2019年、アルプス電気とアルパインが経営統合して誕生したアルプスアルパインは、主に電子部品や車載情報システムの開発・製造を手掛ける。統合以降進めてきた中期経営計画は、2025年度から第3次計画が始動。新たな組織として生まれ変わるためにどのような指針の下、取り組みを行っているのか、人事部の松浪氏に伺った。

アルプスアルパイン株式会社 人事部 部長
松浪 孝昭 氏
1999年、新卒でアルプス電気(現:アルプスアルパイン)入社。グループ内の勤労専門のセクションに約4年間出向。その後、本社のほか、宮城や新潟、中国などさまざまな支社にて一貫して人事・総務職に従事。2025年1月より現職。
2019年の統合以降、「融合」を目指してきました。しかし、扱う製品も文化も異なる2社の融合は難しく、社員からも「会社の方向性が不透明」という声が多くありました。また近年、自動車業界の安全・品質管理の複雑化により制約が増し、自由な挑戦が難しくなる中、内向きで受け身な姿勢が強まっていました。この状態を打破すべく、役割等級へ人事制度を変更したほか、管理職には対話を通じた部下の挑戦を支援するよう求めました。しかし、人材やスキルの不足、役割と業務の不一致などにより、現場の管理職が疲弊してしまう事態に陥ったのです。
当社には《人に賭ける》という言葉があります。創業者の片岡勝太郎は「企業が潰れても個人が潰れるわけにはいかない。自らの売り物を堂々と主張できる」個人であることを社員に求めました。苦境の今、創業精神に立ち返るべきと考え、管理職が《人に賭けるマネジメント》のできる環境づくりに本腰を入れています。また、2025年5月には、今後10年を見据えた新ビジョン「人の感性に寄り添うテクノロジーで未来をつくる」を発表。当社が培ってきた人とモノをつなぐ技術をさらに磨き、人の感性とテクノロジーが自然につながる世界の実現を目指し、一丸となって挑戦し始めたところです。
こうした背景から、社員が個々の強みを生かしながら働ける風土づくりの必要性を改めて感じています。生産効率や品質管理の面で、同質的な価値観や上意下達は現場の強みでもあったので、そこに多様性をどう生かせるのか悩ましいところはあります。しかし、製造現場でも改善の余地は常にあり、個々のアイデアを解放し、それを受容できるインクルーシブな組織になることは、今後の企業成長には不可欠です。そのためには、組織のコアとなる管理職が、部下一人ひとりの強みを組織力に転換することが重要です。それが《人に賭けるマネジメント》であり、その実現に向けて管理職を支えることが人事の務めだと考えています。
《人に賭けるマネジメント》を進める上で、大切にしているのは社員の声を聴くことです。私は中国の生産拠点の管理部門へ出向していた際に、大規模な労働争議を経験しました。社員が働いてくれない状況の中、直接声を聴く機会を設け、個々の要望を一つずつ解決していった結果、数年かけて信頼関係を築き、離職率も大幅に下がりました。社員は常に会社と一心同体な存在であるわけではなく、それぞれ異なる価値観を持つ人々です。それを念頭に社員の声をまず聴くことが原点ともいえます。
今後の課題は、人事が目指す組織の在り方について、経営や現場からも理解を得られるよう多角的な視点で伝え、社内に浸透させることです。多様性や対話の価値は、数値化や業績への可視化が難しく、理解されづらい傾向にあります。しかし、イノベーションは優れた技術だけでは起こらず、活用シーンに想像を広げ、人の知やアイデアが交わる先に生じるのだと思います。だからこそ、既存の価値観を変え、人の可能性が発揮される風土をつくり直す必要があるのです。人事としてその変革の実現に尽力していきます。
※文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のものです。
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