一方で、業務時間を削減できたのは利用者の4人に1人
日常的に使いこなす層は1割にとどまり、活用は調べ物や文章作成が中心
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企業における生成AIの活用が進む中、本調査では、全国の就業者における生成AIの業務利用人口が推計で約1,840万人にのぼることが明らかになり、正規雇用者のタスク単位では業務時間が平均16.7%削減されるなど一定の効果が確認されました。一方で、実際に業務時間を削減できているのは利用者の4人に1人にとどまり、日常的に生成AIを使いこなしている層も1割程度に限られるなど、活用の広がりや組織的な取り組みに関する課題も明らかになりました。
本調査は、生成AIの活用が進む中で、作業の効率化と業務全体の最適化との間にどのような課題が生じているのかを明らかにし、企業が生成AIを組織として活かしていくための示唆を得ることを目的に実施いたしました。

生成AIの活用は基礎的な利用に偏り、発展的活用は途上







職位別で見ると一般職は「使い方・不安」の壁、経営層は「必要性・適用イメージ」の壁:一般職層は「使い方がわからない」「セキュリティ運用リスクが不安」など、「使い方・不安」が相対的に高い。一方経営層は「必要性を感じない」「どの業務で使えるかイメージできない」など、「必要性・活用(適用)イメージ不足」が目立つ。未利用理由は職位で異なるため、普及施策も職位別に検討する必要がある。


業務時間削減は4分の1にとどまり、ヘビーユーザーの残業は長い:生成AIの利用者のうち、業務時間が減少した人は約25%にとどまる。また、生成AI利用頻度が高い層ほど、残業時間は長い。業種・職種・職位を統制した分析でもこの関係は示されており、生成AIは業務時間を短縮する層よりも、もともと残業時間の長い層で多く使われている実態が示唆される。


生成AI成熟度を10項目で測定し、パフォーマンスとの相関も確認

生成AI成熟度は基礎的な利用に偏り、発展的活用は途上:生成AI利用者の多くは、調べ物や情報整理、文章の定型作業など、基礎的な用途では一定程度の活用が進んでいる。一方で、複数ツールの組み合わせ、業務プロセスの見直し、新しい発想の拡張といった発展的な活用には利用が広がりきっていない。成熟度は一定の広がりを見せつつも、応用的・創造的な領域にはまだ伸びしろがある。

生成AI成熟度が高いほど利用用途が広く、パフォーマンスも高い:生成AIの成熟度別にみると、利用用途の幅は成熟度高群が平均4.78、中群が2.72、低群が2.15であった。成熟度が高い群ほど、利用用途が特定の用途にとどまらず大きく広がっている。また、生成AI成熟度が高い層では、作業の効率性や品質・創造性のいずれにおいても成果(生成AI活用のパフォーマンス)が高く、利用用途の拡張が成果の向上と結びついていることが示唆される。

生成AI成熟度に関連する個人の特性:生成AI成熟度を目的変数として重回帰分析を行ったところ、「問いを楽しむ志向性」「他者に共有する志向性」の2つの特性がいずれも成熟度と有意に関連し、とくに「問いを楽しむ志向性」の影響が大きかった。(分析手法については報告書のP49を参照)
年代別にみると、20代で「問いを楽しむ/他者に共有する」志向性が高く、年代が上がるにつれて緩やかに低下し、60代でやや回復する。職種別にみると、「間接部門」や「営業・販売」のほうが志向性が高く、全体として「問いを楽しむ志向性」が「他者に共有する志向性」をわずかに上回る。一方で、「配送・物流・運輸」では「他者に共有する志向性」が相対的に低い。



組織の生成AI普及タイプごとの時間削減効果と成熟度は異なる:生成AIによるタスクの平均削減時間は組織の生成AIの普及タイプによって大きく異なり、「現場任せタイプ」が週52.2分と最も高い。一方、生成AI成熟度は「仕組み化タイプ」が最も高く、「統制タイプ」では時間削減・成熟度ともに低水準にとどまる。短期的な効率化は現場の部分最適でも実現しえるが、持続的な高度活用には仕組みの整備が不可欠であることが示唆される。

活用が進むタイプほど、リスク事象が表面化しやすい:生成AIによるリスク事象の発生率は、「仕組み化タイプ」、「手探り運用タイプ」で高い。「仕組み化タイプ」については、生成物の共有やレビューのプロセスの中でリスクが顕在化していることが想定される。「統制タイプ」は活用度そのものが低く、リスク発生率も低い。


パーソル総合研究所
研究員
田村 元樹
本調査では、生成AIの活用によるタスク単位の効率化効果が、全体の効率化にほぼつながっていない実態が示された。
その主な理由は、❶活用している人の少なさと用途の狭さ、❷普及のコストがかかっており、負担が一部に偏っていること、❸削減できた時間の多くが日常業務に吸収されていることである。このまま普及に努めても、全体の大きな成果にはつながりにくい。
AIによる時間削減効果を「日常業務の消化」で終わらせず、改善・再設計・探索など長期的な付加価値につながる使い道へ流す仕掛けを先に設計することを検討したい。
AI普及を一部の「詳しい人」や「DX推進部」任せにせず、試行(試す・型化する)役割と、共有(伝える・場づくり)する役割を分担して組み合わせたい。 例えばIT/DX(試行)×人事/広報(共有)で回すといった組み合わせで普及させていくことが現実的である。特に経営層には、推進オーナーとして率先的に活用し、旗振り役を求めたい。
組織としての生成AI成熟度を上げるには、個人の学習努力や各現場での活用に依存することなく、相談・レビュー・根拠確認・テンプレ更新が「運用として回る」仕組み(組織インフラ)を整備する必要がある。一部の層の非公式の貢献や学習活動に頼る企業も多いが、負担が偏っている現状は、不公平感につながりやすい。

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本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
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調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/generative-ai/
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構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
| 調査名称 | パーソル総合研究所 「生成AIとはたらき方に関する実態調査」 |
|---|---|
| 調査内容 | ・就業者における生成AIの利用実態を明らかにする。 |
| 調査対象 | スクリーニング調査:全国の就業者 n=19,855、本調査:正規雇用者 n=3,000、内訳は以下の通り: |
| 調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
| 調査時期 | 生成AI利用群:2025年10月24日 – 10月26日/生成AI非利用群:2025年10月27日 – 10月28日 |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
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株式会社パーソル総合研究所 広報
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