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パーソル総合研究所 「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」
スクリーニング調査:全国の就業者 n=20,000、本調査:正規雇用者 n=3,300、
本調査は、2025年10月調査回答者の追跡調査(継続群)と、新規サンプル調査(新規群)で構成。内訳は以下の通り:

スクリーニング調査は、労働力調査に基づく全国就業者の性別×年齢(10歳階級)構成比で割付。
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
継続調査群:2026年4月22日 – 5月7日/新規調査群:2026年4月23日 – 5月7日
株式会社パーソル総合研究所
正規雇用者の生成AI業務利用率は、2025年10月の41.9%から2026年5月には54.3%へ12.4pt増加。週4日以上使うヘビーユーザーが15.6%から21.1%(+5.5pt)、週1〜3日のミドルユーザーも16.1%から20.7%(+4.6pt)に増え、単なる普及ではなく「使う人がより使う」フェーズに入った。
性年代別に生成AI業務利用率を見ると、2025年から2026年にかけて、男性50代や女性60代などの低利用層ほど伸びが大きく、世代格差は縮小傾向。
役職別においては、「代表取締役・社長相当」が40.2%から57.5%(+17.3pt)など、管理職層は軒並み10〜17pt増加した。一方、「専門職・エキスパート職」のみ35.2%から35.7%(+0.5pt)とほぼ横ばいで、全属性の中で伸び悩みが目立つ。
こうした普及の先で見えてくるのが、AI活用に伴う課題である。
業務課題では、欲しい回答を得るために、指示を何度も出し直すことがある(49.7%)」「業務の前提や背景を、生成AIに入力するのが負担である(38.0%)」が上位。
組織課題では、「AIの教育・サポートが正式な業務や評価に位置づけられていない(32.5%)」「データが部署ごとに分断され、横断利用しづらい(31.9%)」「手順が人ごとに異なり、例外が多い(31.0%)」が上位。
さらに、AI活用は働く人の相談行動にも影響している。
AIヘビーユーザーでは、「人よりAIに話すほうが気楽」と答えた割合が31.6%に達し、ライトユーザーの20.1%に比べ、大きく差がある。AI利用は、利用者を対人コミュニケーションから遠ざける可能性が示唆される。
AI環境(AIヘビー利用職場)において最適な組織の全体像を、4つのレイヤー「1.個人の思考・行動」「2.上司のマネジメント」「3.組織デザイン」「4.育成と経験」に分けて分析した。
ハイパフォーマーとローパフォーマーの差が大きく表れる特徴について、AI環境と非AI環境のそれぞれで比較した。非AI環境では「相談力」「対人感情のケア」「対人関係調整」など対人特性との関連が強かった一方、AI環境では好奇心やレジリエンス、メタ視点など思考特性との関連が強かった。
さらに、同じAIヘビーユーザーであっても、メタ・スキルが高い層は、仕事のやり方の見直し、成果水準の向上、業務スピード向上などの点において、低い層の3.3〜3.6倍の成果を創出している。AI活用の成果は、メタ・スキルの差に直結しているといえる。
AI環境のハイパフォーマーの特性をまとめると、次のようになる。まずベースに、「やってみたい!」を行動に移す衝動的な「閃く(アニマル・スピリット)」と、物事を二分法で考えず複数の視点と長い時間軸で考える「練る(立体思考)」という思考・マインドがある。その上で、AIとの価値共創における設計、試行・実行、最適化の各フェーズで、「集める(構造的整理)」「決める(優先順位づけ)」「確かめる(実地検証)」「壊す(レジリエンス)」「蓄える(組織知の更新)」というメタ・スキルが高い。こうした思考・マインドとメタ・スキルを用いてAIと人の価値共創ループを回す人材が成果を上げている。
AI環境におけるハイパフォーマーを支えるには、上司・マネジャーの役割も変わる。
AI環境と、非AI環境における、部下パフォーマンスを引き出すマネジメント行動を分析したところ、「迅速な判断」は共通するが、AI環境においては「仕事の枠を示す」「裁量の提示」「思考の深さを問う」「学びへの接続」などのマネジメント行動が有効であることが示唆された(図表8)。
非AI環境では、仕事の「入口(方針・前提)」と「出口(品質・妥当性)」を押さえることが、部下の成果に紐づくのに対して、AI環境では、仕事の意図や前提を明確にし、部下の思考の深さを問い、学びへ接続する支援が成果に結びつく。そのため、マネジャーはAIと人の価値共創ループを整えるチューナー役になる必要がある(図9)。
組織的にAI活用のパフォーマンスの高い組織の特徴を見ると、新しい仕事やテーマが生まれた際の受け皿がある「変化対応の受け皿」、判断が滞りやすいテーマについて決める場が設計されている「意思決定の場」、プロジェクトやテーマ単位で横断的な活動がデザインされている「部門間連携」といった項目が有意に関連している。つまり、AI活用で組織的成果を出せるよう「組織のAI 最適化」を進めるには、「変化の受け皿の用意」「意思決定の秩序」「機動的なヨコ連携」が重要といえる。
これら「組織のAI最適化」に重要な3つの要素が高い組織ほど、業務標準化、生産性、ビジネス変革の成果が高くなっている。一方、低い組織では、成果が低いだけでなく、業務の進捗管理や交渉・調整が現場上司に集中し、管理職負荷が高くなっている。
さらに中長期では、人材育成の設計も問われる。AI環境で重要な思考・マインドを育てるには、現場や対人のリアルな接点を持つ「手触り経験」、組織や人を俯瞰する「見渡し経験」、組織を越境し挑戦する「踏み出し経験」が必要。
「手触り経験」と「見渡し経験」は、経験回数が多い層ほど、AI環境のハイパフォーマーの特性である「立体思考」と「アニマル・スピリット」のスコアが高く、正の関連が確認された。
しかし、実際には学びの重心が実践からインプットに寄る傾向が見られる。2025年から継続的にAIを利用する層では、直近半年で「AIの使い方・活用に関する学習」を筆頭に、「趣味の読書」「勉強会・セミナー参加」などインプット型の学習が増加。一方、アニマル・スピリットと正の関係にあった「資格取得」、「副業・兼業」などは減少している。
ここ数年間、世界中の企業がテクノロジーの進歩に遅れまいと自社のAI普及に努め、投資を積み重ねてきた。しかし、マクロな指標を見ても、表面的なAI活用にとどまり、組織成果につながっている企業は想定以上に少ない。目の前のタスクが速く終わる個人の実感と、組織全体の労働生産性・価値創出の間には、深い断絶が存在する。
本調査は、AI環境において実際に成果を出している個人・マネジャー・組織それぞれの特徴を定量的に描き出した。
個人のパフォーマンスの成否を分けたのは、「アニマル・スピリットと立体思考」というマインド、そして上流・下流工程のメタ・スキルである。タスク実行工数がAIで圧縮される中で、AIとの価値共創ループを回すメタ・タスクの質が重要になっていることが示唆された。マネジャーの役割や育成、組織的意思決定も、このループを円滑に回すための支援が有効になっている。
ここから示唆されるのは、AIは「仕事の効率化ツール」ではなく、人材ポリシーと組織デザインを書き換えるトリガーになるべきということである。それはつまり、AI《を》一歩先に進めるフェーズから、AI《と》先に進むフェーズに移ることを意味する。そのフェーズの移行が進まない場合、そう遠くない未来、 AI投資は「過去の失敗」として語られることになりそうだ。
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」
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