一般的イメージとは異なり、退職代行利用者は“協調性”が高く、責任感が強い特徴も
離職者不満は「長時間労働」から「成果圧力」へ——働き方改革後の新たな離職構造
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本調査では、正社員離職者のうち退職代行を利用した人は5.1%(約20人に1人)、若年層や在籍1年未満での利用が多いことが明らかになりました。利用者は一般的に考えられている無責任なイメージとは異なり「チームワーク重視」の志向が強い傾向がある一方で職場では孤立しており、上司への不満は約7割、上司からのハラスメント経験は約4割に達しています。
また、離職者の不満は従来の「労働時間が長い」「サービス残業が多い」といった負荷から、近年は上司による成長支援の低下や成果圧力の高まりへと変化している傾向も確認されました。
本調査は、近年の就業者の離職行動の変化や退職代行利用の実態とその要因を明らかにすることで、リテンション・マネジメント(離職を防ぎ、定着を促す人事戦略)に資する知見を提供することを目的に実施しました。
離職者のうち「退職代行」利用者は5.1%、離職者全体の約20人に1人が利用(左図)。
コロナ禍以前の2019年調査と比較すると、離職者不満は「長時間労働」から「成果圧力」へシフト(右図)。


退職代行利用者は一般離職者よりも年齢層が若く、20~30代で約5割となっている。退職代行利用者の前職在
籍期間は、「1年未満」が約4割で、一般離職者の約2倍となっている。



また、退職代行利用者は一般離職者よりも前職の関係者に対して「申し訳なさ」を感じており、自分を「裏切りもの」であるとも感じている。一般に指摘されがちな「身勝手さ」や「無責任さ」は、退職代行利用者の特質としては全く あてはまらない。


社内の相談ネットワークと離職・満足度:離職していない正規雇用者全体でも、61.4%が自分のキャリアなどについて「職場で相談できる人がいない」と回答した。相談ネットワークの宛先が多い人ほど、離職意向は下がり、上司満足度/会社満足度とも大きく上昇する。


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2019年の数値は、パーソル総合研究所・中原淳「転職行動に関する意識・実態調査」(n=6,000、2019年実施)の性年代を合わせて比較しています。

離職者と就業継続者のGAPから、「離職につながりやすい不満」を順位比較した。2025年は 「上司の指示や考えに納得できない」「求められる成果が重すぎる」「受けている評価に納得できない」が上昇した。一方で「サービス残業が多い」「労働時間が長い」が下降。

なお、離職者の残業時間はこの6年間で大幅に短くなり、特に月40時間以上の残業者は半減。サービス残業(手
当なしの残業)も減少傾向が見られる。


「仕事の成果で評価してほしい」という志向性も減少した。特に20代・30代が大きく減少。これは他の志向性の変化と比べても最大の変化である。

上司の育成支援行動の減少:上司マネジメントがどう変化したかを分析した。「責任のある役割を任せてもらっている」「十分なフォローがある」「スキルや能力が身につくような仕事を任されている」といった、部下の成長重視度とプラスの関連があるマネジメント行動が減少している。


パーソル総合研究所
主席研究員
小林 祐児
コロナ禍を経て、働く人の「辞め方」の様相が大きく変化している。かつて主要な離職要因であった「長時間労働」や「低賃金」といった不満は、働き方改革や賃上げの進展により相対的に低下した。だがその一方で、若手の成長意欲は弱まり、組織から求められる成果に対して圧力を感じやすくなったことが、新たな離職リスクとして顕在化している。
現場のマネジャーも多忙やハラスメントへの恐れからか、部下への成長支援や権限移譲といった本来求められる育成支援を十分に行えなくなってきている。結果として、組織が求める成果に、若年層がついていけなくなっている状況だ。
一方、近年広がった退職代行利用の要因を分析すると、上司のハラスメントの問題以前に、職場の人間関係全体が希薄化し、上司一人に職場のコミュニケーションが依存している問題が示唆された。
こうした中で企業に求められるのは、従業員は「網の目の中で育てる」という視点だ。それは、❶縮小している上司の育成支援を復活させることに加え、❷上司だけでなく、職場の対人ネットワークの中で育成支援を拡充させることである。短視眼化しがちな現場マネジメントを「成長」志向へ転換すると同時に、「上司任せ」ではなく、相談と教育を支援する人的ネットワークの輪を構築することである。人の網の目を細かくし、その中で挑戦できる環境こそが、これからの従業員の定着と成長を同時に実現できるだろう。

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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/resignation/
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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
| 調査名称 | パーソル総合研究所 「離職の変化と退職代行に関する定量調査」 |
|---|---|
| 調査内容 | ・近年の就業者の離職行動の変化を明らかにする |
| 調査対象 | 調査全体:1,829名 |
| 調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
| 調査時期 | 2025年 8月21日 – 9月1日 |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
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