公開日:
パーソル総合研究所「フォロワーシップに関する定量調査」
全国の正規雇用就業者 計3200名 ※第一次産業と公務員を除く
内訳は以下の通り:
-非役職者:2500人 男女比率は賃金構造基本統計調査の正規雇用・非役職分布に準ずる

-役職者(係長以上):700人
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
2025年 11月12日 – 11月15日
株式会社パーソル総合研究所
本調査における「フォロワー」とは、職場において部下の立場で業務を遂行する者であり、正規雇用者における係長未満の一般職層と定義する。
フォロワー(部下)の行動をフォロワーシップ行動とし、さまざまな行動の実行率を聴取した。積極的なフォロワーシップ行動として全体的に高いのは、「指示がなくても、必要な行動を自分で見つけて実行する(32.1%)」「感謝や労いの言葉を自然にかけるようにしている(31.9%)」で3割を超える。
一方で、消極的な態度と紐づくフォロワーシップ行動としては、「できるだけ労力をかけずに仕事を終わらせたいと思う(53.8%)」「判断が難しい場面では、最終的な責任は上層部にあると考える(51.6%)」などが上位で「よくある・時々ある」との回答が5割を超える。
フォロワー(部下)のフォロワーシップ行動を基にクラスター分析でタイプ分けすると、フォロワーシップ行動が積極的な3タイプと、消極的な2タイプに分類された。
積極的なのは、効率重視で先回りして動く「職人タイプ」、プライベートを重視しながら、職場の人間関係維持に努める「気づかいタイプ」、チーム全体をまとめ、全体で成長することを目指す「まとめ役タイプ」。
消極的なのは、組織支援は少なく、自身の成長を中心に周りを巻き込む「自己成長タイプ」、批判的な意見を出すことに偏る「批判者タイプ」。
フォロワー(部下)のタイプ別に、個人・組織のパフォーマンスや人事評価などの成果指標の違いを見た。組織パフォーマンスが高い「職人」「気づかい」「まとめ役」タイプは人事評価が低めで、組織パフォーマンスが低めの「自己成長」「批判者」タイプは人事評価が高いという逆転した関係がみられる。「職人」タイプは、他のタイプよりも個人パフォーマンスが高い。
組織のパフォーマンスにつながっているフォロワーシップ行動を分析した。フォロワーシップ行動の中でも、チームを円滑に回す「場づくり」行動、建設的に意見を言う「本音発言」行動、 経験を集合知に変える「学び共有」行動、 チームの感情を支える「寄り添い」行動、 役割にとらわれず動く「踏み出し」行動の5つの行動が、組織のパフォーマンスにプラスの影響が見られた。
フォロワーシップ行動の性年代別の特徴を見た。男女ともに20代から40代にかけてフォロワーシップ行動全体が減少していく。男女ともに60代の行動全体がかなり高い傾向にあるが、本調査は、正規雇用社員を対象としており、一般的な60歳以上の中でもそもそも意欲や能力の高いメンバーが多く含まれている可能性がある。
上司層の71.7%が職場に「信頼できる優秀な部下」がいると回答し、その人数は平均で2.88人。具体的には、30-40代の部下を挙げる上司が多い。
上司から見た信頼できるフォロワー(部下)の行動を聴取した。「指示がなくても、必要な行動を自分で見つけて実行する(23.9%)」が最上位。以下、「問題を見つけたら、自分から改善策を提案する(19.3%)」「トラブルや混乱時にも落ち着いて行動できる(18.0%)」が続く。上司層は、主にフォロワーの先回り行動と冷静な業務判断を重視している傾向がみられる。
上司から見た優秀なフォロワー(部下)の行動と、その行動が組織パフォーマンスに与える影響度をマッピングした。組織のパフォーマンスにつながっている5つのフォロワーシップ行動のうち、経験を集合知に変える「学び共有」行動と建設的に意見を言う「本音発言」行動は、組織に良い影響を与えているものの、あまり上司からは重視されていない。フォロワーシップ行動には、上司からの「盲点」が存在することが示唆される。
組織のパフォーマンスにつながるフォロワーシップ行動に良い影響を与えるコミュニケーションの要素を分析した。ひとつは、チームメンバーや同僚同士の水平的な関係において、感謝や笑いといった感情レベルの交流があること(ヨコの感情交流)。もうひとつは、上司や上位層に対する意見の言いやすさ、風通しの良さ(タテの対話関係)の重要性が示された。
「ヨコの感情交流」と「タテの対話関係」という2つの要素の高低をもとに、4つの類型(両方の要素が高い・低い、「ヨコの感情交流」のみ高い、「タテの対話関係」のみ高い)に分類して分析した。
「ヨコの感情交流のみ高い組織」は、組織のパフォーマンスにつながっている5つのフォロワーシップ行動の「寄り添い(チームの感情を支える)」行動は盛んだが、「本音発言(建設的に意見を言う)」行動が出ず、いわば「仲の良いだけの組織」である。「タテの対話関係のみ高い職場」は、批判的意見(本音発言)は出るものの、感情的な寄り添いが広がっていない。
ヨコとタテの2つの要素が「両方高い組織」は、他の類型に比べて、組織のパフォーマンスにつながる5つの「フォロワーシップ行動全体」と「組織パフォーマンス」が圧倒的に高い(回帰分析の結果、2要素間に交互作用あり)。
このことから、ヨコの関係とタテの関係のバランス、つまり、上位層と同僚間のコミュニケーション・バランスがとれていることの重要性が示唆される。
組織のパフォーマンスにつながるフォロワーシップ行動に紐づいている組織の特徴を見た。自分の判断で仕事を進められるなど、個人の「役割の自律性」が高いほど、そして、チーム内で、明確に決まっていないことを補い合うなど、組織からの指示に現場で埋められる余白(「組織的な余白」)があるほど、フォロワーシップ行動にプラスの影響が見られた。
「役割の自律性」と「組織的な余白」という2つの要素の高低をもとに、4つの類型(両方の要素が高い・低い、「役割の自律性」のみ高い、「組織的な余白」のみ高い)に分類して分析した。
「両方高い組織」は、他の類型に比べて、組織のパフォーマンスにつながる5つの「フォロワーシップ行動全体」と「組織パフォーマンス」が高い。
「役割の自律性のみ高い組織」は、「人の目があるときだけ、仕事に力を入れることがある」「上司の決定は、たとえ非効率でも尊重されるべきだ」など、上司の目線を気にした行動がややでやすい傾向にある。「組織的な余白のみが高い組織」は、「できるだけ労力をかけずに仕事を終わらせたいと思う」「問題を見つけても、波風を立てないように黙っていることが多い」など、必要以上の労力をかけず、建設的意見がでにくい傾向にある。
つまり、各個人の役割が明確でありつつ、厳密すぎないという役割と余白のバランスがとれていることがポイントになる。
フォロワーシップ行動を「縮める」人材マネジメントを分析した。長時間労働を是正する雰囲気がないなどの「労働時間の無限定性」、定期的な人事異動が行われているなどの「会社都合の異動の多さ」、担当でない仕事について応援を要請されることが多いなどの「職務範囲の無限定性」という、いわゆる日本的な雇用習慣がフォロワーシップ行動を縮小させている。
詳細を分析すると、「労働時間の無限定性」は消極的フォロワーシップ行動全体とプラスの関係が見られ、「会社都合の異動の多さ」は、ネガティブな噂の拡散を助長し、「職務範囲の無限定性」は先述のポジティブな要素(ヨコの感情交流/タテの対話関係/役割の自律性/組織的な余白)を低下させている。
人材マネジメントの世界には、いまだに「組織は管理職のリーダーシップで強くなる」という発想が根強く残っている。リーダーシップに過度に期待し続け、研修訓練のような施策も管理職に偏り続けている。しかし、マネジメントの負荷や難度が上昇する中で、上司任せの組織運営はすでに限界に来ている。今こそ部下=フォロワーに求められる行動と期待役割を明確に示す必要がある。
本調査が示すのは、組織パフォーマンスを左右するのは一部の優秀人材ではなく、さまざまなタイプの「普通の部下たち」による具体的な行動の積み重ねであるということだ。そこで必要なのは、フォロワーシップ行動を「余裕があればやること」「意識の高い人がやること」といった特別なものにせず、コミュニケーションと役割設計の面から、意図的に醸成していくことである。
また本調査からは、いわゆる日本的な雇用慣行に見られる「時間・仕事・異動」の無限定性が、かえって部下の役割認識を曖昧にし、フォロワーシップを縮小させていることも示された。現場での助け合いや調整が伝統的に重視されてきた日本企業において、むしろフォロワーの行動が引き出されていないという点は、重大な気付きを与えてくれる。
管理職任せの発想から転換しながら、メンバー層の行動をいかにして引き出し全員で組織を強くしていけるかが、これからの人材マネジメント全体を考える上での鍵になるだろう。
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「フォロワーシップに関する定量調査」
THEME
CONTACT US
こちらのフォームからお問い合わせいただけます
{{params.not_modal_movie| }}
{{params.modal_movie| }}