7割が異動経験なし。でも異動経験者のほうが管理職意向が高い

公開日 2015/08/07

7割が異動経験なし。でも異動経験者のほうが管理職意向が高い

HITOデータでは、vol.001、vol.002と女性の管理職意向に関する調査結果を紹介してきた。Vol.003の今回は、女性の管理職意向とその理由を、異動経験別に見ていきたい。

7割が「異動したことない」

全国の25~44歳で管理職経験のない女性 1,025人に、異動経験の有無についてたずねたところ、全体の7割にのぼる人が今まで一度も異動した経験がないことが分かった。

異動経験の有無.png

異動経験のある人のほうが管理職意向が高い

しかし、これまでの異動経験と管理職意向の関係を見ると、異動経験がある人のほうが管理職意向は高いという結果になった。

異動経験別の管理職意向

異動経験別意向.png

ちなみに、最も管理職意向のある人が多かったのは異動回数が2回の人で、それ以上異動を重ねると、むしろ管理職意向は弱まっている。

「管理職になりたい」と回答した人の異動回数

異動回数別意向.png

2度の異動後には年収アップより影響力アップを希望?

異動回数別に管理職になりたい理由を見ると、2回目の異動を経験するタイミングにおける変化が顕著であることが読み取れる。例えば、管理職になりたい理由として最も多い「年収を上げたいから」は、異動2回目の時に落ち込む。また、「管理職という仕事に魅力を感じるから」も減少。反対に「自分の影響範囲を広げたいから」「人材の育成・マネジメントをしたいから」が増加している。

異動回数別に見た「管理職になりたい理由」

なりたい理由.png

一方、管理職になりたくない理由を見ると、こちらも異動2回目のタイミングで「管理職という仕事に魅力を感じないから」「自分には向いていないと思うから」「責任が重くなるのが嫌だから」「役割に見合った収入が得られなさそうにないから」が増加している。

異動回数別に見た「管理職になりたくない理由」

なりたくない理由.png

これらの結果から、異動2回目のタイミングで「自分の影響範囲をもっと広げていきたい」「人材の育成・マネジメントに携わりたい」と思うのか、「責任が重そう」だし、「自分には向いていない」と尻込みしてしまうのか。そこに、女性たちの管理職意欲の1つの分岐点がありそうだ。

異動は、同じ会社にいながらにして別の職場や立場から、自身の仕事や人間関係を相対化してとらえ直すことができる機会と言える。実際に、異動によって、まったく異なる職場や人、仕事に触れ、新たな気づきや意識の変化を経験したことがあるという人は少なくないだろう。

今回の調査結果をふまえると、生き生きと活躍する女性管理職を増やすには、まず女性社員の異動を特段計画してこなかった企業では、一度社員の声に耳を傾け、最適な配置のあり方を検討してみてもよいのではないだろうか。また、本調査結果のように、2回目の異動が管理職に対する意識の分かれ目になる傾向が高いようであれば、それまでに管理職に対する前向きな意識を醸成するために、異動させる部署や人間関係、仕事内容を丁寧に計画してみるのも一手かもしれない。


■調査概要
・調査名:女性の管理職意向調査
・調査主体:インテリジェンスHITO総合研究所
・調査対象:全国の25~44歳のメンバー層の女性 1,025人
・調査期間:2015年1月24~25日
・調査方法:インターネット調査


※引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所(旧インテリジェンスHITO総合研究所)「女性の管理職意向調査(2015)」


本記事はお役に立ちましたか?

コメントのご入力ありがとうございます。今後の参考にいたします。

参考になった0
0%
参考にならなかった0
0%

follow us

公式アカウントをフォローして最新情報をチェック!

  • 『パーソル総合研究所』公式 Facebook
  • 『パーソル総合研究所シンクタンク』公式 X
  • 『パーソル総合研究所シンクタンク』公式 note

関連コンテンツ

もっと見る
  • 【録画視聴】機関誌HITO「人事トレンドワード2023-2024」発刊記念セミナー~パーソル総合研究所が選んだ人事トレンドワード解説~

おすすめコラム

ピックアップ

  • シニア就業者の意識・行動の変化と活躍促進のヒント
  • AIの進化とHRの未来
  • 精神障害者雇用を一歩先へ
  • さまざまな角度から見る、働く人々の「成長」
  • ハタチからの「学びと幸せ」探究ラボ
  • メタバースは私たちのはたらき方をどう変えるか
  • 人的資本経営を考える
  • 人と組織の可能性を広げるテレワーク
  • 「日本的ジョブ型雇用」転換への道
  • 働く10,000人の就業・成長定点調査
  • 転職学 令和の時代にわたしたちはどう働くか
  • はたらく人の幸せ不幸せ診断
  • はたらく人の幸福学プロジェクト
  • 外国人雇用プロジェクト
  • 介護人材の成長とキャリアに関する研究プロジェクト
  • 日本で働くミドル・シニアを科学する
  • PERSOL HR DATA BANK in APAC
  • サテライトオフィス2.0の提言
  • 希望の残業学
  • アルバイト・パートの成長創造プロジェクト

【経営者・人事部向け】

パーソル総合研究所メルマガ

雇用や労働市場、人材マネジメント、キャリアなど 日々取り組んでいる調査・研究内容のレポートに加えて、研究員やコンサルタントのコラム、役立つセミナー・研修情報などをお届けします。

コラムバックナンバー

  • 【録画視聴】機関誌HITO「人事トレンドワード2023-2024」発刊記念セミナー~パーソル総合研究所が選んだ人事トレンドワード解説~

おすすめコラム

PAGE TOP