「はたらくソーシャル・リスニング(24年4月)」の分析結果を発表
シニア雇用や女性活躍に関する生活者の注目度が急上昇

「賃上げ」は156%増、多様な声-ソーシャルメディアが映す、希望と懸念の交錯

 株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、生活者の生の声をリアルタイムに分析する、「はたらくソーシャル・リスニング」プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、「はたらく」に関する旬のトピックスについて、各種SNS・ブログ・掲示板・レビューサイトなど、日本国内10万のソーシャルメディアより取得した投稿データ(サンプルデータ)を定期的に分析・発信することで日々変化する労働市場全体の動向理解に資することを目指します。

 また、昨年から「賃上げ」に関する社会的な関心が高まる中、今回は、ピックアップ分析として「賃上げ」関連ワードの投稿(言及)増加率及び投稿者の感情分析も行いました。国や企業の賃上げ施策に対する生活者全体の反応を分析することで、社会的、経済的な影響を把握します。

2023年度における一般生活者の「はたらく」に関する投稿増加率上位ワード

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<分析コメント> パーソル総合研究所 上席主任研究員 小林 祐児

  1. 「定年後再雇用(10位)」や「65歳定年制(11位)」などシニア雇用関連のワードが多くランクインした。1970年代前半生まれの団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年問題を控え、各企業が定年後の雇用の枠組みを変革しており、今後も引き続き話題が多くなることが予想される。
  2. 最も上昇したのは、企業が低迷期に女性を重要役職に登用する傾向を示す「ガラスの崖(1位)」である。また、女性差別の文脈においては無自覚の差別行為である「マイクロアグレッション」(20位)も話題。人的資本開示の中でも男女賃金格差が義務化される中、遅々として進まない女性活躍において目新しさのあるワードが注目を集めた。
  3. 昨年相次いで発覚した大企業の不祥事・不正によって、「インテグリティ(13位)」や「内部通報(14位)」といったコーポレート・ガバナンス関連のワードが一般市民の間でも多く言及されるようになっている。
  4. 「在留資格(5位)」、「特定技能(6位)など、外国人雇用関連の上昇ワードの多さも特筆すべき点だ。失踪などの問題が多く指摘されてきた技能実習の廃止(育成就労制度の開設) も決定し、これからも外国人雇用を取り巻く環境と雇用の枠組みは大きく変化していくだろう。

 

2023年度(2023年4月-24年3月末)における「はたらく」に関する投稿増加率ワードランキングと解説

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2023年度(2023年4月-24年3月末)における「はたらく」に関する投稿減少率ワードランキング(前年同期比)

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<主なポイント>

  • 「産後パパ育休」(22年10月施行)や、「パワハラ防止法」(大企業2020年、中小企業は2022年4月から)など、施行前後に話題となった法改正や制度改定などの注目度が下がっている。
  • 「インフレ手当」など、経済状況に合わせた一時的な手当て・支援が後景に退き、ベースアップ・賃上げといった恒常的手当てに議論が移ったものと思われる。
  • 「雇調金(雇用調整助成金)」「職域接種」など新型コロナウイルス感染対策に関するワードも減少。
  • 「ワーケーション」「パラレルキャリア」「複業」「ABW」(Activity-based working※2)など、新たな働き方として注目されたワードは、コロナ禍を経て鎮静化していっている様子が見られる。
  • 「ダイバーシティ&インクルージョン」は「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン※3」とエクイティの概念を付加して呼ばれるようになったことが推察される。

※2 社員が業務内容や気分に合わせて、自律的に時間と場所を自由に選択する働き方
※3 Diversity(ダイバーシティ/多様性)・Equity(エクイティ/公平性)・Inclusion(インクルージョン/包括性)

 

ピックアップ分析:「賃上げ」

「賃上げ」言及投稿数は22~23年度で156%増加。とりわけ23年11月、24年3月に急増

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過去1年の「賃上げ」言及投稿の文脈に含まれる他のワードを可視化

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<主なポイント>

  • 賃上げが「必要」とする政府の方針に触れたうえで、実現方法やそのボトルネックについて議論する投稿が目立った。
  • 春闘での大企業の賃上げが話題になる一方で、下請けとなる中小企業への支援や、国民生活に直結する減税を求める声が多い。

 

※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。

※報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。

調査概要

調査名称

パーソル総合研究所 「はたらくソーシャル・リスニング/24年4月」

調査内容

・インターネット上の投稿内容から、労働・組織に関わるトピック・トレンドの現状を理解する。
・時系列で比較によって雇用関連のトレンドを動態的に把握する。

調査手法 SNS分析ツール Quid Monitor(TDSE株式会社提供)を使用し、パーソル総合研究所分析。
取得時期 2022年度(2022年4月-23年3月末)と2023年度(2023年4月-24年3月末)の投稿データ比較
分析対象

■データ収集元:日本全国のSNS、ブログ、ニュース、掲示板、レビューサイトなど日本国内10万ドメインのデータソースより投稿データ(サンプリングデータ)を取得。「労働」「人材マネジメント」「組織」「働く」関連のワードが含まれる投稿について分析

■データ取得先:X、Youtube、各種ブログ、掲示板、各種ニュースサイト、レビューサイトなど

実施主体 株式会社パーソル総合研究所

 

■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について

 パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。

■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について

 パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
 人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
 はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。

問い合わせ先

株式会社パーソル総合研究所 広報
TEL:03-6385-6888 Mail:

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