【イベントレポート】大和証券グループが取り組む働き方改革

公開日 2017/02/09

大和証券グループ本社 常務執行役 望月篤氏

大和証券 望月様縮小  1.jpg2016年11月29日に開催された「働く未来フォーラム」では、オープニングリマークス、NTTデータ岩本社長の基調講演に続き、大和証券グループ本社常務執行役望月篤氏、ヤフー上級執行役員コーポレート統括本部長本間浩輔氏に働き方改革の先進企業として事例紹介をしていただきました。今回は大和証券グループ本社望月氏の事例紹介をご紹介いたします。

大和証券グループが取り組む4つの施策

大和証券グループは長らく「人材の重視」を企業理念とし、その実現に取り組んできました。そして「人材の重視」の施策の中で特に重視しているのがタレントマネジメントについてです。近年、政府が推進する金融自由化の流れに伴い、多様で高度な金融知識が求められる傾向にあります。社員の成長やタレントマネジメントについて取り組み、「すべての社員が高いモチベーションの下で結束し、最高のクオリティを発揮する組織」をつくっていくことが重要だと考えています。

大和証券グループは、具体的には大きく4つの施策を実施しています。1つは「一人ひとりが自律的に活躍し続けられる環境整備」、2つ目は「女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進」、3つ目は「ベテラン層の活躍支援」、4つ目が「健康経営の推進」についてです。以下それぞれの施策に関してご紹介します。

一人ひとりが自立的に活躍し続けられる環境整備

1つ目の「一人ひとりが自立的に活躍し続けられる環境整備」については、資格取得や研修受講をポイント化し昇格の必要要件とすることや、多彩なキャリアパスや人事諸制度の内容をまとめた「キャリアデザインブック」の配布、上司と自分の仕事やキャリア等について話し合った上で記入をする「自己申告書制度」などを実施しています。具体的には、昇格の必要要件に、研修受講や資格取得などを盛り込むことで、社内研修を活性化させ、CFP(世界が認めるプロフェッショナルファイナンシャルプランナー)や証券アナリスト、語学関連などの資格取得を促しています。この取り組みはコンサルティングスキルや語学力などのレベルアップ、社員の自立したキャリア意識につながるのは勿論ですが、研修を通した社員同士の交流という効果も生み出しています。また、「キャリアデザインブック」の配布により、社内にどのような職種やキャリアがあるかを明らかにし、社員に自立的にキャリアを考える材料を提供しています。そして、「自己申告書制度」で定期的に上司と自分の業務や今後のキャリアについて話し合う場を設けることで、社員の様々なキャリアへの挑戦を促したいと考えています。

女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進

2つ目の施策「女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進」では、子供が3歳になるまでの育児休職やベビーシッター制度、職制転向や勤務地変更制度など、女性が活躍していける環境づくりを行ってきました。また、19時前退社の励行や男性社員の育児休暇取得などにも取り組み、男性社員の育児休暇取得者率は平成27年度では73%を超えています。当社では、「女性活躍」とは「女性が仕事を継続できること」と「キャリアアップできること」だと考えており、そのための制度整備、環境づくりを、現在も継続して実施しています。能力に男女差はありません。必要な配慮はしますが、優遇はせず、男女同じように成果を求め、それを公平に評価しています。女性活躍の実績として、女性役員7名、女性支店長21名(全体の18%)※などを達成しています。※女性役員・支店長の数字は平成28年10月時点

ベテラン層の活躍支援

3つ目の施策「ベテラン層の活躍支援」については、「ライセンス認定制度」や営業社員の70歳までの雇用制度などを実施しています。ライセンス認定制度は資格や研修実績、勤務実績などをポイント化し、一定基準をクリアすれば、55歳以降の処遇を優遇する仕組みです。60 歳以降の再雇用後についても認定者は優遇される仕組みとなっています。また45歳はキャリアの折り返しだと考え、45歳以上の社員を対象に、スキル向上や健康リテラシーを高めることを目的とした、ASP研修というEラーニングを中心とした研修プログラムを用意しています。ベテラン層がモチベーションを上げ、生産性を維持向上させることは今後ますます重要になると考えています。

健康経営の推進

最後に紹介するのが「健康経営の推進」の取り組みについてです。社員の幸福と会社の生産性の向上の両立を目指しており、その一環として「KA・RA・DAいきいきプロジェクト~Healthy Lifestyle~」をスタートさせました。様々な健康推進イベントを用意し、そこに参加し、目標を達成した場合にポイントを付与し、ポイント数に応じて健康関連の景品との交換や「TABLE FOR TWO(開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病の解消に同時に取り組む、日本発の社会貢献運動)」への寄付などをできるようにしています。他にも「ウォーキングチャレンジ」や夜食・間食防止を目的とした「STOP!間食!」などがあり、社員の健康と生産性の向上に取り組んでいます。

最後に

男性、女性、若手、ベテランなどすべての社員がモチベーション高く、最高のクオリティを発揮するための施策を実施していますが、まだ道半ばであり、今後も様々な施策に取り組んでいこうと考えています。社員一人ひとりがやりがいを感じ、自らが進んでキャリアについて考え、最大限の力を発揮できる企業を目指していきたいと考えています。


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