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パーソル総合研究所「従業員サーベイに関する定量調査」
【共通条件】:全国20-64歳、300人規模以上の企業
【従業員調査】:1年以内に従業員サーベイが実施された会社の正社員 計2500人
【人事調査】:
SC調査:経営層・経営企画・役員/総務・人事の係長以上の職位者 1084人
本調査:上記条件に加え、1年以内に従業員サーベイが実施された企業の者 500人
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
2026年 3月6日-3月11日
株式会社パーソル総合研究所
本調査で扱う従業員サーベイは、一般的な従業員に向けて実施する会社の調査・アンケート・サーベイを指す。また、ストレスチェックは除外している。
サーベイ実施率は76.7%。企業規模が大きいほど実施率が8割を超えて高いが、300~500人未満でも7割程度は実施しており、かなり広く実施されている。
サーベイを開始した時期は、過去5年以内が52.8%と過半数を超える。
主だったサーベイについて、実施頻度は「年1回」が50.6%で最多、「年2回(半年に一回)」が27.4%。年に1~2回が一般的である。
サーベイの実施主体は「人事部・総務部」が79.2%と圧倒的に多く、人事主導の運用が中心である。「経営企画/経営層(31.0%)」の関与も一定数ある一方で、「現場主導」は限定的である。
サーベイの測定項目は、「会社満足度(56.0%)」、「上司との関係(54.4%)」、「エンゲージメント(53.6%)」が上位。働き方や職場関係なども広く測定されており、全体的になだらかな分布を描く。
測定項目の中で重視している項目は、「エンゲージメント(36.8%)」が最多であり、続いて「会社満足度(30.0%)」、「コンプライアンス(27.8%)」が続く。多様な項目の中でも、重点は従業員の心理・満足系と統制的な管理領域に集中している。
サーベイ結果の活用方法として最も多いのは、「経営会議での報告(69.8%)」。一方で組織変革や職場対話などの実行フェーズは約半数にとどまり、活用が報告・共有に偏る傾向がある。
現場へのサーベイ結果の共有方法としては、「部署単位の説明会(30.8%)」が最多であり、「経営層からのメッセージ発信(28.2%)」「社内ポータルでの公開(28.2%)」など、複数手段で共有されている。一方で共有していないケースも一定数存在する。
人事から見たサーベイの《設問設計》と《分析》における課題を見た。設問設計の課題は、「質問数が多すぎる(36.4%)」、「本音で答えにくい(35.6%)」が上位である。
分析の課題は、「個人と紐づけた分析ができない(38.4%)」「他社との比較ができない(38.0%)」などが上がった。
人事から見たサーベイの《運用》の課題も見た。全体的に、多くの課題がなだらかに並ぶが、最多は「同じ課題の繰り返し(42.0%)」。続いて、「結果をもとに本音で話し合えていない(37.8%)」「改善をリードする主体が不明確(36.8%)」「進捗が確認されていない(36.6%)」など、運用プロセスにおける実効性や対話・推進力の弱さが課題である。
サーベイ運用の《担当者》の課題については、「人数が足りない」が47.0%、「専門性が無い」が45.8%、「工数をかけられない」が45.8%といずれも高い。そうした中で、アウトソーシングが盛んであり49.2%がサービス・パッケージを利用し、完全に内製化している会社は22.0%と少数派。
従業員から見たサーベイの《設問》の課題は、「質問数が多すぎる(38.6%)」が最多であり、「本音で答えにくい(29.7%)」が続く。先述した、人事から見た設問設計の課題の上位と同じ結果である。
従業員から見たサーベイ全体の課題は、「これまで回答しても変化を感じない(45.9%)」、「形式的な取り組みに感じる(44.5%)」が上位である。実践的な意味の無さを強く感じられている。
サーベイに対して「組織改善に役立っていると思う」などと感じる「サーベイの有用感」に、何がネガティブ/ポジティブに影響しているかを多変量解析の手法で分析した。
ネガティブな影響を見ると、質問内容が自社の実情に合っていないなどの「1.設計の課題」、「どうせ変わらない」という諦めがあるなどの「2.対話の課題」、会社が本気で取り組んでいると感じないなどの「3.見え方の課題」の3つの領域が、サーベイの有用感にネガティブな影響を与えていた。
サーベイの有用感にネガティブな影響を与える要素に対して「あてはまる」と回答した平均値と、サーベイの有用感への影響の強さをマッピングした。「会社が本気で取り組んでいると感じない」「改善の進捗や成果が見えない」「なぜ実施しているのかわからない」は影響が大きく、かつあてはまる企業が多く、要注意の領域。
次に、サーベイの有用感にポジティブな影響を見ると、以下の8つの要素が特定された。
このうち、サーベイ有用感に影響度の高い3つの要素「経営の本気度認知」「結果取り扱いの公平性」「本音回答意欲」について、その他のどんな要素が影響しているのかを深堀分析した。
「経営の本気度の認知」には、経営層からのメッセージ発信などの「発信方法」や、会社の改善方針などの「共有内容」が、「結果取り扱いの公平性」には、全社データ共有などの「デ共有範囲」や、対話を必ず実施などの「対話」が、「本音回答意欲」には、答えにくい聞き方などの「サーベイ課題」や、好き嫌いで人を評価するなどの「組織風土」が影響していた。
これらサーベイの有用感にポジティブな影響を与える8つの要素を基に、今後より良いサーベイを実施するためのサーベイの質を上げる要素として「可視化の質」「対話の質」「実装の質」「関与の質」の4つの領域で整理した。
日本企業の従業員サーベイは、近年急速に普及した。多くの企業で定期実施が制度化され、実施すること自体はもはや当たり前の光景となっている。しかし、普及段階を終えた従業員サーベイは、すでに多くの企業で機能不全の段階に入っていることが今回示唆された。
その背景には、いくつかの典型的な問題がある。例えば、エンゲージメント概念が企業ごとに恣意的に定義されている点、分析・解釈を担う専門人材が不在である点、サーベイ結果が施策や意思決定に十分に結びついていない点などだ。
そして最大の課題は、そうした課題が解決されないまま、実効性を欠いた運用が繰り返されていることにある。サーベイ実施の是非自体が戦略的に検討されず、人事の定期ルーティン作業になっているのが多くの企業の実情だろう。その形骸化が従業員に伝わり、さらなる形骸化を生んでいることも今回の調査で明確になっている。
良いサーベイを実施するための要素は、「対話」や「分析」といった一つの要素で成り立っていない。整理したように、「可視化の質」「対話の質」「実装の質」「関与の質」の4つの領域にわたっており、全体を捉えながらメンテナンスすることが求められる。
「測ること」そのものが目的化したサーベイに、従業員はついてこない。普及期を終えた日本の従業員サーベイがより良い就業環境を創ることにつながるヒントになれば幸いである。
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「従業員サーベイに関する定量調査」
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