「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」を発表
企業の副業容認率が60%を超える一方、正社員の副業実施率は7%で微減

地方出身の副業意向者は「ふるさと副業」への関心度が約7割。地方における人材確保の新たなヒントに

 株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、 「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」の結果を発表いたします。副業に関する調査は2018年、2021年の実施に続き今回が3回目となります。

 「副業元年」と称された2018年から5年。コロナ禍を経て、急激な円安や物価の高騰、さらには人材不足が深刻化する中、副業は多様な働き方の実現や生活の質の向上だけではなく、リスキリングや人材不足対策としても注目されています。本調査では、企業と個人(正社員)における最新の副業の実態を解明するとともに、企業と個人の双方にとって実りある副業を実現するため、副業前~副業開始~副業中の各フェーズの課題や副業後の効果などを定量的に把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施しました。

企業の副業容認率は上昇トレンドである一方で、正社員の副業実施率は微減トレンド

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主なトピックス

副業の実態

  1. 企業の副業容認率は60.9%で、21年調査より5.9pt上昇。副業解禁の動きが拡大。
  2. 企業の副業受入れ率は24.4%で、21年調査から変動なし。副業容認率とのギャップが目立つ。
  3. 正社員の副業実施率は7.0%で、21年調査より2.1pt減少。
  4. 正社員の副業意向率は40.8%で、21年調査と同水準。副業実施率とのギャップは大きいまま。
  5. 地方企業の7割弱が人手不足な状況。他方、地方出身(副業意向)者の約7割が”ふるさと副業“に関心を抱いている。

副業におけるジャーニー分析(各フェーズの課題)

  1. 副業前~副業開始~副業中の課題(「求人への応募を控える意識の低減」「リアリティ・ショックの抑制」「パフォーマンスの発揮」)を解決するポイントは、個人に求められる意識・行動と、副業先企業における「求人募集」「採用」「オンボーディング」観点の総合的な施策の実施。
  2. 本業先からの【副業前】の働きかけは、「本業先への組織コミットメント」を高め、【副業中】の働きかけは、「(副業実施者の)副業からの学び」を高める。そして、【副業後】の働きかけは、 「(本業先メンバーの)副業者からの学び」を高める。

主なトピックス(詳細)

副業の実態(企業)

1. 企業の副業容認率は60.9%で、21年調査より5.9pt上昇。副業解禁の動きが拡大。

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① 副業容認率が最も高い業種は「宿泊業、飲食サービス業(78.4%)」で、21年調査から11.8pt上昇。前回からの上昇幅が最も大きい業種は「金融業、保険業」で、21.3ptの上昇。その他、従業員数1千人以上の企業における上昇幅も目立つ。

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② 副業容認理由として、「個人の自由なので(58.4%)」が最も高く、21年調査から4.5pt上昇。全般的にスコアが上昇しており、特に「従業員のモチベーション向上」「優秀な人材の確保・定着」などの理由が、前回から上昇している。

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2. 企業の副業受入れ率は24.4%で、21年調査から変動なし。副業容認率とのギャップが目立つ。

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① 副業受入れ率が最も高い業種は「医療、介護、福祉(45.4%)」。次いで高い「宿泊業、飲食サービス業(39.2%)」は、21年調査より9.7pt上昇。

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② 副業受入れ理由として、「迅速に人材確保が可能だから(25.4%)」が最も高く、次いで「多様な人材確保が可能だから(21.3%)」「高度なスキルをもった人材確保が可能だから(18.3%)」が続く。

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副業の実態(個人)

3. 正社員の副業実施率は7.0%で、21年調査より2.1pt減少。

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① 性別では女性、年代では20~30代での副業実施率がやや高い。また、職位別では「部長・本部長相当」の実施率が高い。業種別では、企業の副業容認率の上昇幅が大きい「金融業、保険業」の副業実施率が最も低い。

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② 副業動機は、21年調査に引き続き、「副収入を得たいから」「現在の仕事での将来的な収入に不安があるか ら」「生活するには本業の収入だけでは不十分だから」が上位を占める。

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4. 正社員の副業意向率は40.8%で、21年調査と同水準。副業実施率とのギャップは大きいまま。

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① 副業を行っていない理由として、「自分の希望やスキルに合っておらず、副業求人への応募を控えてしまう(29.7%)」と「本業が忙しく時間が無い(29.7%)」が最も高い。

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副業の実態(地方での副業)

5. 地方企業の7割弱が人手不足な状況。他方、地方出身(副業意向)者の約7割が“ふるさと副業”に関心を抱いている。

〈企業〉
① 企業の人手不足の状況について、21年調査から7.0pt上昇。特に、地方では65.1%の企業が人手不足に陥っている。

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〈個人〉
② 都市圏居住の副業意向者における地方副業の関心度をみたところ、55.3%が「関心あり」と回答。地方出身の副業意向者における“ふるさと副業”の関心度をみたところ、69.6%が「関心あり」と回答。

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※ふるさと副業:生まれ(育っ)た土地や、以前に住んだり、なじんでいた場所での副業を指す
※本調査における都市圏は東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)名古屋圏(愛知、岐阜、三重)、大阪圏(大阪、兵庫、京都、奈良)のことを指し、地方は都市圏以外の都道府県を指す。

副業におけるジャーニー分析(各フェーズの課題)

6. 副業前~副業開始~副業中の課題(「求人への応募を控える意識の低減」「リアリティ・ショックの抑制」「パフォーマンスの発揮」)を解決するポイントはと、個人に求められる意識・行動と、副業先企業における「求人募集」「採用」「オンボーディング」観点の総合的な施策の実施。

副業におけるジャーニー分析の詳細については、下記報告書の2章(P50~)をご参照ください。
URL: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/sidejob3.pdf

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副業に関する本業先からの働きかけの効果(メリット)

7. 本業先からの【副業前】の働きかけは、「本業先への組織コミットメント」を高め、【副業中】の働きかけは、「(副業実施者の)副業からの学び」を高める。そして、【副業後】の働きかけは、 「(本業先メンバーの)副業者からの学び」を高める。

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調査結果からの提言

パーソル総合研究所
研究員 中俣 良太

副業の実施率と課題

 2018年の副業元年から5年が経過し、企業の副業解禁の動きも加速している一方、正社員の副業実施率は微減トレンドを推移しており、副業実施率と意向率のギャップについてもほぼ横ばいの結果となった。2021年に実施した「第二回 副業の実態・意識に関する定量調査」に引き続き、副業者の増加には歯止めがかかっている状態である。

副業の「受け皿」問題と「アンマッチ」

 要因の1つに考えられるのが「本業の多忙化」だ。これには、新型コロナウイルス感染症の収束に伴う、テレワーク実施率の低下も関係していると推察される。また、副業における「受け皿の少なさ」と「アンマッチの多さ」も、上記の傾向に関する主要因と言えよう。本調査において、副業者を受け入れている企業の割合は、副業を容認する企業の割合と比べてかなり少なく、また、自身の希望・スキルにマッチしていないが故に、求人への応募を躊躇う個人の意識もみられた。

 企業の人材不足は年々悪化しており、特に地方企業にとっては、人材確保は大きな課題である。企業は、今回導出した課題を解決するためのポイントも参考にしながら、副業人材という外部リソースを積極的かつ円滑に活用していくことをお勧めしたい。

「パズルはめ込み型」の副業から「歯車連動型」の副業へ

 従来の副業について、1回の面談だけで認識合わせを行うケースが多く、副業者へのオンボーディングに力を入れていないことなどから、「パズルはめ込み型」の様相が確認された。企業と個人の双方にとって実りある副業を実現するためには、副業先の企業と個人の二者に加えて、本業先の企業も巻き込んだ、三者による「歯車連動型」の形態が重要である。

 本業先企業の副業者への働きかけは、副業者や周囲のメンバーへの学びを促すだけでなく、本業先への組織コミットメント、継続就業意向、上昇意向の高まりにも寄与する。本データが、副業者への積極的関与について、本業先企業が検討する上での判断材料になれば幸いである。

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※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。

※調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
 URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob3.html

2回目: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob2.html
1回目: https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob.html

※報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。

調査概要

調査名称

パーソル総合研究所 「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」

調査内容

企業と正社員個人における副業の実態を把握するとともに、企業と個人の双方にとって実りある副業を実現するためのポイントを明らかにする。

調査手法 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期 2023年7月26日 - 8月1日
調査対象者

■企業調査

勤務先従業員人数10人以上、年齢70歳未満 男女
経営層・人事(主任・リーダー以上)で人事管理(制度設計・運用等)について把握している者 n=1,500

■個人調査

【スクリーニング調査対象者】

勤務先従業員人数10人以上 正社員20-59歳 男女 n=61,780
※調査結果の数値は令和2年国勢調査の正規の職員・従業員性年代の構成比に合わせてウェイトバック集計実施

【本調査対象者】 

上記スクリーニング対象者条件に加え、

①  副業実施者 n=2,000 ※現金収入を伴う仕事を現在行っている & 資産運用でない & 直近1ヵ月間での稼働がある
②  副業意向者 n=1,170 ※副業は現在行っていない & 副業への意向がある
③ (副業者と接する) 本業先メンバー n=1,000 ※副業は現在行っていない & 副業を行っている同勤務先の社員が身近にいる
④ (副業者と接する) 副業先メンバー n=1,000 ※副業は現在行っていない & 副業で来ている社員が身近にいる

実施主体 株式会社パーソル総合研究所

【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/について

 パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。

【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について

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問い合わせ先

株式会社パーソル総合研究所 広報
TEL:03-6385-6888 Mail:

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