調査・研究コラム

「人」との向き合い方が これからの経営を左右する

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本間 浩輔

株式会社パーソル総合研究所 取締役/シンクタンク本部 本部長
株式会社朝日新聞社 社外取締役
株式会社東急エージェンシー HRXアドバイザー
スポーツヒューマンキャピタル 代表理事
立教大学大学院 経営学専攻 リーダーシップ開発コース 客員教授

本間 浩輔

1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。2000年スポーツナビの創業に参画。同社がヤフー傘下入りした後は、人事担当執行役員、取締役常務執行役員(コーポレート管掌)を歴任。2021年より現職。著書に『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』(ダイヤモンド社)など多数。

今、日本は人口減少により労働力が不足すると同時に、技術革新によりビジネスの高度化が進んでいます。企業は採用がますます難しくなり、今まで以上に従業員にクリエイティブな仕事を求めるようになっていくでしょう。そこで最も懸念されることは、この状況下で人々が生き生きと働けているかどうかです。その意味では、当社調査にもある管理職の部下への関わり方や60代の働き方、中でも若手従業員のメンタルヘルス不調の増加は特に注目すべきテーマだと感じています。実際、社会やキャリアの入り口に立つ若手がメンタルヘルス不調になり、サポートも十分受けないまま会社を辞めているケースが、他の年代に比べて多い現状があります。

人事や経営に携わる者として、若手のメンタルヘルス不調がこれだけ増えている事実を反故(ほご)にしてはならないと強く思います。しかし、最近、働く人々に対する企業のまなざしに優しさがなくなっているように感じ、気掛かりです。労働力不足を背景に、「企業経営のため、働く人の不足は困る」「少子化は社会保障が機能しなくなるため問題だ」といった議論が多く聞かれますが、こうした議論は端緒においてすでに誤りなのではないでしょうか。

かくいう私もかつては、企業は競争に勝つことに意味があり、そのために人事があるという考えに立っていました。しかし、人的資本経営への注目が高まってきた頃から、経営や人事としての哲学的に、人を企業のもうけや経済成長のために《使う》という考え方に偏ることは果たしてどうなのか、と思うようになりました。これからの経営というものを考えたときに、利益を上げる企業のみが評価されるかは疑問です。もちろん、利益が出ない企業は働く人にとっても魅力がないことは確かです。健全な利益の追求、人が幸せになるために健全に働けるという企業の在り方は、今の資本主義の中では難しいかもしれませんができないわけではないと思うのです。そして、そのためには人に対する企業の向き合い方は変わっていく必要があります。企業のパーパスや戦略が多様であるように、人に対する考え方も多様になっていく。これからは、働く人に対する企業の考え方・ポリシーが競争の源泉のひとつとなり、働く人から選ばれるポイントになってくるかもしれません。

当社には、こうしたポリシーの重要性を長年主張し続けてきた研究員がいます。また、人事コンサルタントとして専門性を築いてきた研究員もいれば、他の専門分野から集った研究員もいて、それぞれがオンリーワンの存在です。総合研究所とは、いろいろな人がいるからこそ「総合」と呼ばれます。多様な研究員たちが、積極的に外部との交流を持ちながら、特定の企業の利益のためではなく、日本を元気にするために研究し、世の中に向けて提言していく。パーソル総合研究所は、そのようなユニークな存在であると自負しています。皆さまには、当社の調査研究を活用していただくとともに、さまざまな形で関わり合っていただけるとうれしい限りです。皆さまとの関わりを通して多様性をさらに広げ、今後AIが解けないような課題にも解を見いだせるような、力強い組織を目指していきたいと考えています。

文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のものです。

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