インタビュー

《インテグリティ&エンパシー》いつの時代も正しいことを誠実に 信頼されることが企業価値の根源

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2022年1月、NIPPON EXPRESSホールディングスを持ち株会社とするホールディングス体制へ移行し、新たなスタートを切ったNXグループ(旧日本通運グループ)は、翌年3月、企業理念に掲げる「使命・挑戦・誇り」を体現する人財像として「NXグループ人財ポリシー」をグループ各社の総意で制定した。その旗振り役である卯野氏に、今の時代、社会に信頼される企業人の資質について伺った。

卯野 孝児 氏

日本通運株式会社 人財戦略部長/ダイバーシティ推進室長
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 人財戦略統括部 専任部長

卯野 孝児 氏

関西大学卒業後、1992年日本通運入社。福山支店管理次長、広島支店次長(業務・安全・交通担当)、同(総務・CSR担当)を経て、2020年人財戦略部ダイバーシティ推進室長。22年NXホールディングス人財戦略統括部専任部長を兼務、23年より現職。

  1. インテグリティは健全な組織のキーワード
  2. コンプライアンスを超えて守るべき約束がある
  3. 信頼される人財の総合力が企業価値を創造する

インテグリティは健全な組織のキーワード

《インテグリティ&エンパシー》は「誠実さ」を英訳した言葉です。NXグループの人財ポリシーの策定に当たり、国内外各社のHR担当者が話し合ってこのワードを導き出しました。

誠実さ・真􄼨さを表す英語は多数ありますが、中でもインテグリティは経営やマネジメントで求められる資質のひとつとして、欧米企業を中心によく使われている言葉です。ドラッガーやバフェットもこの言葉を用いて、「能力があってもインテグリティを欠く者は、組織に害をもたらす」と述べています。企業が不祥事によって社会の信頼を失う例などは、誠実さを欠いた結果ともいえます。

コンプライアンスを超えて守るべき約束がある

卯野氏

私自身、誠実さはビジネスをする上で最も根幹になるものだと考えています。企業が守るべきものにコンプライアンスがありますが、それは法的もしくは社会的な義務であって、最低限やらなければならないことです。インテグリティはその一段上にある、その人が持つ《品格》のようなものだと考えています。

20年ほど前、私がマネジメントの立場で心に留めた言葉に《ノブレス・オブリージュ》があります。欧州貴族の格言で「立場のある者が責任を果たす」を意味しますが、後にインテグリティという言葉と出会い、責任を果たすために大切なのが誠実さ、つまりインテグリティであると腑に落ちました。

人財ポリシーの策定において、「誠実さ」を表す《インテグリティ》と「共感」を意味する《エンパシー》を合わせたのは、私たちのビジネスに由来します。物流サービスはお客様への共感に始まり、さまざまな部門のメンバーとも共感し、連携することで成り立ちます。一人ひとりが相手の立場に立って考え行動することで、良質なサービスを提供できるのです。

信頼される人財の総合力が企業価値を創造する

卯野氏

NXグループでは、社員と会社の持続的な成長のために、人財に関する基本方針「NXグループ人財ポリシー」を2023年3月に制定しました。そこでは、企業理念の体現・実現に向けて求める人財として「自律」「挑戦と変革」「誠実さ」を挙げています。「誠実さ」は、NXグループの企業理念のひとつ「私たちの誇り それは信頼される存在であること」にひもづいています。

人的資本経営が注目されていますが、人に投資してリターンを出す中でも、やはり誠実さが根幹になければ、単なる儲け主義に走りかねません。信頼されるからこそ、お仕事がいただける。信頼の大切さは、創業以来ずっと言われてきました。信頼は相手の評価で得られるものであり、そこで不可欠なのが個人の《インテグリティ&エンパシー》です。時代を経てもそれは変わりません。むしろAI時代を迎え、自分自身で考え、実行することこそが人間の価値ともいえるでしょう。今後、働く上で、一人ひとりが自律的に持つ《インテグリティ&エンパシー》は、ますます重要になってくると思います。


※文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のものです。

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