公開日 2020/02/03
採用が難しくなってきている中、あれこれと手を尽くして採用した若手社員たちが予想通りに活躍してくれない、入社当初はやる気が高かったものの、気持ちが減退してきたのか、新しいこと・難度の高いことにチャレンジしなくなっている。このようなケースをよく耳にします。
若手社員には「自らの思い・考えに基づいてチャレンジしてほしい」、「現状維持ではなく、今を乗り越え次の時代を作り上げていけるような気概と行動力がほしい」というのが企業側の思いでしょう。そのために環境と仕事は提供しているし、あとは本人次第というのも本音だと思います。ところが「待てどもなかなかチャレンジしてくれない。一体いつまで待てばよいのか」といった嘆きの声をおもちの方も多いのではないでしょうか?
本稿では、25歳から34歳の若手社員たちをどのように「チャレンジする若手」に変えていけばよいのかについてご紹介します。
上司や先輩社員の目には、「チャレンジ意欲がどうも足りない」と映っているかもしれませんが、若手社員たちは本当に「チャレンジはしたくない」「自分はこのままでいい」と思っているのでしょうか? まずはその辺りのホンネを見ていきましょう。
当社が上場企業および関連会社に勤務する25~34歳の社員を対象に行なった2017年の意識調査(※)では、下のグラフ①にあるように「自分を大きくしたい」「チャンスをものにして次のステップに進みたい」「周囲の役に立てるように力を活かしたい」「自分らしさや価値観を大切に、自分にしかできないことを成し遂げたい」など、彼らが前向きで意欲的な仕事観をもっていることがわかります。
ところが実際の仕事の場面では(グラフ②)、「場の雰囲気を乱すような発言や行動はしたくない」「他者から批判されたり反発されたりしないようにふるまいたい」「何かに挑戦するならば、周囲が賛同してくれることに取り組みたい」「成功の見込みが立たないことは確実性を高めてから実施したい」といった思いが表出し、それがストッパーとなってせっかくの成長意欲や前向きさを活かしきれず、能力の発揮につながっていっていないことが見て取れます。
調査対象 | 上場企業および関連会社に勤務する25-34歳の社員 |
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調査方法 | インターネット調査 (調査委託先:株式会社マクロミル) |
回答期間 | 2017年9月22日~23日 |
有効回答数 | 310人 |
回答内訳 | 25-29歳:155人 30-34歳:155人 |
回答者性別 | 男性:196人(63.2%) 女性:114人(36.8%) ※労働力調査結果(総務局統計局)の「正規の社員・従業員」データをもとに、年代別に割り付け |
つまり、ホンネとしてチャレンジする気持ちや成長意欲はあるのに、周囲との調和や確実性を重視するあまり、具体的な行動につながっていかないというのが、「チャレンジしてくれない若手」の実態といってよいようです。
当の若手本人が、自分で自分を制限していることに自覚的であれば、必要に迫られて、いつかきっとアクションしてくれるでしょう。
しかし今の環境や仕事に慣れ過ぎ、馴染み切ってしまっていると、自身にとっての当たり前・常識が〝上塗り〟され、そのことにすら気づくことができなくなります。チャレンジできなくなっている若手社員に変容してもらうには、彼らの視点が変わり、行動が変わることが必要です。
では、どのように視点と行動を変えていけばよいのでしょうか。ここではイスラエルで開発された、クリエイティブで、視野を広げることを促進するツール『Points of You®』の3つの提供価値「Break Patterns」「Open Heart」「Sense of Belonging」をベースに、視点と行動の変え方を考えてみましょう。
今いる環境から物理的・時間的・心理的に少しだけ距離を置き、自分以外の視点から今自分のいる事象を見てみましょう。たとえば異なる立場や価値観の人と組織を超えて接する機会をもつことで、自社や自分の常識、今までは当たり前だと思っていた自社内における人間関係・ルール・慣習・ムードなどが、必ずしも世間の常識とは言い切れないことに気がつくことでしょう。「Break Patterns」を通じてこうした気づきを得ると、「自分もやり方を変えてみよう」「取り組んでみよう」「自社でもできるはず」といった方向に目が向くきっかけとなります。
心の内にあるモヤモヤ、釈然としない気持ちなど、「フワッとした気持ち」を相手に伝えるには、気持ちに「言葉」という「形」を与える作業が必要です。Open Heartで本音を他者と話し合うことを通じ、この言語化のプロセスを経験することで、自分の内側にある本音やコアな願いに気づくことができます。すると、「どうして今、そう感じているのか」と自ら問い始め、問いを通じて現状(環境)と気持ち(内部)にギャップを感じ始めると、「自分はこのままでいいのだろうか」と自らの行動を変えようとする方向で考え始めます。
Open Heartを通じて本音レベルで話し合うことで、相互理解、すなわち「互いの違い」と「互いの共通点」の理解が進みます。相互理解が進むと、互いにつながっている感覚を体感し始めます。つながった人同士は、互いにアドバイス、フィードバック、励まし、協力をし合うようになります。本音で「変わりたい、変えたい」という意思のレベルを共有できている者同士は、ありたい姿・なりたい将来をともに目指す「同士」から「同志」へと発展します。本音でつながっていれば、思い通りに進まない辛さやもどかしさ、悩みや葛藤も共有し合うことができ、前と上を向いて進んでいくための励ましを受けることができます。
このように、若手社員同士が切磋琢磨し(Break Patterns)、本音で語り合い(Open Heart)、互いに励まし合うことで同士から同志となり (Sense of Belonging)、それぞれが与えられた持ち場で、自らの意思により自己主導でステージを上げていく。こうした場と関係を意図的に作り出し、実践し続けることは、「言うは易く行うは難し」というのが実際ではないでしょうか。
そこで当社では「Lead My Challenge」というプログラムにて、こうした場と関係を築く仕組みを提供しています。
「Lead My Challenge」「リーチャレ塾」は、成人発達理論に基づきつつ、参加者の成人発達のステージを他者依存段階から、自己主導段階へと引き上げていくことを目指しています。
具体的には、若手の職場での主体的な挑戦を通して自らの力で成長・発達すること、相互に励まし合いながら実践を積み重ねていくコミュニティ形成を支援します。
2回の集合研修の間に3週間の実践期間を設け、モバイルラーニングを推進する革新的な学習プラットフォーム「UMU」を用いて、実践の報告と相互フィードバックを行ない続けます。
この「Lead My Challenge」では、『Points of You®』を活用しながらリアルな本音語りをしてもらう場を用意しています。なかでも「Lead My Challenge」をあらゆる業種・業界の垣根を越えて行なう公開コース・他流試合形式の「リーチャレ塾」も用意しており、好評いただいております。
若手社員にブレークスルーしてほしい、次の時代をつくる人材に育ってほしい。こうした思いをおもちでしたら、一度「Lead My Challenge」「リーチャレ塾」で、お問い合わせください。
ラーニング事業本部
トレーニングパフォーマンスコンサルタント
渡邉 規和
Norikazu Watanabe
人材ビジネス会社にてマネジメント職、支店長を経て、BPO事業プロジェクトマネジャーとして複数の新規受託案件立上げに従事。事業会社人事、組織人事コンサルティング会社コンサルタントを経て、2018年より富士ゼロックス総合教育研究所(現 パーソル総合研究所)の研修講師となる。営業スキル研修、マネジメント研修、若手育成、コーチング支援など多数の研修を担当するほか、プロボノでキャリアコンサルタントとして学生の就職支援にも従事するなど、特に若い世代の育成に力を注いでいる。
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