新人スタッフのオンボーディングから、トレーナー・店長育成まで。拡大する事業に対応した人材育成体系と現場ツールを開発
代表取締役社長 青木大輔様
執行役員人事部部長 菊田直樹様
人事部マネージャー 菊池くるみ様
フルーツジュースバー事業部 事業運営グループ
シニアマネージャー 大島亜紀子様
フルーツの専門会社として、熟度と鮮度にこだわり、「果汁工房果琳 」をはじめとするフルーツジュース専門店、フルーツタルト&カフェ専門店「フルーツピークス 」などを全国に展開している青木フルーツ株式会社。店舗が急拡大するなかで出てきたのが人材育成に関する悩みでした。スタッフのトレーニング不足、店長へ負担増、早期離職といった店舗ならではの課題をパーソル総合研究所の伴走支援でどう解決していったのか、青木大輔社長と本部スタッフの皆さまに伺いました。
―― まずはこのインタビューを読む読者にむけて貴社の自己紹介をお願いいたします。
青木氏 当社は1924年に、バナナを熟成させて卸す加工卸売問屋からスタートしました。それ以来、フルーツに関わる事業に特化してBtoBで事業展開をしてきましたが、2002年に小売・飲食業へ業態を転換し、現在はフルーツショップをはじめ、フルーツジュースバー事業、フルーツタルト&カフェ事業などを行っています。全国に展開している店舗数は約210店舗、従業員数は2025年1月時点で約2,500名おります。
――店舗が増えていく中で、人材育成の考え方や取り組みはどのように変わっていったのでしょうか。
青木氏 BtoCのフルーツジュースバー事業を2002年にスタートさせてから、ジューススタンドとカフェを合わせて店舗数は急拡大を続けてきました。人材をいかに集めていくかについては事業開始当初から取り組んできているのですが、一方で、今働いてくれているスタッフにどう活躍してもらうか、いわゆるOJTや研修といった人材育成の部分は足りていませんでした。そのため現在は育成に関するプログラムや制度を整えるなどして、継続的な人材育成に力を入れているところです。

代表取締役社長 青木 大輔様
――弊社に「階層別育成プログラム開発」をご依頼いただいた際、FB事業部(フルーツジュースバー事業)ではどのような課題を感じていらっしゃいましたか?
菊池氏 店舗に新人アルバイトが入ってきたときの受け入れ体制が整っておらず、それこそ1,000人入って1,000人辞めるというような状況で、早期離職率の高さが課題になっていました。入社時の対応を示す手引きはあったのですが、新人が入ってきた際にそれを一方的に説明するだけになっていて、アルバイトを採用しても定着しない状況が続いていました。いつまでも新人スタッフへの対応に追われ、店長への業務負担や精神的負荷がどんどん増していることが大きな課題でした。
――オンボーディング支援を開始するにあたり、店舗に伺って現場を視察させていただき、そのうえで階層別の育成プログラムとそれに必要なツールや研修をご提案させていただきました。弊社からの現場視察の報告や提案内容について、どのようにお感じになられましたか?
菊田氏 視察後の報告内容は本部スタッフの我々も感じていたことそのもので、ギャップはありませんでした。現場感のある視点で、入社した新人アルバイトからマネジメントを担う店長に至る各階層に必要な要件の整理と、現実味のある提案をしてもらいました。さらに、弊社の現状に合わせた内容に加えて、パーソル総合研究所さんの持つ知見やアドバイスもいただけたことで、「もっと改善できるんだな」と率直に感じました。

執行役員人事部部長 菊田 直樹様
――まず、新人スタッフのオンボーディング支援と、今回新設されたトレーナー(教育担当者)向けの育成プログラムの開発から着手されました。新人スタッフの教育ツール「ウェルカムブック」やトレーナー向けの教育ツール「トレーナートレーニングブック」の制作に加え、それらの活用法や研修の開発を弊社と進められたなかで、特に重視された点を教えてください。
菊池氏 いちばん重視したのは、実用性があって、なおかつ店舗で使ったときにギャップがないようにすることです。新しいツールなので、現場で使われている言葉を盛り込んだりして、スムーズに導入できるようにということは意識しました。お客様へのおもてなしを具体的な例で入れると、実際にお店でも活かすことができると考えて、「お客様がお店でジュースをこぼしてしまったとき」のように、対応例を「ウェルカムブック」に組み込んでいただきました。
大島氏 教育ツールも「トレーナー」という制度そのものも、できあがって終わりではなく、現場に浸透させて、確実に使ってもらうことが重要です。そのため、教育ツールについては、実際に運用する上でのコツやポイントに関して現場フォローや研修を行うようにしました。これは現在進行形で続けており、エリア会議や研修で他店の取り組みを情報共有しています。また、当初はなかなかトレーナーの数が増えなかったのですが、トレーナー比率を店舗の指標として定め、エリア会議で重要性を発信したり、本部でも個人のトレーニングの進捗状況を確認して、進捗が芳しくない場合には原因分析を行い細やかなサポートを実施したことで、トレーナーの数を増やすことができたと感じています。
―弊社がご支援させていただく中で、特にどのような点でお役に立つことができましたか。
菊池氏 教育ツールや研修の開発等、一連の階層別育成プログラムの開発において、私たちがもっていなかった多角的な視点から多くのサポートをいただけて、そこが本当に心強かったです。「ウェルカムブック」では、新人スタッフが初期業務まで軌道に乗るような仕掛けを多くしていただきました。たとえば、最初に、会社の理念や商品、業務上のルールなどを一方的に説明するだけではなく、新人スタッフ自身でも考え、言語化してもらうような工夫が施されています。その後、店長や先輩とのインタビューを行う等、既存スタッフとのコミュニケーションが自然に取れるようなコンテンツが組み込まれています。以前は入社の手引きがあったものの、いきなりレジ打ち等から教えたりしていましたので、「こういう仕掛けをここに入れると新人スタッフが店舗にうまく馴染めるんだな」といった視点をもつことができました。
菊田氏 従来作っていた業務マニュアルにしても、やるべきことが羅列されているだけで、教え方については、現場に任せて伝えてこなかったと気づかされました。「トレーナートレーニングブック」では、トレーナーとしての心構えから、教えるために必要な考え方やスキル等を落とし込んでいただいたことも重要だったと思います。
――新人、トレーナーの育成支援からはじまり、今後店長を目指す方の育成支援「店長トレーニングプログラム」も導入・実施いただきました。本プログラムを導入したことで何か変化は見られましたか?
大島氏 以前は、店長に求める要件やスキルが曖昧で、店長になれるかどうかは感覚で決めていたようなところがありました。「店長トレーニングプログラム」を導入するにあたり、まずはその要件とスキルを定義しました。そのうえで「店長トレーニングブック」では、人材や店舗のマネジメントに関する要素も盛り込んで学べる設計にしました。研修では、店長業務だけではなく、店長としての心構えやリーダーシップを学ぶプログラムにしました。このトレーニングブックと研修の2本立てで、店長になるための具体的な道筋を会社として明確にすることができました。店長に昇格するための要件がわかりやすくなった結果、キャリアパスが明確になり、これから店長を目指そうとする人たちの不安も減ったと感じています。
菊田氏 今では「店長トレーニングブック」で使われている言葉が共通言語になっています。「イニシアチブレベル ※1」とか「権限委譲 ※2」とか、これまで社内で使われたことがないような難しい言葉でマネージャーと店長が普通に会話しているのを聞いて、店長の視座や思考のレベルが上がったと実感しています。
※1
イニシアチブレベル … 相手の主体性を測る指標
※2
権限委譲(青木フルーツ様の定義)… 社内ルールの範囲内で、やり方を自由に決定できる権限と結果責任を与えながら、そのスタッフに最適な仕事を任せること

フルーツジュースバー事業部 事業運営グループ シニアマネージャー 大島 亜紀子様
――一連の育成プログラムに取り組んでいただいて、どのような成果を実感されていますか?
大島氏 プログラムを導入して5年が経ちますが、新人スタッフと店長や他のスタッフとの双方向コミュニケーションの仕組みができあがり、早期離職率はこの5年間で確実に下がってきました。またお客様視点で言うと、クレームの全体件数も5年間で見ると減ってきています。先ほど、ウェルカムブックにおもてなしの対応例を入れていただいたと話しましたが、「ジュースをこぼしてしまったら新しいものを用意してくれました」というお客様からのお褒めの言葉がとても増えて、ウェルカムブックの初期教育が浸透してきていることを感じます。
菊田氏 これまでは新しいものを取り入れたとき、現場からの反発がありましたし、「やらされている感」が少なからず見えていました。しかし、ウェルカムブックとトレーナートレーニングに関してはそれがほとんどありませんでした。それだけ現場が求めていた内容だったのでしょうし、現場の方々が使ってみて納得感があったということだと思います。
――FB事業部中心に取り組んできた各施策を、次はT&C事業部(フルーツタルト&カフェ事業)でも展開されました。FB事業部とは業態が異なりますが、どのような点を現場での課題として捉えていたのでしょうか?
青木氏 前提として、数年前の中期経営計画の基本方針の中に、「人が輝く組織づくり」という項目が入りました。それまでは、会社全体としての成長の柱は店舗拡大に比重を置いていましたが、それだけでは立ち行かなくなるのではないか、という危機感が生まれました。そのため、今働いている人たちが活躍できる組織づくりをしていこう、人材に投資していこうという会社の方針の下で、FB事業部から各種施策をスタートし、T&C事業部へ展開しています。
カフェ事業のフルーツピークスは、ジューススタンドを展開するFBと業態がまったく違います。店舗スタッフの人数も、少人数で回せるジューススタンドと異なり、カフェ事業は20~40人と大所帯です。しかしながら店長以外のスタッフはみな並列で役割があいまいで、そこにいるスタッフの能力やスキルで運営が左右されるような状況でした。当然、店長の負担が大きく、体系的な組織づくり、仕組みづくりを必要としていました。また、カフェ新規出店時に店長を決める際もなり手がいないような状況で、毎回本部から人を派遣し、あわただしく準備を進めるということが常態化しており、こうしたことも課題に感じていました。
――そのような現状を踏まえて、店長以外の方の役割の定義、店長トレーニングプログラムやトレーナートレーニングプログラムの開発にも伴走させていただいております。現時点で見えている変化があれば教えて下さい。
青木氏 パーソル総研さんにご支援いただき、トレーナーがいて、チーフがいて、副店長がいて、店長がいるという、店舗の中での役職の役割を定義できたことで、本部側でも店舗人材をどう配置していくかが明確にできるようになったと感じています。そのため、今後の新規出店に際し、配置をどうするか、を考えやすくなりました。
店舗の運営にあたっても、全役職への展開はこれからですが、自分たちの役割がどうなっていくかを現場スタッフがイメージできるようになったのはよかったと感じています。各トレーニングプログラムができたタイミングで店長はじめ既存スタッフに取り組んでもらったのですが、それによってスキルの伝え方や教え方が具体的にイメージできるようになり、目線がそろってきたのもとてもよかったと思っています。
菊池氏 新規出店の前に人が育っている状態が少しずつできていると感じています。年に数店舗出店していますが、現時点でトレーナーの研修を受けている方が、数年後に店長になるので、そのタイミングに合わせて研修を設定するなど、計画的な育成ができるようになったと感じています。

人事部マネージャー 菊池 くるみ様
――最後に今後の展望や弊社へのご期待をお聞かせください。
菊田氏 人事制度や評価の考え方など、まだまだ解決していかないといけない問題や課題がたくさんありますので、この育成プログラムを起点に、課題を減らしてレベルアップさせていくためのさまざまな取り組みでご支援いただきたいと思っています。
菊池氏 私はいま新卒採用の業務を担当していますが、育成プログラムの話をすると、学生たちから「他社にはないので、入社後も安心して成長していける」といった声が出てきます。社内での人材育成に力を入れつつ、学生たちにもしっかり伝えて、青木フルーツで働きたいと思ってくれる人を増やしてたくさん入社してもらいたいなと思っています。
大島氏 このトレーニングを受けた方が店長やエリアマネージャーになったとき、その内容のまま後輩スタッフたちをトレーニングして、次の人材を育てていってくれる。そうした文化を作っていきたいと考えています。
青木氏 スタッフは正社員もいれば、アルバイト・パートの方もたくさんいますが、働き方の多様化はますます広がっていきますし、多様化されていく人材を受け入れていかないと、確実に人手は足りなくなっていきます。多様性のある人たち一人ひとりが、やりがいを持って仕事をしていけるような環境を整えていきたいと思っています。そのためのアドバイスやご支援をいただけるとありがたいなと思います。

フィールドHRラボ 事業責任者 辻 寛樹
店舗拡大に伴い人材育成の課題が明確になる中、青木フルーツ様はオンボーディング支援や階層別育成教育プログラムを軸に、役割と育成プロセスを現場で活用できる形へ整理されてきました。ウェルカムブックやトレーナートレーニングブック、店長トレーニングプログラムの運用が進み、双方向コミュニケーションが機能しはじめた点が特徴的です。こうした取り組みは早期離職率やクレーム件数の変化としても現れ、「人が輝く組織づくり」はサービス業の人材育成における新たなモデルケースになり得ると考えます。

フィールドHRラボ コンサルタント 清水 利紗
青木フルーツ様の入社から店長に至るまでの教育プログラム開発に携わった者として、実際にこのプログラムを通じて成長を実感され、前向きに取り組まれているスタッフの方々のお声を伺えたことは、大変感慨深いです。
「教材は導入して終わりではない」ということは、プロジェクトを通じて青木フルーツの皆様と幾度も話し合ってまいりました。今後もこのプログラムの活用が、さらなる人材と会社の成長につながることを心より願っています。

フィールドHRラボ コンサルタント 本多 麻美
青木フルーツ様とは、当社の組織を立ち上げた当初から継続してご一緒し、現場視点を重視した育成体系づくりに取り組んできました。FB事業部では実践的な教育プログラムが完成し、現場に浸透しています。その成果を踏まえ、T&C事業部では役割定義から育成プログラム設計まで協働し、トレーナーや店長育成の仕組みが動き始めました。今後はこの仕組みをさらに浸透させ、多様な人材がやりがいを持てる文化づくりを共に推進していけることを楽しみにしています。
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