中小企業専門の政府系金融機関として歩んできた商工中金は、設立90周年を翌年に控えた2025年6月、民営化した。さらなる成長を遂げるためには既存概念にとらわれない改革が必要との認識の下、社長直轄のプロジェクト「Xプロ」を中心に、人財・組織風土、経営の仕組み、ビジネスモデルの変革を加速させている。人事を担当する田中氏に、《X(変革)》の取り組みと、そこに込めた思いを伺った。

株式会社商工組合中央金庫 執行役員/キャリアサポート部長
田中 広郎 氏
1993年新卒で商工中金入社。熊本支店・広島支店で営業を経て、本部でシステム・経営企画を担当。静岡支店次長、本部営業企画を経て水戸・横浜西口の支店長、秘書室長を歴任。2023年より現職。現場と本部を往復したゼネラリストとして制度改革と人財育成を推進中。
民営化した当社は、歴史的な転換点に立っています。顧客である中小企業が時代の変化に対応し、新たな価値を創造するには、支援する私たち自身が変わらなければなりません。過去の不祥事により、上意下達の硬直した風土や業績至上主義といった課題が浮き彫りになりました。そこからの脱却に向け、2018年には民間出身の新社長を迎え、ガバナンス改革や顧客起点のビジネスモデル構築など、全社的な見直しを進めてきました。
人事制度も、従来のコース別や資格等級制度を廃止し、役割等級制度に移行。採用要件や評価軸には《変革》を組み込み、変革人財の育成を目指した企業内大学や多様な研修を企画運営しているところです。
長年培われてきた風土を変えることは容易ではありません。課題のひとつとして、政府系金融機関という性格から外部との接点が少なかったことが挙げられます。内にこもり保守的になることは、さまざまな問題の要因になり得ます。そこで、閉鎖性を打破すべく外部人財の登用と交流拡大を推進。これまで年間10人程度だった中途採用を4〜5倍に増やし、現在では全社員約3500人のうち170人超が外部採用者となり、組織に新しい視点をもたらしています。また、民営化と同時にグループCxOを設置し、チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー(CTrO)に外部人財を迎えるなど、外部知見を経営に取り入れる体制も整えました。さらに、他部署との兼任や手挙げによる異動、外部出向を可能にし、キャリアの自律と社内外の交流を後押ししています。
取り組みの積み重ねにより、現場のマネジメントも変わりつつあります。風土改革初期に実施した部店長層のリーダーシップスタイル診断では、「指示・命令型」が多数でしたが、研修や対話を重ね、社長自らも「数字よりマネジメントを」「部下の意欲を引き出そう」と発信し続けた結果、今では「ビジョン型・育成型・民主型」が増え、マネジメントの質に変化が生まれています。
民営化初年度の今年、変革の中核を担うのが、社長直轄の企業変革推進プロジェクトチーム「Xプロ」です。漢字の「人」に「ツノ」を足すと「X」になることから「ツノプロ」と呼ばれています。ツノは力強さの象徴であり、変革に必要な意志と行動力を表します。未来の商工中金を担う若手精鋭を中心に、人財・組織風土、経営の仕組み、ビジネスモデルの3領域で議論を重ね、新たな長期戦略の策定が大詰めを迎えています。《X》は掛け算(×)とも読めます。部署や立場を越えた多様な人財の掛け算で新しい価値創造を目指します。
数年前、人事部は、社員を「管理」するのではなく、社員の自律的なキャリア形成を「サポートする」との意思から、「キャリアサポート部」に改称しました。その名の通り、キャリア支援を基礎に、変革人財づくりに挑戦し、企業変革をリードする。それにより中小企業の未来を共に切り拓く。歴史的な転換点に立つ私たちに課せられた使命は、まさにそこにあります。
※文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のものです。
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