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2015.05.20

真の女性活躍推進に向けて

管理職の重要性と課題

職業人生の長期化が進み、『70歳現役社会』が現実味を帯びてきた。平均20歳からスタートする職業人生であれば、50年間働き続けることになる。この職業人生50年間を豊かなものにするために、管理職という役割を担うのは大切なことだ。

管理職になると、3つの意識転換が生じるという。1つは「経営資源として活用される」から「経営資源を責任を持って活用する」へ、2つ目は「与えられた仕事を完遂する」から「自ら仕事を創り出す」へ、そして3つ目は「環境の変化に適応する」から「自らを変え、環境を変える」へ、である(※1)。また私の研究では、役職が高くなればなるほど、仕事充実感や高い専門性、高い会社貢献に結びつくこともわかっている(※2)。

しかし、インテリジェンスHITO総研で調査したところ、管理職になりたくない女性は75.6%と多く、その理由は「自分には向いていないと思うから」が約60%という状況であった。この背景には、「管理職」の定義や人材像が明確でない、または形骸化していることがあるのではないだろうか。インテリジェンスHITO総研で過去に実施した企業の女性活躍推進担当者による座談会でも、管理職の定義が不明瞭なケースや、要件はあっても十分活用されていないケースが見られた。

一方、21世紀職業財団の「女性管理職の育成と登用に関する調査」(2005年)を見ると、女性管理職を増やすための企業の取り組みで多いのは、「評価・査定基準の明確化」(59.6%)、「昇進・昇格基準の明確化」(55.5%)。つまり、10年前から基準の明確化の必要性は意識されてきたものの進んでいないのが実情であろう。

21世紀財団調査結果グラフ

出所:公益財団法人21世紀職業財団 平成17年度 女性管理職の育成と登用に関する調査
「第9図 女性管理職を増加させるための取組の実施状況」

では、管理職への登用基準は何なのだろうか。まず1つに、管理職比率に男女差が生じる要因として、「週当たり労働時間が49時間以上」かどうかが1つの境目になっているという報告がある(※3)。加えて、女性が長時間労働した場合、昇進率が大きく伸びることも明らかになっている。つまり、これらを総合して見ると、労働時間によって管理職への登用を決めていることがわかる。本誌調査結果でも、管理職になりたくない理由として「長時間労働になりそうだから」が36%、25~34歳では40%以上であった。この結果からも、長時間労働した者が管理職になるという暗黙の事実の存在が伺える。

日本的雇用慣行の中で正社員の長時間労働は、問題視されるほど長い年月続いてきた。そのような慣行の下で管理職となってきた多くの男性社員の状況認識の低さが、“長時間労働ありき”にさらに拍車をかけている。

>>次ページは 問題は男性の意識と“真”の管理職定義

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