一方で、組織成果にプラスの一部行動は、職場で十分に実践されていない
フォロワーシップ行動における、影響度×実施度×上司評価とのズレを可視化
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近年、マネジメントへの負荷や難度が増す中で、組織運営をリーダー個人の力量のみに依存する体制には限界が指摘されています。組織のパフォーマンスを高めるには、リーダーと対になる存在である部下(フォロワー)が、職場や組織にどのように関与し、行動しているかが重要となります。
本調査では、部下の5つのフォロワーシップ行動が、組織の成果と関連が高いことが明らかになりました。一方で、組織成果との関連が高い行動の一部は、職場での実施度合いが低く、上司からも重視(評価)されにくい傾向が確認されています。また、フォロワーシップが育つ組織の特徴や、職場における条件についても明らかにしています。
本調査は、現代の職場においてメンバー層に求められる有効なフォロワーシップ行動を明らかにし、それを引き出すための実践的なヒントを得ることを目的として実施いたしました。
上司の「評価が高い」フォロワーシップ行動(左図)
組織成果にプラスの一部フォロワーシップ行動は、上司に見過ごされやすい実態(右図)

本調査における「フォロワー」の定義:
職場において部下の立場で業務遂行する者であり、正規雇用者における係長未満の一般職層
フォロワーシップとは:
組織の目標達成のために、フォロワーが自律的かつ主体的に考え、行動すること


タイプごとに得意な行動・苦手な行動(消極性)が異なる:フォロワーのタイプ別に「多い属性」「フォロワーシップ行動・マインド」「消極性」をまとめた。全体として万能はタイプはおらず、積極的タイプ・消極的タイプのいずれにも、特徴的な得意行動と消極的行動が見られた。



フォロワーシップ行動の年代別の特徴:男女ともに20代から40代にかけてフォロワーシップ行動全体が減少していく傾向が見られた。一方で、男女ともに60代の行動全体がかなり高い傾向にあるが、今回調査は、正規雇用社員を対象としており、一般的な60歳以上の中でもそもそも意欲や能力の高いメンバーが相対的に多く含まれている可能性がある。



上司から見た優秀なフォロワーの行動と、その行動が組織パフォーマンスに与える影響度をマッピングした。
右下の象限に入る「学び共有」と「本音発言」は、組織に良い影響を与えているものの、あまり上司からは重視されていない。フォロワーシップ行動には、上司からの「盲点」が存在することが示唆される。

フォロワーのタイプ別成果・評価と幸せ実感:フォロワーのタイプ別に各種成果指標の違いを見た。組織パフォーマンスが高い「「職人」「気づかい」「まとめ役」タイプは人事評価が低めで、組織パフォーマンスが低めの「自己成長」「批判者」タイプは人事評価が高いという逆転した関係がみられる。
「自己成長」タイプははたらく幸せ実感と不幸せ実感がともに高いという特徴もある。


タテの対話関係とヨコの感情交流という2つの要素の高低をもとに、4つの類型に分類して分析した。ヨコの感情交流だけが強い職場は、寄り添いは盛んだが本音の意見がでず、いわば「仲の良いだけの組織」である。タテの対話関係だけが強い職場は、批判的意見はでるものの、感情的な寄り添いが広がっていない。2つの要素がともに高い組織が、圧倒的にパフォーマンスが高い(回帰分析の結果、2要素間に交互作用あり)。


2つの特徴(「組織的余白」「役割の自律性」)は、ともに高い組織のほうがパフォーマンスが高い。組織的な余白のみが高い組織は、必要以上の労力をかけず、建設的意見がでにくい傾向にある。役割の自律性のみ強い職場は、上司の目線を気にした行動がやや出やすい傾向にある。


フォロワーシップ行動を縮小させる各人材マネジメント要素について深堀りすると、「労働時間の無限定性」は消極的フォロワーシップ行動全体を助長。「会社都合の異動の多さ」は、ネガティブ拡散行動を助長し、「職務範囲の無限定性」は先述のポジティブな組織要素全体を低下させている。こうしたいわゆる日本的雇用の要素が総合的に高い場合、フォロワーシップ行動全体が縮小している傾向があった。


パーソル総合研究所
主席研究員
小林 祐児
人材マネジメントの世界には、いまだに「組織は管理職のリーダーシップで強くなる」という発想が根強く残っている。リーダーシップに過度に期待し続け、研修訓練のような施策も管理職に偏り続けているし、フォロワーシップに関しては学術研究も極めて少ないままだ。しかし、マネジメントの負荷や難度が上昇する中で、上司任せの組織運営はすでに限界に来ている。今こそ部下=フォロワーに求められる行動と期待役割を明確に示す必要がある。
本調査が示すのは、組織パフォーマンスを左右するのは一部の優秀人材ではなく、様々なタイプの「普通の部下たち」による具体的な行動の積み重ねであるということだ。そこで必要なのは、フォロワーシップ行動を「余裕があればやること」「意識の高い人がやること」といった特別なものにせず、コミュニケーションと役割設計の面から、意図的に醸成していくことである。
また本調査からは、いわゆる日本的な雇用慣行に見られる「時間・仕事・異動」の無限定性が、かえって部下の役割認識を曖昧にし、フォロワーシップを縮小させていることも示された。現場での助け合いや調整が伝統的に重視されてきた日本企業において、むしろフォロワーの行動が引き出されていないという点は、重大な気付きを与えてくれる。
管理職任せの発想から転換しながら、メンバー層の行動をいかにして引き出し全員で組織を強くしていけるかが、これからの人材マネジメント全体を考える上での鍵になるだろう。
フォロワーシップが育つ職場の特徴

フォロワーシップを育てるための人材マネジメントの具体策

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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/followership/
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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
| 調査名称 | パーソル総合研究所 「フォロワーシップに関する定量調査」 |
|---|---|
| 調査内容 | ・一般メンバー層(部下層)のフォロワーシップの実態と、効果的なフォロワーシップ行動を明らかにする |
| 調査対象 | 全国の正規雇用就業者 計3200名 ※第一次産業と公務員を除く |
| 調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
| 調査時期 | 2025年 11月12日 – 11月15日 |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
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