調査レポート

第四回 副業の実態・意識に関する定量調査

公開日:

引用について
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(記載例)パーソル総合研究所 「調査名称」

調査概要

調査名称

パーソル総合研究所 「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」

調査内容
  • 副業推進に関する動向を明らかにする。
  • 「副業転職」や、業務委託による副業の「労働者性」(労働基準法の「労働者」に該当するか否か)の実態を確認する。
調査対象

【企業調査】n=1,500s
従業員人数10人以上の勤務先に勤める全国男女20~60代の正社員
経営層・人事(主任・リーダー以上)で人事管理(制度設計・運用等)について把握している者

【個人調査①】n=62,320s(うち、正社員20~50代 n=38,766s)
従業員人数10人以上の勤務先に勤める全国男女20~60代の有業者

【個人調査②】(※個人調査①の対象条件に加えて)
1.副業実施者 n=3,000s(うち、正社員20~50代 n=1,866s)
現金収入を伴う本業以外の仕事を現在行っている者(アンケートモニターのポイント収入や資産運用は除く)
2.副業転職者 n=500s
直近3年以内に副業先の企業に転職したことがある正社員
3.通常転職者 n=500s ※セル2に対する比較群(セル2の性年代構成比に合わせて割付)
直近3年以内に転職したことがある正社員

調査方法

調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 (2025年8月1日 – 8月7日に調査実施)

実施主体

株式会社パーソル総合研究所

  • 報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合がある
  • 図中の括弧内の数値は、分析対象人数を表す

調査報告書 全文

調査概要

全体のサマリ

1章 : 副業推進の動向

2章 : 「副業転職」の実態

3章 : 副業による過重労働

4章 : 業務委託による副業の「労働者性」

Appendix

副業推進の動向

正社員の副業実施率、企業の副業容認率・受入率が過去最高

企業が社員の副業を認める割合「副業容認率」は64.3%(2023年調査から+3.4pt)、企業が副業する人材を外部から受け入れる割合「副業受入率」は29.1%(2023年調査から+4.7pt)で、いずれも上昇傾向。

また、正社員が副業を行っている割合「副業実施率」は2023年調査までは微減トレンドであったが、今回4.0pt上昇し、2018年の調査開始以来、最高の11.0%に転じた。

図表1.企業と正社員個人における副業実態の推移

企業と正社員個人における副業実態の推移

他社で副業する社員へのサポート率が9.0pt上昇

本業先の企業(副業を容認している企業)が、他社で副業をしている社員に対して行うサポートの実態を見た。サポート率は36.3%と、2023年調査より9.0pt上昇しており、副業推進が、一般的な取り組みとして企業間に広がりつつあることが示唆される。

図表2.本業先(副業容認企業)が副業社員に行うサポート(複数回答/%)

本業先(副業容認企業)が副業社員に行うサポート(複数回答/%)

正社員男性20代の副業実施率が上昇

正社員の副業実施率増加に関して性年代別に見ると、若年層の上昇傾向が確認されており、特に男性20代は2023年から11.4pt上昇し20.2%で、その傾向が顕著であった。

図表3.年代別|正社員の副業実施率

年代別|正社員の副業実施率

※カッコ内はn数 ※総務省「令和2年国勢調査」における正規職員・従業員の性年代構成比に合わせてウェイトバック補正

「収入補填」が理由の副業は減少

副業を行う理由は「副収入(趣味に充てる資金)を得たい(62.6%)」「生活するには、本業の収入だけでは不十分(51.6%)」「現在の仕事での将来的な収入に不安がある(51.6%)」といった収入補填の理由が上位であるが、2023年調査よりも減少。

図表4.副業実施理由の推移(%)

副業実施理由の推移(%)

副業実施理由は「キャリア形成・自己実現」へシフト

副業を行う理由の推移を年代別に確認し、特徴的な項目を掲載した。「本業では自分の好きな仕事ができない」「自分のスキルが他の場所でも通用するか試したい」は特に20代で高く、上昇トレンドも見られる。副業を行っている20代は、本業に対して自己実現や理想とするキャリア形成のすべてを期待・依存していない様相がうかがえる。

図表5.年代別|副業実施理由の推移(%)

年代別|副業実施理由の推移(%)

「副業転職」の実態

副業経験者の6.7%が副業先に転職、20代は13.6%

副業経験者の6.7%が、「副業先の企業へ転職した経験がある」と回答。その経験率は若年層ほど高く、20代では13.6%。

図表6.副業先へ転職した割合

副業先へ転職した割合

副業先の企業へ転職する人が増加

副業先(副業受入企業)側に、「(他社の)副業人材が自社に転職してきたことがあるか」を問うた。「あり」の割合は、2023年よりも7.0pt上昇し55.6%。副業先の企業へ転職する人の割合が近年増えている可能性が示唆される。

図表7.(他社の)副業人材が自社に転職してきた割合(%)

(他社の)副業人材が自社に転職してきた割合(%)

副業先の企業へ転職した人は転職前の会社への不満が高い

副業先の企業へ転職した人(副業転職者)が当時(転職前)の本業先へ不満を抱いていた割合(91.6%)は、通常の転職者と比べて9.2pt高い。特に 「やりたい仕事やアイデアがあるが、実現できない」や「転勤がある」、「経営や会社のビジョン・方針に共感できない/すぐに変わる」項目で高い傾向。

図表8.当時(副業転職前)の本業先に対する不満

当時(副業転職前)の本業先に対する不満

副業先の企業へ転職した人は上昇志向傾向

副業転職者の特徴を、通常転職者と比較することで分析した。副業転職者のキャリア志向は、「昇進・昇格し、高い役職に就くこと」や「予期せぬ出会いや機会を活かしたキャリア形成」、「新しい環境や役割への積極的な挑戦」の志向性が強く、「仕事とプライベートの調和」や「1つの組織で、長く安心して働き続けること」の志向性が低い傾向が見られる。

図表9.副業転職者のキャリア志向性(通常転職者との比較)

副業転職者のキャリア志向性(通常転職者との比較)

副業による過重労働

過重労働が過去最高水準

副業を行うことで、「過重労働となり、仕事に支障をきたした」「過重労働となり、体調を崩した」と回答した個人は26.9%。また、副業を認めることで、「従業員の過重労働につながった」「従業員が疲労によって業務効率が低下した」と回答した企業は18.5%となり、副業実施者が過重労働に陥る割合は、調査開始以降最も高い傾向となった。

図表10.副業実施者の過重労働実態

副業実施者の過重労働実態

本業(残業)+副業45時間超は約3割、その半数は未申告

雇用されている副業の場合、健康保護などの観点から、本業と副業の労働時間を通算して、法定労働時間の順守状況を確認するルールが課される。雇用契約を結ぶ副業実施者の副業活動時間と本業における残業時間を通算したところ、合計が45時間以上の割合は3割を超えており、その内の半数以上が「本業先に副業を行っていることを報告していない」結果となった。

図表11.副業+残業(本業)の通算時間

副業+残業(本業)の通算時間

業務委託による副業の「労働者性」

業務委託の副業を行う個人の中には、実態として労働基準法上の「労働者」に該当する働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者として扱われ、労働基準法等に基づく保護が受けられていないといった、「労働者性」の問題がしばしば指摘されている。本調査では、厚生労働省が公表しているチェックリストの内容を基に、「労働者性」の実態について調査した。

図表12.働き方の自己診断チェックリスト

働き方の自己診断チェックリスト

出所:厚生労働省.(2024). フリーランスとして働く皆さまへ. https://www.mhlw.go.jp/content/001462383.pdf

業務委託による副業の「労働者性」の問題

「労働者性」に該当する平均項目数は9項目中で3.3項目。特に、「業務代替性」や「報酬額」の項目において、労働者性のスコアが高い傾向。

図表13.「労働者性」の該当割合(%)

「労働者性」の該当割合(%)

業務委託による副業実施者の4タイプ

図表13の傾向に基づいて、業務委託による副業実施者を類型化したところ、以下の4タイプに分けられた。

  1. 自律型ワーカー:全般的に「労働者性」の該当割合が低い。
  2. 業務プロセス従属型:「報酬額」の該当割合は低いが、「資機材等の負担(仕事道具は、副業先が用意している)」「業務代替性(副業先の仕事に対して代役を立てることは認められていない)」「場所の拘束性(働く場所は副業先から決められている)」の該当割合は高い。
  3. 組織専属型:「場所の拘束性」の該当割合は低いが、「依頼許否の自由(副業先からの仕事依頼を断れない)」「報酬額」「専属性(他の副業先の仕事は制限されている)」の該当割合は高い。
  4. 名ばかり事業主:全般的に「労働者性」の該当割合が高い。

「自律型ワーカー」タイプは、労働者性のスコアが低く、業務委託の働き方の実態に即した安全層と解釈できる。その他の3タイプは、「労働者」と判断されるリスクの高い層である。特に「名ばかり事業主」タイプは、全般的に「労働者性」のスコアが高く、注意が必要な層と考えられる。

図表14.業務委託型副業のタイプ別|「労働者性」の該当割合(%)

業務委託型副業のタイプ別|「労働者性」の該当割合(%)

契約に疑問・不満あっても約半数は修正・変更を求めない

業務委託契約時の交渉の実態について確認した。契約時に修正・変更依頼を求めなかった割合は69.9%。その理由を見ると、何らかの疑問・不満があったものの、内容の修正や変更を求めなかった層が5割を超える結果となった。

図表15.業務委託契約の交渉の実態

業務委託契約の交渉の実態

[分析コメント]副業推進は新たな局面へ

2018年の「モデル就業規則」改定以降、パーソル総合研究所は副業の動向を継続的に観測してきた。第四回目となる本調査では、企業の副業容認率・受入率、個人の実施率ともに過去最高を記録し、副業の裾野が着実に広がっていることが確認された。ただし、今回見えてきたのは単なる量的拡大にとどまらない。個人のキャリア戦略が、企業という《枠》を超えて駆動し始めたことの証左である。

特に若年層では、副業は収入補填の手段にとどまらなくなっている。本業で望む仕事や役割が得られない閉塞感や、一社に依存し続けることへの危機感から、組織の枠に捉われず、新たな活動の場を模索する動きが始まっているのだ。これは、キャリアの主導権を企業に委ねず(委ねられず)、自ら切り拓こうとする「キャリアの自己防衛」といえるだろう。本調査で示された、「副業転職」(副業先の企業への転職)も、その延長線上の動きであり、入社後のミスマッチを防ぎつつ、より良い職場を探索する合理的なキャリア選択の動きと捉えられる。

一方で、課題も浮き彫りになった。副業による過重労働は過去最悪の水準に達し、企業が把握できない「隠れ過重労働」のリスクも顕在化している。さらに業務委託型の副業では、働き手の保護が不十分な「労働者性」の問題も無視できない。契約上は事業主でありながら、実態は雇用労働者のように扱われる「名ばかり事業主」と呼ぶべき層が、一定数存在することも明らかになった。

企業や社会は、こうした副業における質的転換を前提とした新たな関係性やルールを築く必要がある。とりわけ企業には、副業人材を単なる穴埋め要員として扱うのではなく、将来の社員候補や新たな知の供給源として戦略的に活用する視点が求められる。労働力不足が深刻化する中、この潮流に適応できない企業は、人材獲得競争において厳しい立場に置かれていくだろう。


※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」

調査報告書 全文

調査概要

全体のサマリ

1章 : 副業推進の動向

2章 : 「副業転職」の実態

3章 : 副業による過重労働

4章 : 業務委託による副業の「労働者性」

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