調査レポート

従業員サーベイに関する定量調査

公開日:

引用について
本報告書の内容は、著作権法が認める引用の範囲内であれば、出所を明記の上で、ご自由に引用・転載いただいて構いません。
(記載例)パーソル総合研究所 「調査名称」

調査概要

調査名称

パーソル総合研究所「従業員サーベイに関する定量調査」

調査内容
  • 企業が実施する従業員サーベイの実情と課題を明らかにする
  • より良い従業員サーベイのための実践的な示唆を探る
調査対象

【共通条件】:全国20-64歳、300人規模以上の企業
【従業員調査】:1年以内に従業員サーベイが実施された会社の正社員 計2500人
【人事調査】:
SC調査:経営層・経営企画・役員/総務・人事の係長以上の職位者 1084人
本調査:上記条件に加え、1年以内に従業員サーベイが実施された企業の者 500人

調査方法

調査会社モニターを用いたインターネット定量調査

調査時期

2026年 3月6日-3月11日

実施主体

株式会社パーソル総合研究所

  • 図版の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合がある。カッコ内はサンプル数を示す。

調査報告書 全文

調査概要・サマリ

  • 調査概要(目的・対象・方法)/本調査の全体サマリ
  • 提言|サーベイの「機能不全期」を乗り越えるために

従業員サーベイの実態

  • サーベイ実施率と普及状況/未実施企業の実態
  • サーベイ開始時期と実施数/サーベイの目的
  • サーベイの名称/実施頻度と対象範囲/実施主体と周知方法
  • 回答時間の実態/測定項目の全体像/重視されている測定項目
  • サーベイ結果の活用シーン/結果共有の方法と内容 など

従業員サーベイの現状の課題

  • ❶ 人事側から見た課題
  • 設問設計・分析の課題/エンゲージメント概念の多義性
  • サーベイ運用プロセスの課題/担当者のリソース・専門性不足
  • ❷ 従業員側から見た課題
  • 設問に対する負担・違和感/サーベイ全体への形骸化認識
  • サーベイ目的の認識ギャップ
  • ❸サーベイ対話の実態と課題
  • 対話機会の実態とアクション化/ファシリテーションと実施タイミング
  • 対話の心理的・構造的障壁 など

より良い従業員サーベイのために

  • 有用感を下げる要因(多変量分析)
  • 有用感を高める8つの要素(多変量分析) など

その他トピック|サーベイの無回答者をどう扱うべきか

  • サーベイ回答率の実態/無回答の扱いと企業の対応
  • 無回答者の特徴/無回答の理由/回答率に影響する要因

Appendix

  • 回答者属性

「従業員サーベイ」について

本調査で扱う従業員サーベイは、一般的な従業員に向けて実施する会社の調査・アンケート・サーベイを指す。また、ストレスチェックは除外している。

従業員サーベイの実態

企業規模を問わず従業員サーベイは浸透

サーベイ実施率は76.7%。企業規模が大きいほど実施率が8割を超えて高いが、300~500人未満でも7割程度は実施しており、かなり広く実施されている。

図表1.従業員サーベイ実施率

従業員サーベイ実施率

従業員サーベイの開始時期は直近5年以内が過半数

サーベイを開始した時期は、過去5年以内が52.8%と過半数を超える。

図表2.従業員サーベイの開始時期(%)

従業員サーベイの開始時期(%)

従業員サーベイは年1〜2回実施が主流

主だったサーベイについて、実施頻度は「年1回」が50.6%で最多、「年2回(半年に一回)」が27.4%。年に1~2回が一般的である。

図表3.従業員サーベイ実施頻度(%)

従業員サーベイ実施頻度(%)

従業員サーベイの運用は人事主導が約8割

サーベイの実施主体は「人事部・総務部」が79.2%と圧倒的に多く、人事主導の運用が中心である。「経営企画/経営層(31.0%)」の関与も一定数ある一方で、「現場主導」は限定的である。

図表4.従業員サーベイ実施主体(複数回答・%)

従業員サーベイ実施主体(複数回答・%)

測定項目は会社満足度・上司関係・エンゲージメントが上位

サーベイの測定項目は、「会社満足度(56.0%)」、「上司との関係(54.4%)」、「エンゲージメント(53.6%)」が上位。働き方や職場関係なども広く測定されており、全体的になだらかな分布を描く。

図表5.従業員サーベイの測定項目(複数回答・%)

従業員サーベイの測定項目(複数回答・%)

重要項目はエンゲージメントが最多

測定項目の中で重視している項目は、「エンゲージメント(36.8%)」が最多であり、続いて「会社満足度(30.0%)」、「コンプライアンス(27.8%)」が続く。多様な項目の中でも、重点は従業員の心理・満足系と統制的な管理領域に集中している。

図表6.重視している従業員サーベイ測定の項目(複数回答・%)

重視している従業員サーベイ測定の項目(複数回答・%)

従業員サーベイの結果は経営報告に偏り、実行への活用は限定的

サーベイ結果の活用方法として最も多いのは、「経営会議での報告(69.8%)」。一方で組織変革や職場対話などの実行フェーズは約半数にとどまり、活用が報告・共有に偏る傾向がある。

図表7.従業員サーベイ結果の活用シーン(%)

従業員サーベイ結果の活用シーン(%)

従業員サーベイの結果は複数手段で共有

現場へのサーベイ結果の共有方法としては、「部署単位の説明会(30.8%)」が最多であり、「経営層からのメッセージ発信(28.2%)」「社内ポータルでの公開(28.2%)」など、複数手段で共有されている。一方で共有していないケースも一定数存在する。

図表8.現場への従業員サーベイ結果の共有方法(複数回答・%)

現場への従業員サーベイ結果の共有方法(複数回答・%)

従業員サーベイの現状の課題

従業員サーベイの設問設計は「質問数の多さ」が課題

人事から見たサーベイの《設問設計》と《分析》における課題を見た。設問設計の課題は、「質問数が多すぎる(36.4%)」、「本音で答えにくい(35.6%)」が上位である。

分析の課題は、「個人と紐づけた分析ができない(38.4%)」「他社との比較ができない(38.0%)」などが上がった。

図表9.人事側から見た従業員サーベイの設問設計と分析の課題

人事側から見た従業員サーベイの設問設計と分析の課題

従業員サーベイの運用課題は「同じ課題の繰り返し」が最多

人事から見たサーベイの《運用》の課題も見た。全体的に、多くの課題がなだらかに並ぶが、最多は「同じ課題の繰り返し(42.0%)」。続いて、「結果をもとに本音で話し合えていない(37.8%)」「改善をリードする主体が不明確(36.8%)」「進捗が確認されていない(36.6%)」など、運用プロセスにおける実効性や対話・推進力の弱さが課題である。

図表10.人事側から見た従業員サーベイの運用の課題(あてはまる計・%)

人事側から見た従業員サーベイの運用の課題(あてはまる計・%)

サーベイ担当者は人員と専門性不足に直面

サーベイ運用の《担当者》の課題については、「人数が足りない」が47.0%、「専門性が無い」が45.8%、「工数をかけられない」が45.8%といずれも高い。そうした中で、アウトソーシングが盛んであり49.2%がサービス・パッケージを利用し、完全に内製化している会社は22.0%と少数派。

図表11.従業員サーベイ担当者の課題

従業員サーベイ担当者の課題

従業員も「質問数の多さ」を課題視

従業員から見たサーベイの《設問》の課題は、「質問数が多すぎる(38.6%)」が最多であり、「本音で答えにくい(29.7%)」が続く。先述した、人事から見た設問設計の課題の上位と同じ結果である。

図表12.従業員から見た従業員サーベイの設問の課題(あてはまる計・%)

従業員から見た従業員サーベイの設問の課題(あてはまる計・%)

サーベイの形骸化が従業員の不信感を生む

従業員から見たサーベイ全体の課題は、「これまで回答しても変化を感じない(45.9%)」、「形式的な取り組みに感じる(44.5%)」が上位である。実践的な意味の無さを強く感じられている。

図表13.従業員から見た従業員サーベイ全体の課題(あてはまる計・%)

従業員から見た従業員サーベイ全体の課題(あてはまる計・%)

より良い従業員サーベイのために

サーベイが役立たないと感じられる背景は3つの課題領域にある

サーベイに対して「組織改善に役立っていると思う」などと感じる「サーベイの有用感」に、何がネガティブ/ポジティブに影響しているかを多変量解析の手法で分析した。

ネガティブな影響を見ると、質問内容が自社の実情に合っていないなどの「1.設計の課題」、「どうせ変わらない」という諦めがあるなどの「2.対話の課題」、会社が本気で取り組んでいると感じないなどの「3.見え方の課題」の3つの領域が、サーベイの有用感にネガティブな影響を与えていた。

図表14.従業員サーベイの有用感を下げる3つの領域

従業員サーベイの有用感を下げる3つの領域

特に注意すべきは「本気度」「改善進捗」「実施目的」の伝達不足

サーベイの有用感にネガティブな影響を与える要素に対して「あてはまる」と回答した平均値と、サーベイの有用感への影響の強さをマッピングした。「会社が本気で取り組んでいると感じない」「改善の進捗や成果が見えない」「なぜ実施しているのかわからない」は影響が大きく、かつあてはまる企業が多く、要注意の領域。

図表15.従業員サーベイの有用感を下げる要素

従業員サーベイの有用感を下げる要素

サーベイの質向上に欠かせない4つの改善領域

次に、サーベイの有用感にポジティブな影響を見ると、以下の8つの要素が特定された。

  1. 【経営の本気度認知】:経営が本気で動いている
  2. 【結果取り扱いの公平性】:公正・平等に結果が扱われている
  3. 【本音回答意欲】:安心して本音で答えられる
  4. 【結果のわかりやすさ】:なにが問題かがわかる
  5. 【改善実感】:どう扱われるかが見える
  6. 【経営参画感】:自分の声が意思決定につながる
  7. 【プロセスの透明性】:どう扱われるかが見える
  8. 【対話の機会と深さ】:本音で話す機会がある

このうち、サーベイ有用感に影響度の高い3つの要素「経営の本気度認知」「結果取り扱いの公平性」「本音回答意欲」について、その他のどんな要素が影響しているのかを深堀分析した。

「経営の本気度の認知」には、経営層からのメッセージ発信などの「発信方法」や、会社の改善方針などの「共有内容」が、「結果取り扱いの公平性」には、全社データ共有などの「デ共有範囲」や、対話を必ず実施などの「対話」が、「本音回答意欲」には、答えにくい聞き方などの「サーベイ課題」や、好き嫌いで人を評価するなどの「組織風土」が影響していた。

図表16.サーベイ有用感を上げる要素

サーベイ有用感を上げる要素

これらサーベイの有用感にポジティブな影響を与える8つの要素を基に、今後より良いサーベイを実施するためのサーベイの質を上げる要素として「可視化の質」「対話の質」「実装の質」「関与の質」の4つの領域で整理した。

図表17.従業員サーベイの質のチェックリスト

従業員サーベイの質のチェックリスト

[分析コメント]従業員サーベイの「機能不全期」を乗り越えるために

日本企業の従業員サーベイは、近年急速に普及した。多くの企業で定期実施が制度化され、実施すること自体はもはや当たり前の光景となっている。しかし、普及段階を終えた従業員サーベイは、すでに多くの企業で機能不全の段階に入っていることが今回示唆された。

その背景には、いくつかの典型的な問題がある。例えば、エンゲージメント概念が企業ごとに恣意的に定義されている点、分析・解釈を担う専門人材が不在である点、サーベイ結果が施策や意思決定に十分に結びついていない点などだ。

そして最大の課題は、そうした課題が解決されないまま、実効性を欠いた運用が繰り返されていることにある。サーベイ実施の是非自体が戦略的に検討されず、人事の定期ルーティン作業になっているのが多くの企業の実情だろう。その形骸化が従業員に伝わり、さらなる形骸化を生んでいることも今回の調査で明確になっている。

良いサーベイを実施するための要素は、「対話」や「分析」といった一つの要素で成り立っていない。整理したように、「可視化の質」「対話の質」「実装の質」「関与の質」の4つの領域にわたっており、全体を捉えながらメンテナンスすることが求められる。

「測ること」そのものが目的化したサーベイに、従業員はついてこない。普及期を終えた日本の従業員サーベイがより良い就業環境を創ることにつながるヒントになれば幸いである。


※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「従業員サーベイに関する定量調査」

調査報告書 全文

調査概要・サマリ

  • 調査概要(目的・対象・方法)/本調査の全体サマリ
  • 提言|サーベイの「機能不全期」を乗り越えるために

従業員サーベイの実態

  • サーベイ実施率と普及状況/未実施企業の実態
  • サーベイ開始時期と実施数/サーベイの目的
  • サーベイの名称/実施頻度と対象範囲/実施主体と周知方法
  • 回答時間の実態/測定項目の全体像/重視されている測定項目
  • サーベイ結果の活用シーン/結果共有の方法と内容 など

従業員サーベイの現状の課題

  • ❶ 人事側から見た課題
  • 設問設計・分析の課題/エンゲージメント概念の多義性
  • サーベイ運用プロセスの課題/担当者のリソース・専門性不足
  • ❷ 従業員側から見た課題
  • 設問に対する負担・違和感/サーベイ全体への形骸化認識
  • サーベイ目的の認識ギャップ
  • ❸サーベイ対話の実態と課題
  • 対話機会の実態とアクション化/ファシリテーションと実施タイミング
  • 対話の心理的・構造的障壁 など

より良い従業員サーベイのために

  • 有用感を下げる要因(多変量分析)
  • 有用感を高める8つの要素(多変量分析) など

その他トピック|サーベイの無回答者をどう扱うべきか

  • サーベイ回答率の実態/無回答の扱いと企業の対応
  • 無回答者の特徴/無回答の理由/回答率に影響する要因

Appendix

  • 回答者属性

THEME

注目のテーマ

    CONTACT US

    お問い合わせ

    こちらのフォームからお問い合わせいただけます

    お問い合わせフォーム

    FOLLOW US

    最新情報をチェック!

    メルマガ登録・公式SNSフォローで最新情報をお届けします。