《人的資本経営》多様な個を尊重し、挑戦を促すことで
企業発展につなげたい

公開日 2022/06/10

 

「人材版伊藤レポート2.0」において、人的資本経営の取り組みが紹介されている双日。
どのような考えで人的資本経営とその情報開示に取り組んでいるのか、企業人事の立場から話を聞いた。

橋本 政和 氏

双日株式会社 常務執行役員 人事、総務・IT 業務担当本部長 橋本 政和 氏

1990年一橋大社会卒、日商岩井(現双日)入社。主に自動車関連事業、インフラ関連の事業開発を担当。米国駐在を経て、2011年環境・都市インフラ推進室長、17年執行役員環境・産業インフラ本部長、21年常務執行役員インフラ・ヘルスケア本部長を務め、22年4月より現職。

岡田 勝紀 氏

双日株式会社 人事部 部長 岡田 勝紀 氏

1991年早稲田大教育卒、日商岩井(現双日)入社。主にエネルギー・金属資源関連のトレーディング、事業開発を担当。北京駐在ののち、2009年エネルギー・金属資源本部石炭部コモディティトレーディング課課長、15年石炭・鉄鉱石部長を務め、20年4月より現職。

  1. 「人材版伊藤レポート2.0」をご覧になった感想を教えてください。
  2. 経営戦略と人材戦略の連携が難しいところですが、どのように推進していますか。
  3. 今後の人事のあるべき姿について、どのようにお考えですか。
  4. 経営戦略と人材戦略の連動において、他にも注力していることはありますか。
  5. 人的資本経営の情報開示における指標をどのように捉えていますか。

「人材版伊藤レポート2.0」をご覧になった感想を教えてください。

失われた30年のなかで、企業一社一社の努力だけでは変革は難しいと考えるようになり、官民が連携しながら課題意識をあぶり出していくのはとても良い試みだと思います。

また、「実践事例集」には気づきが詰まっていました。産業界全体で問題意識を共有し、変革に取り組もうとしているため、実際にヒアリングに行くなどの交流が増える点も良いですね。企業の経営戦略や文化はそれぞれ異なるため、自社らしさを織り込んだ人材戦略をつくることの重要性も改めて実感しました。

経営戦略と人材戦略の連携が難しいところですが、どのように推進していますか。

私たちは今、「原点回帰」を大事にしています。複数の企業の統合を繰り返してきた歴史の中で、今一度、「事業と人材を創造し続ける総合商社であり続けたい」という原点に立ち帰っているのです。そのために重視していることは3つ。「多様性」、「個の尊重」、「挑戦」です。多様な歴史・文化・DNAを持った個を尊重し、挑戦を促し、どう事業戦略に活かすのか。これが人材戦略の骨子の一つになっています。人材マネジメントは「管理」から、「社員との伴走・支援」へ。「自主性」を促し、2030年からのバックキャスティングで、中長期的に企業文化を変えていく計画です。

同時に、「双日らしさ」を見直し、発信していきたいとも考えています。例えば、他社では課長にならないと出られないような交渉の局面も、当社は実力さえあれば20代でも出します。役職や年齢に関係なく実力、想い、熱意を見て、挑戦の機会を与える双日の企業文化を全面に発信していき、人事戦略や人事施策に散りばめているところです。

今後の人事のあるべき姿について、どのようにお考えですか。

ご存知の通り総合商社は事業部門の立場が極めて強いです。人事施策や教育も、事業部門ごとに行われていることが多く、「人事はそれらをただ管理する」という考えそのものを改める必要があります。そこで、「社内全体を串刺しにするようなフレームの整備」を行っています。例えば、新規事業創出プロジェクトの「Hassojitz」はその一つ。大切なのは社員一人ひとりが自主性を持って挑戦し、会社の器を使って、自己実現や理念の体現を叶えることです。

また、これまでの人事は、事業部門を中央に据えていたので、どうしても短期的な視野に陥りがちでした。今後は、中長期的な視点を取り入れるべきだと思います。人事部門には、事業部門を経験した「現場を知る人材」と、人事一筋で「人事の基本を熟知した人材」の両方をミックスするのが良いのではないでしょうか。常にミックスアップしていかなければ経営戦略に同期した人材戦略はつくれないと考えます。

経営戦略と人材戦略の連動において、他にも注力していることはありますか。

経営戦略と人事戦略がどのように繋がっていくのかをストーリー化していきたい、と考えています。というのも、「日経統合報告書アワード2021」で高く評価していただいたのですが、それは「無形資産や人材育成がどう収益に繋がったのか」ということをストーリー仕立てで書いたもので、情報開示の一つのヒントになりました。事例を増やし、分かりやすいストーリーで伝えることで、共感でつながっていくことが理想です。

人的資本経営の情報開示における指標をどのように捉えていますか。

1年前、中期経営計画で「PBR(株価純資産倍率)1倍超」という目標を掲げました。しかし、数値を示すだけでは不十分で、実現に至るまでのプロセスも体外的に示さなければならない、という問題意識を持っています。商社は属人性が高く、教育もOJTが中心。目に見えないところを、市場や投資家に対してどう見せていくのか。我々も走りながら試行錯誤しているところです。

また、世の中にある人的資本経営にかかわるさまざまなデータを意識し参照もしますが、その数値をそのまま目標値に設定するのは違うと思っています。例えば、人事部では今、独自のエンゲージメントサーベイを設計し、定点観測を行なっています。要は、海外や日本の他企業と比較するのではなく、「自社の定点観測の数値で比較すること」が正しい在り方だと考えています。

独自の指標を持ち、それを高めることで社員が自ら成長・挑戦意欲を発揮し、企業も発展すること。それが連続的に実現できる状態こそ、会社も個人も健全な状態だといえます。社員一人ひとりがさらに高いパフォーマンスを発揮できるよう、双日らしい環境を整えていきたいです。

※文中の内容・肩書等はすべて掲載当時のものです。

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