内容 | ・就業者における生成AIの利用実態と経年変化を明らかにする。 |
| 調査対象 | スクリーニング調査:全国の就業者 n=20,000、本調査:正規雇用者 n=3,300、 |
| 調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
| 調査時期 | 生成AI利用群:2025年10月24日 – 10月26日/生成AI非利用群:2025年10月27日 – 10月28日 |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。 さまざまな事業・サービスを通じて、はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
株式会社パーソル総合研究所 広報
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