インタビュー

《人事自身の変革》事業成長の一翼を担う存在に 今こそ人事が変わるべきとき

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電通は2024年からビジネスの拡張に乗り出し、大きな変革の時期を迎えている。企業が目指す事業変革において、人事が担う役割とは何か。2022年に電通および国内グループ各社のコーポレート機能を強化するために発足した電通コーポレートワンで、人事を率いる佐藤氏にお話を伺った。

佐藤 淳 氏

株式会社電通コーポレートワン 執行役員 人事オフィス長 佐藤 淳 氏

新卒で電通に入社し16年間ビジネスプロデュース(営業)を経験。2016年に関連会社の電通アイソバーに取締役として出向し、人事含むコーポレート部門を担当。18年電通に帰任し、人事局へ配属。22年より、国内の電通グループ約150社のコーポレート機能を担う電通コーポレートワンの人事オフィス長。

Index

  1. 人事のための人事ではなく事業のための人事へ
  2. 事業部門の理解を深めることが人事変革の起点になる

人事のための人事ではなく事業のための人事へ

佐藤氏

現在、電通は既存の広告・マーケティング企業の枠を超えた新たなビジネスモデルの開拓に取り組んでいます。これまで培ってきた広告事業のノウハウを生かしたコンサルテーションによって、顧客企業の成長を支援するパートナーを目指そうというものです。グループ全体の経営体制も刷新し、まさに大きな転換期といえる時期を迎えています。

こうした中で、人事の責任者として私自身が今、一番意識しているのは「事業部門だけでなく、人事部門も変わらなくてはならない」ということです。ビジネスモデルが変わるということは、そこで働く人たちに求められる要件も変わることを意味します。しかし、われわれ人事は一度策定した制度や規則を守ることを優先しがちです。それでは、変化に対応できないどころか、変化のブレーキになりかねません。「数字を伸ばすのは事業部門の仕事、人事の役目は守り」という従来の《型》から脱却し、人事のプロフェッショナルとして、事業部門側の課題を的確にキャッチし、積極的に事業を後押しするような提案ができる存在にならなければ、と考えています。そのためには、人事自身が「事業成長の一翼を担っている」という意識で仕事に向き合うことが必要だと感じています。

事業部門の理解を深めることが人事変革の起点になる

佐藤氏

企業の成長を推進できる人事になるには、事業部門との対話を積み重ねるしかないと思っています。特に変化が激しい現代において、現場で何が起こっているのか、何に困っているのかということを、人事は把握しておくべきです。事業部門に対する人事の提案を検討するにも、その情報が起点になるはずだからです。

例えば、事業部門社員からの問い合わせに対して、人事関連のことについて詳しくない相手の立場に立って、分かりやすい説明に努める。それだけでも、事業部門担当者は顧客対応に充てる時間を増やせ、事業貢献につながるわけです。そうして信頼の構築を積み重ねることで、この先、事業部門に対して同じ提案をしても「人事が事業のために何かしてくれようとしている」と、受け取り方も、その後の行動も変わってきます。そのため、今は事業部門との接点を増やす機会を積極的に設けるようにしています。相手に歩み寄り、理解し、信頼関係を築く。そうすることで提案したことが形になる。その喜びを人事のメンバーにもっと経験してほしいと思っています。

こう考える背景には、私自身の営業職時代の経験があります。営業は担当企業の要望を実現するため、コミュニケーションをとって情報収集し、企画提案を行い、さまざまな人の力を結集して形にします。人事の仕事も、人事にとってのクライアントである社員の生産性を高めるために、意見を聞き、提案し、形にする。それが結果的に企業の成長につながっていくのです。

こうした意識を人事全体に浸透させるのは、一朝一夕には成し遂げられません。それには、人事の仕事もすべてが事業の成長につながっているのだと伝え続けるしかないと思っています。企業が変革している今だからこそ、人事の真価を発揮する好機。そう捉え、これからも《人事自身の変革》を推し進めていきます。


※文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のものです。

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