ソリューションコラム

御用聞き営業を卒業できないのはなぜか?ソリューション営業への再構築のポイントとは

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御用聞き営業を卒業できないのはなぜか?ソリューション営業への再構築のポイントとは

このコラムでわかること
・ 御用聞き営業や製品説明型営業が通用しなくなっている背景と顧客の変化
・ 御用聞き営業から脱却できない構造的な要因(組織・時間・分業の問題)
・ 顧客が求めている価値(課題解決力・長期的価値・パートナー視点)
・ ソリューション営業ができない人に共通する思考・行動の特徴
・ 示唆提供型へ転換するための「営業OS」と仮説思考・面談構造化のポイント

現場で日々顧客と向き合っている営業担当者であれば、「御用聞き」や一方的な「製品説明(プロダクト営業)」が通用しなくなっていることに、すでに肌感覚で気づいているのではないでしょうか。

顧客は、インターネットであらゆる情報を検索できます。そのため、営業担当者が来る頃には、すでに製品の機能や競合他社との比較情報を知っていることも珍しくありません。それどころか、顧客自身が自分のニーズを把握できていなかったり、何が本当の課題なのかさえ分からずに悩んでいたりすることも多くあります。

そのような状況で、「何か困ったことはありませんか?」と尋ねるだけの営業スタイルは、顧客にとって価値がないばかりか、「時間を奪うだけの存在」になりかねません。しかし、頭では「変えなければ」と分かっていても、長年染みついたスタイルを捨てて、真のソリューション営業へと転換することは簡単ではありません。

本記事では、パーソル総合研究所が2025年9月に実施した『営業実態調査2025 ―“アカウント営業”の生産性、その鍵は「質」にある―』(以下、『営業実態調査2025』)のデータも交えながら、私たちが御用聞き営業から抜け出せない構造的な要因を紐解きます。そのうえで、顧客から真のパートナーとして信頼されるための具体的な思考法と行動指針について解説します。

御用聞き・製品説明が売れないと知りつつ、やめられない理由

「顧客の話をじっくり聞くべきだ」と理解していても、実際の商談では自社商品のカタログを広げ、一方的な説明に終始してしまうケースは少なくありません。また、明確な目的を定めないまま「近くまで来たので」と訪問を繰り返すといった行動も、多くの営業現場で見受けられます。

こうした状況は、個人の怠慢やスキル不足だけに起因するものではありません。その背景には、営業組織全体が抱える構造的な要因が存在しています。

多くの営業組織では、短期的な売上目標の達成が最優先事項とされ、顧客と向き合うための時間が十分に確保されていないのが実情です。この点は、『営業実態調査2025』の結果からも読み取れます。

同調査によると、アカウント営業(※)において「購入後の継続的な情報提供」や「商品・サービス利用者の声(VOC)の収集」といったフォロー活動は、会社の業績向上と非常に高い相関関係を示しています。一方で、現場における実施状況を見ると、これらの活動は調査項目の中でも特にスコアが低い水準にとどまっています。

会社業績×プロセス比較(フォロー活動)

パーソル総合研究所「営業実態調査 2025 」より

強化しているプロセスの項目スコア

パーソル総合研究所「営業実態調査 2025 」より

つまり、「成果につながると理解されている活動」でありながら、目の前の案件対応や短期的な数値目標に追われることで、本来取り組むべきアプローチが後回しにされている状況にあります。

また、同調査では、分業体制(THE MODEL型)における弊害として、部門間の連携不足による悪循環も指摘されています。カスタマーサクセス部門が顧客課題を把握していても、営業部門が多忙なために十分な連携が取れず、結果として提案機会を逸してしまうケースも少なくありません。

このような「時間的余裕のなさ」や「組織の分断」が、短時間で完結しやすい御用聞き型の対応や、製品説明中心の営業スタイルを助長し続けている要因となっています。

アカウント営業:顧客の戦略やビジョンを理解し、多セクションに人脈を形成しながら、提供可能なあらゆる商品・サービス・ソリューションを提供する営業手法のこと。

顧客が求めているのは「製品説明」ではなく「その先の価値」

では、顧客の視点に立って考えてみましょう。『営業実態調査2025』を見ると、顧客が営業担当者に期待しているのは、製品説明や受動的な御用聞き対応にとどまらないことが分かります。

数社の提案を選定するときに決め手になること

パーソル総合研究所「営業実態調査 2025」より

実際、「機能・スペック・カスタマイズ」は、どの役職層においても60%以上(執行役員相当・役員相当以上の層は75%以上)と高い割合を占めており、製品理解そのものが不要になったわけではありません。しかし、役職が上がるにつれて、重視される評価軸は明確に変化しています。

特に、執行役員相当の層では、「営業担当者の対応力・組織的な対応力」が60%、さらには「長期的な視点での価値提供・事業提携の可能性」では執行役員相当と役員相当以上の層で52%以上となっており、ほかの役職層(40%前後)と比べて高い水準となっています。これは、製品の良し悪しだけでなく、「この会社と組むことで、自社の課題解決や事業成長につながるのか」という観点で営業担当者を評価していることを示しています。

一方で、さらに注目すべきデータもあります。同調査の分析によると、「顧客の状況や課題、ニーズを理解する」という行動は、多くの営業担当者が実践しているにもかかわらず、業績との相関はやや低いという結果が示されています。これは、「ニーズを理解する」こと自体がすでに前提条件となっており、それだけでは競合との差別化につながらない状態にあることを意味しています。

会社業績×プロセス比較(顧客の状況や課題、ニーズの理解)

パーソル総合研究所「営業実態調査 2025 」より

では、顧客はどのような営業担当者に会いたいと考えているのでしょうか。顧客が評価する営業担当者としては、「抜本的な解決策を提示できる営業」「ニーズに合致した提案ができる営業」が上位に挙げられています。それぞれ「強く面談したい」「面談したい」とポジティブな回答をした割合は以下のとおりです。

  • 抜本的な解決策を提示できる営業:88.2%
  • ニーズに合致した提案ができる営業:87.3%

課題の解決策を検討する際に、面談したい営業担当者

パーソル総合研究所「営業実態調査 2025 」より

ここで評価されているのは、要望を聞くだけの存在ではなく、顧客自身も気づいていない課題に対して「抜本的な解決策」を提示できる営業担当者です。顧客の本音は「自分たちの状況を理解したうえで、プロの視点から新たな気づきや具体的な解決策を提示してくれる相手であれば、時間を割く価値がある」という点にあります。製品カタログを読み上げるだけの営業に対して、顧客が関心を示さなくなっているのは、こうした背景があるためです。

ソリューション営業ができない人の3つの特徴

顧客が求めているのは解決策であるにもかかわらず、なぜ多くの営業担当者はその期待に応えられていないのでしょうか。ソリューション営業への転換に苦戦している人には、共通する思考や行動の傾向が見られます。これらは単なるスキル不足というよりも、営業という仕事に対するスタンスや認識のズレに起因しているケースが多いといえます。

1. 仮説ではなく、正解を求めてしまう

1つ目の特徴は、顧客からの「正解(要望)」を待ってしまう受動的な姿勢です。
「何かお困りごとはありませんか?」という質問は、顧客自身が課題を明確に認識し、かつ言語化できている場合には有効です。しかし、現代の複雑なビジネス環境においては、顧客自身が「何が本当の課題なのか」を把握できていないケースも少なくありません。

そのため、顧客から正解を教えてもらうことを前提とした姿勢では、価値ある提案にはつながりにくくなります。必要なのは、仮説を持ったうえで顧客と対話し、ともに課題と解決策を探っていく姿勢です。

2. 顧客の事業構造より自社の製品スペックに詳しい

2つ目は、自社の製品知識には詳しい一方で、顧客のビジネスや事業構造への理解が浅いことです。

プロダクト営業が主流だった時代には、製品の機能やスペックを正確かつ流暢に説明できることが、営業としての評価基準でした。しかし、現在はその前提が大きく変わっています。

『営業実態調査2025』においても、「顧客の業界やビジネスモデルへの理解」が業績に影響を与える重要な要素であることが示唆されています。

会社業績×プロセス比較(顧客の業界についての理解)

パーソル総合研究所「営業実態調査 2025 」より

製品の専門家である以前に、顧客のビジネスを理解するパートナーであることが、ソリューション営業には求められています。

3. 嫌われることを恐れ、顧客の不都合な真実に踏み込めない

3つ目の特徴は、顧客との摩擦を恐れ、表面的な関係維持を優先してしまう点です。
重要な意思決定の場面において、顧客が求めているのは「イエスマン」ではありません。むしろ、「現在のやり方では目標達成が難しい可能性があります」といった、耳の痛い指摘を含むプロの視点からの提案を期待しています。

しかし、「嫌われたくない」という心理が働くことで、顧客の成功につながるはずの踏み込んだ指摘や提案を避けてしまうケースも少なくありません。その結果、営業担当者としての信頼を十分に獲得できず、表面的な関係にとどまってしまうことがあります。

ソリューション営業においては、“顧客のビジネスを本気で考えるからこそ伝えるべき提案がある”という姿勢が不可欠です。

営業担当者が今、本気でアップデートすべき「OS」の切り替え

これまでの「御用聞き・製品説明」型の営業スタイルが通用しなくなった今、求められているのは小手先のテクニックの習得ではありません。営業活動に対する根本的な考え方、いわば「OS」をアップデートすることです。業者からパートナーへと進化するためには、どのような意識変革とスキルの習得が必要なのでしょうか。

商品を伝える人から「示唆を与える人」への役割転換

まず必要なのは、自身の役割定義を「自社商品を説明・販売する人」から、「顧客の課題解決に向けた示唆を与える人」へと転換することです。

営業担当者は、単なる情報の伝達者ではなく、顧客のビジネスを前進させるための「参謀役」であるという自覚を持つ必要があります。このマインドセットの転換こそが、営業におけるOSアップデートの中核を成すものです。

必要なのは「仮説思考」と「面談の構造化」

ソリューション営業と聞くと、特別な才能や高度な話術が必要だと考えられがちです。しかし実際には、極めて体系化されているもので仮説思考の仕方や顧客面談プロセスを理解し実践すること(面談の構造化)によって誰でも習得可能です。

求められるのは天才的なひらめきではなく「なぜその課題が生まれているのか」「本当に解決すべきボトルネックはどこか」と一段深く踏み込んで考えたり、顧客からニーズのヒアリングで引き出す。その積み重ねが単なる商品説明ではなく、ソリューション営業の本質的な価値提案につながります。

顧客の期待を超えるソリューション営業の基本の習得方法

ここまで、御用聞き営業やプロダクト営業からの脱却と、真のソリューション営業へ転換するためのOSのアップデートについて解説してきました。しかし、頭では理解していても、長年染み付いた営業手法を現場の担当者個人の努力だけで変革することは非常に困難です。

弊社のお役立ち資料『なぜ営業は信頼されないのか?顧客の期待を超えるソリューション営業の基本とは』では、本コラムで触れた課題をさらに深掘りし、今まさに求められているソリューション営業の基本の重要性と習得ステップを詳しく解説しています。

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