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パーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」
・近年の就業者の離職行動の変化を明らかにする
・退職代行利用の実態とその要因を明らかにする
調査全体:1,829名
共通条件:20~50代、全国、男女
【一般離職者】977名
・5年以内離職経験あり(前職は正社員)、現在の雇用形態は不問
【退職代行利用者】52名
・5年以内退職代行利用経験あり(前職は正社員)、現在の雇用形態は不問
【就業継続者】800名
・20~50代、会社員(正社員)で3年以内離職経験なし
・20代男女:各200名、30代男女:各200名、40代男女:各200名、50代男女:各200名
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
2025年 8月21日 – 9月1日
株式会社パーソル総合研究所
離職者が抱いていた不満について、2019年と2025年を比較して変化を見た。2025年に上昇した不満は、「求められる成果が重すぎる」「受けている評価に納得できない」。一方で減少した不満は、「サービス残業が多い」「育成・教育の体制が十分でない」「労働時間が長い」。
離職者と就業継続者が抱く不満のギャップから、「離職につながりやすい不満」の順位を2019年と2025年で比較した。2025年は 「上司の指示や考えに納得できない」「求められる成果が重すぎる」「受けている評価に納得できない」が上昇した。一方で「労働時間が長い」「サービス残業が多い」が下降した。
離職の背景にある就業意識の変化に着目した。パーソル総合研究所が実施した「働く10,000人の就業・成長定点調査」では、「仕事を通じた成長を重要だと思わない」者が2019年18.1%から2025年29.0%へ増加。年代別に見ると、特に20-30代で成長の重要性が減少した(-15.0pt~-17.9pt)。
同調査では、「仕事の成果で評価してほしい」という志向性も2019年61.0%から2025年50.8%へ減少した。年代別に見ると、特に20-30代が減少(-13.1pt~-15.9pt)。
成長を重視する度合いに影響する上司のマネジメントの変化についても同調査で分析した。メンバー層に、上司のマネジメントについて尋ねると「責任のある役割を任せてもらっている」「十分なフォローがある」「スキルや能力が身につくような仕事を任されている」といった、成長重視度にプラスに影響するマネジメント行動が、2019年に比べて2025年は減少している。つまり、上司層は、部下が成長するようなマネジメントができなくなってきているといえる。
離職意向を上げる/下げる職場要因について多変量解析を行うと、仕事のプロセスよりも、最終的な結果が重視されるなどの「成果主義・競争的風土」や誰が提案者かによって案の通り方が異なるなどの「属人思考」が離職意向を高める。一方で、直属の上司・自部門の同僚との「相談ネットワークの多さ」や「チームワークの良さ」は、離職意向を有意に低減させていた。
しかし、仕事やキャリアなどについて社内で相談できる先を尋ねると、就業継続している正規雇用者全体でも61.4%が誰もいないと回答。相談ネットワークの宛先が多い人ほど、離職意向は下がり、上司満足度/会社満足度とも大きく上昇していた。
離職者のうち「退職代行」サービスを利用したのは5.1%、離職者全体の約20人に1人が利用している。退職代行利用者は一般離職者よりも年齢層が若く、20-30代で53.8%となっている。
退職代行利用後の勤務先とのトラブルは、「なかった」が46.2%と最も多い。トラブルの中では勤務先との「金銭トラブル」が最も多かった(23.1%)。
退職代行利用者のキャリア観を一般離職者と比較すると、退職代行利用者は「周りの人たちと密に力を合わせて働きたい」志向が強い。
また、退職代行利用者は一般離職者よりも前職の関係者に対して「申し訳なさ」を感じており、自分を「裏切りもの」であるとも感じている。一般に指摘されがちな「身勝手さ」や「無責任さ」は、退職代行利用者の特質としては当てはまらない。
「退職代行」サービスを利用する理由として最も多いのが、「すぐにでも退職したかったから(42.3%)」である。次に「上司への恐怖心があった(28.8%)」で、退職代行利用者にとって上司の影響の大きさが分かる。
退職代行利用者と一般離職者の前職への不満を比較すると、「直属上司との関係」への不満でギャップが大きく、退職代行利用者では約7割に達している。
また、退職代行利用者ではハラスメントを受けている率が高く、特に「直属の上司からのハラスメント」が42.3%と多い。
退職代行利用者、一般離職者、就業継続者の職場での孤独を比較すると、退職代行利用者が最も孤立しており、孤独を感じている。
相談相手を聞くと、退職代行利用者は「直属の上司(23.1%)」へ相談する人が多く、「自部門の同僚(9.6%)」や「家族・親類(13.5%)」「友人(13.5%)」に相談する人が少ない点が特徴。
コロナ禍を経て、働く人の「辞め方」の様相が大きく変化している。かつて主要な離職要因であった「長時間労働」や「低賃金」といった不満は、働き方改革や賃上げの進展により相対的に低下した。だがその一方で、若手の成長意欲は弱まり、組織から求められる成果に対して圧力を感じやすくなったことが、新たな離職リスクとして顕在化している。
現場のマネジャーも多忙やハラスメントへの恐れからか、部下への成長支援や権限委譲といった本来求められる育成支援を十分に行えなくなってきている。結果として、組織が求める成果に、若年層がついていけなくなっている状況だ。
一方、近年広がった退職代行利用の要因を分析すると、上司のハラスメントの問題以前に、職場の人間関係全体が希薄化し、上司ひとりに職場のコミュニケーションが依存している問題が示唆された。
こうした中で企業に求められるのは、以下の2点のような従業員を「網の目の中で育てる」という視点だ。
短視眼化しがちな現場マネジメントを中長期の成長志向へ転換し、同時に「上司任せ」ではなく、相談・支援・ピアラーニング(同僚同士の学習)といったネットワークの輪を構築することである。人の網の目を細かく張り巡らせ、それをセーフティ・ネットとして思い切り挑戦できる環境こそが、これからの従業員の定着と成長を同時に実現できるだろう。
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」
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