9つの指標×8つのエリアで「はたらく」の課題と可能性を可視化
公開日:
人口減少と高齢化が加速する日本社会において、地方の活性化は喫緊の課題です。
本レポートでは、労働市場・多様性・働き方における9つの指標を集め、地域特性に基づく8エリアを区分し、各地域の課題と「72通りの地方創生の姿」を浮き彫りにしました。たとえば首都圏を中心に構成される「中核都市エリア」は高生産性ながらウェルビーイングが低く、東北地方が中心の「過疎・高齢エリア」は労働市場の空洞化が顕著――本レポートは、画一的な地域政策ではなく、各地の現状を整理し、それぞれの課題解決のための基礎資料として広く活用いただけることを目指しています。
「はたらく」に関する9指標のランキングでは、労働力や生産性に関する指標は都市圏が上位を占める一方、はたらく幸福・健康指標では、福井・沖縄などの地方圏が上位となった。経済的な強さを持つ地域ほど、個人のウェルビーイングとの両立が難しい傾向が浮かび上がった。

都道府県別の分析結果や各指標のランキング詳細については、報告書をご参照ください。
47都道府県別のオープンデータ※と、パーソル総合研究所が独自に行った調査「都道府県別 働き方と就業意識調査2025」(報告書P140~参照)のデータを組み合わせて、計9つの指標を作成した。
※
詳細は報告書P5~を参照

上記9つの指標の傾向を基に47都道府県を類型化した結果、「8つのエリア」に整理された。
※
エリア名は、それぞれの地域を構成する都道府県の産業構造や人口規模などの基礎情報を踏まえて命名している。



本エリアは、「空洞的労働市場」と言える人材と働き方の不全である。労働力充足(43位)、人材マッチング(45位)、生産性(41位)など、労働市場関連の指標は全国最低水準であり、「幸福」「柔軟性」「健康」も軒並み低迷している。一方、「女性活躍(24位)」「シニア活躍(29位)」は比較的良好であり、地域に根ざした人材の支えがうかがえる。
本エリアは、「内向的労働環境」である。働き方や幸福度の指標では「健康(16位)」「幸福(10位)」「女性活躍(12位)」「シニア活躍(13位)」が比較的高い一方で、「外国人活躍(31位)」「労働力充足(32位)」といった外部人材の受け入れに関する指標は低い。地域内部のつながりは保たれているが、新たな人や価値観が入りにくい閉鎖性が目立ち、長期的な活力の低下を招く恐れがある。
本エリアは、「硬直的労働環境」である。はたらく健康(9位)は高水準で、自然環境や生活リズムに支えられた健やかさが感じられるものの、「柔軟性(36位)」「外国人活躍(29位)」「女性活躍(29位)」など、多様性や制度面での柔軟性は著しく低い。伝統的な制度や慣習が長く保たれてきた分、新しい働き方や価値観の受容には慎重な傾向がうかがえる。
本エリアは、「消耗的共働き環境」である。女性活躍(18位)は比較的高く、共働き文化が根付いているが、「はたらく幸福(32位)」「健康(38位)」といったウェルビーイング指標は著しく低い。人材マッチング(33位)や生産性(28位)も低く、効率性に課題を抱えながら、家族内労働に依存した構造が個人の負荷を増大させている。
本エリアは、「画一的労働環境」である。生産性(19位)や外国人活躍(13位)、シニア活躍(13位)といった領域の人材活用は進んでいるが、女性活躍(37位)が目立って低いのが特徴。ジェンダー視点の更新が遅れ、制度の柔軟性や働き方の選択肢は限定的である。
本エリアは、「高負荷的労働環境」である。労働市場に関する指標(労働力充足6位、生産性8位、人材マッチング12位)や、柔軟性(7位)は全国でも上位を占める一方、はたらく健康(31位)は著しく低い。高い生産性と労働集中の裏側で、個人のウェルビーイングが損なわれている構造が明らかである。
日本でも高パフォーマンスの労働市場を誇る東京だが、課題は「選別的労働環境」である。労働市場・多様性・柔軟性の全9指標中、5つが全国1位という高水準だが、それと比べれば、「はたらく幸福(29位)」「シニア活躍(28位)」は著しく低い。成果やスピードが重視される環境下で、多様な価値観やライフステージへの対応力が問われている。
沖縄の労働市場は、「限定的ユートピア」と言える課題を持っている。「はたらく幸福(2位)」「健康(2位)」は全国トップクラスだが、「シニア活躍(37位)」は極めて低い。若年層とサービス業を中心に満足に働いている層がいる一方で、若年離職率が高く、構造的失業が存在する地域でもある。高齢世代や多様な層にとっては恩恵が限定されている。
各指標には改善の方向性と具体的な対応策が整理されている。たとえば、「女性活躍」を推進するには、仕事と育児の両立支援や再就職支援強化、「シニア活躍」を推進するには多様な働き方の提供や意欲・健康支援、「生産性」を改善するには、DX推進や人材育成・学習基盤の整備などが挙げられる。地域ごとの指標の強み・弱みに応じて、どの対策を重点的に進めるかも重要である。
※
報告書では、指標ごとに具体的な対応策を詳述している。( )は報告書の該当ページ。

都道府県別の分析結果や各指標のランキング、改善のための主な方向性・具体策詳細については、以下の報告書をご参照ください。
※
本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
※
構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。

| 調査内容 | 都道府県ごとの就業実態、就業意識の傾向について明らかにする。 |
|---|---|
| 調査対象 | 全国男女15~69歳の就業者 計36,000名。内訳は以下の通り: |
| 標本設計 | 総務省「国勢調査」の最新データに基づき、47都道府県ごとに性年代別(計6セル)、業種別(計3セル)の構成比に応じた割付を行った。ただし、一部の都道府県の若年層については、モニターパネルにおけるサンプル確保の都合上、男女の区分を設けず、「若年層」セルとして回収を行っている。そのため、一部の都道府県については、国勢調査のデータに比べて、やや女性に偏っている点に留意されたい。 |
| 調査方法・時期 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 (2025年 2月14日 – 3月12日) |
| 実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
株式会社パーソル総合研究所 広報
※
よくあるご質問も併せてご確認ください。