「成長を促す要因」と「抑制要因」が明らかに
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:萱野博行)は、「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」の結果を発表いたします。
上司と部下の1on1ミーティングは、部下の成長支援や信頼関係構築の手法として、2010年代後半から急速に普及し、本調査でも直近半年の実施率は55.7%に達しています。一方で、普及の過程で課題も多く指摘されるようになり、部下の3人に1人が「効果が感じられない」と回答するなど、1on1について学ぶ環境が整っていないことや上司の多忙といった課題などが浮き彫りになっています。
本調査では、1on1における「部下の成長」に焦点を当て、部下の成長を促す要因を明らかにすることを目的に実施いたしました。
1on1に関する課題は、上司・部下ともに「面談の効果が感じられない」「面談について学ぶ仕組みがない」が上位に
また、1on1の実施方針と実施頻度の関係を見ると、部下や上司が自発的に1on1を行う場合は回数が多い(部下が上司に提案して実施した場合はひと月2.8回、上司が部下に提案して実施した場合は1.8回)。他方、会社の方針・義務で実施した場合は0.5回と最も少ない。会社の方針・義務で“仕方なく”やっている場合、回数が少なくなるということだろう。
上述した「誰でも活躍しやすい環境」「仕事・ポジションの明示」「教育・訓練の手厚さ」の要素が1on1を通じた部下の成長にもプラスの影響を与えていることが確認された。部下が目標設定しやすく、学びの機会も豊富にあり、どのような従業員であれ活躍できるような人材育成を重視する組織風土のもとでは、1on1の効果も高まることを示唆している。
部下の1on1に関する研修経験の有無と成長の関係を見た。 傾聴スキル研修やコーチングスキル研修を受講した部下は、研修を受講していない部下よりも成長度が高かった(傾聴スキル「研修経験あり」7.1点、「研修経験・自己研鑽なし」6.5点。コーチングスキル「研修経験あり」7.1点、「研修経験・自己研鑽なし」6.5点)。
本調査から、上司も部下も1on1について学ぶ仕組みのなさ、上司の多忙による1on1のスケジュール設定の難しさなどに困っており、また1on1の効果をなかなか実感できていないことが明らかになった。この背景には、組織が1on1導入にあたって従業員に何のために、どのように1on1を実施するのかについてきちんと説明せず、1on1について学ぶ機会も十分な形で提供していないことがあると思われる。上司と部下は手探りで1on1を進めている様子がうかがえる。
上司も部下も1on1の改善には「人材育成」を重視する組織をつくることが必要と考えていた。本調査以前にも、1on1で部下の成長を促すためには上司のスキルが重要であることは繰り返し指摘されてきた。本調査でも、上司のマネジメント行動が部下の成長に対してプラスの影響があることを確認している。当然、上司は日頃から部下を配慮し、部下が自分ひとりではなかなか気づかない視点からの助言をすることも大切である。部下からすれば、日頃から自分をサポートしてくれる上司だからこそ、1on1時の上司の率直な発言を自分の糧にできるのではないだろうか。
しかし、上司の個人的な奮闘だけでは十分ではない。組織として「育成」に取り組むことが重要になる。組織は上司にも部下にも1on1に関する学びの機会を提供すること。上司だけではなく部下にも1on1に関する学びの機会を提供することは重要な意味を持っている。1on1に関する学びの機会を得た上司と部下が、従業員の成長を支える組織でコミュニケーションをする。その結果、部下の成長は促されると考えられる。
■部下の成長に影響する4つのポイント別に、部下の成長に繋がる1on1のあり方を整理した。
※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
※調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/1on1.html
※構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
調査名称 |
パーソル総合研究所 「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」 |
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調査内容 |
・1on1ミーティングに関する基礎情報を明らかにする ・1on1ミーティングの効果を明らかにする ・1on1ミーティングの課題を明らかにする |
調査対象者 |
直近半年間で「部下の成長支援を目的とした面談(1on1)」を行った正社員20~59歳:3,000名 *従業員50名未満の企業は除外。第一次産業、公務、その他は除外 *上司は「課長相当、部長相当、事業部長相当」、部下は「一般社員・従業員、係長相当」 *ライスケール1問正答者 |
調査手法 |
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査時期 |
2024年6月11日 – 6月13日 |
実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
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