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2014.07.15

TM(タレントマネジメント)2.0への進化に向けて

タレントマネジメントという発想を武器に
今までのHRMの在り方を見直す

タレントマネジメント概念図(下図参照)は現在の人事部門が果たすべき役割「経営の質を高める」のための具体的な施策を表している。

タレマネ_図版

高いビジネス成長が見込まれる時代は従来のHRM各業務を極めればよかった。新卒一括採用・教育研修・異動・給与計算などの分野で「量」を処理することが求められていたからだ。しかし、現在は消費者のニーズ、技術、競合は絶え間なく変化している不確実性の高い時代である。HRMは戦略やビジネスゴールと結び付ける「質」を高めること、その具体的な内容がタレントマネジメント図として概念化されたのである。

例えば図に「Acquisition(人材の獲得)」という施策がある。従来のHRMの概念では「人材の獲得」であれば「採用力を高める」という発想になる。しかしタレントマネジメントでは「Capacity(組織の潜在的可能性)」を高めるための機能として考える。「組織の潜在的可能性を高める」ための「人材の獲得」であるからには、様々な優秀人材を惹き付ける魅力ある会社にしなければならない。そのためには、「働き甲斐」や「働きやすい」会社といわれるように採用だけでなく、人事企画や教育、労務といった部署が一致団結して取り組まなければならない。

つまり、タレントマネジメントの具体的な施策を実現するためには人事部門の戦略機能を高め、縦割り傾向が強い各部署間を統合していかなければならない。

人事部門が行うべき「経営の質を高める」ということは?

現在のような不確実性の高い時代には、企業は柔軟に変化に対応できるための「学習する組織」の実現と、それを担う人材の確保が重要である。よって、多種多様な人材が必要であることを認識しなければならない。アメリカでもリーマン・ショック以降、「才能はすべての社員にある」という考え方が一般化し、従来のエリート層のみを対象とする傾向が薄れている。

逆に日本企業の現状といえば、次世代候補者に関する議論で持ちきりである。また次世代候補者として挙げられる人材の要件は、顧客価値の提供より短期的なパフォーマンス貢献度を重視している傾向にある。これまで、日本企業では全社員をタレントマネジメントの対象として一人一人の「適材適所」を真剣に考え、育成・配置してきた。その基準はパフォーマンスだけでなく、人間力や社会・組織観も含めたポテンシャルをきちんと見ていたと思う。

現在グローバルで成功している欧米企業の多くが日本的な良さを取り入れ、長期的に人材を観て育成していく「ポテンシャル人材マネジメント」を行っている。逆に日本企業は短期成果主義・パフォーマンス至上主義の欧米風人材マネジメントを取り入れ、弱体化したように見える。今一度原点に帰って「ポテンシャル人材マネジメント」を行うべきだ。

ただし、現在のような不確実性の高い時代にはこれまでの「ポテンシャル人材マネジメント」そのままでは通用しないだろう。通常、事業部長や役員がコンピテンシーやスキルを見てポテンシャル人材を選出する。問題は過去から現在までに発揮したコンピテンシーやスキルの延長線上で選出されていることだ。しかし、昨今のような不確実性の高い環境の中、既存ビジネスの在り方がある日突然変わることも考えられる。ビジネスの在り方が変われば求められる能力も異なる。そうなると「ポテンシャル人材マネジメント」もタレントマネジメントそのものも成り立たなくなる。

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