一方で、過半数以上の従業員が面談や会議において「本音・本心をほとんど話していない」
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、「職場の対話に関する定量調査」(全国の男女・正規雇用就業者(20-60歳)N=6,000)の結果を発表いたします。本調査は、職場内での対話的なコミュニケーションの実態やその影響、本音・本心で話せない要因・話せる要因を定量的に明らかにすることで、企業が直面するコミュニケーションの問題を解決し、従業員が互いの本音で話し合える健全な職場環境を構築するための示唆を得ることを目的に実施しました。
上司との面談で51.2%、チーム内の会議で52.1%が、本音は「2割未満」と回答。
過半数以上の従業員が、上司面談・会議において本音・本心をほとんど話していない。
近年、企業内の人事管理の様々な場面で、 対話的なコミュニケーションの重要性が着目されています。1on1などの定期面談やキャリア面談、キャリア・コンサルティングなど、表層的ではない互いの本音や本心を提示し合うコミュニケーションを必要とするシーンは多く、「心理的安全性※1」という概念への注目も高まっています。
しかし、「対話」的コミュニケーションへの着目に比して、実践的な課題は山積しています。本調査では、職場内の対話を巡る現状や課題を現場レベルで明らかにすることで、状況を打開する糸口を見つけ、より対話的で円滑なコミュニケーションを促進する一助となることを目指します。
※1:組織の中で自分の考えや気持ちを安心して発信できる状態
「対話」の重要性が指摘される昨今だが、多くのビジネスの現場が「本音」「対話」の欠如したコミュニケーションで覆われていることが本調査で明らかになった。上司面談や会議の場において本音で話せている割合は過半数が2割未満であり、本心を出さない従業員は、仕事での工夫やはたらく幸せ実感も低い傾向にある。本音のコミュニケーションが無いと、「どのメンバーが何に詳しいか」といった組織への知識が蓄積されず、業務プロセスの改善にもつながっていない。
なぜ従業員は職場で本音を話せなくなるのか。本調査で示されたのは、「組織に愛着が無い」と思われる裏切り者リスクや、自分の評判が下がるかもしれないという低評価リスクなどの6つのリスク意識が従業員を本音から遠ざけていることだ。同時に、「キャリアの主体性」が無い、「時間の裁量権」が無い、「業務の自律性」が無いといった組織の状況が、それらのリスク意識を高めていることも示唆された。
また、本音で話せない職場で働いている者は、他者との対話への関心や自身の本音への関心も低くなっており、ますます対話から遠ざかってしまう構造が示唆された。本音で話さないことが当たり前になってしまえば、そもそもの対話への関心が失われていく可能性がある。
対話を促進したい組織は、こうしたリスクを感じさせない状態を構築することが必要になるが、現在多く行われている上司向けの対話に関するトレーニングだけでは、こうした要因を取り除くことは難しいだろう。組織レベルの要因が放置されるだけでなく、上司部下の間にある対話への「認識ギャップ」が埋まらないからだ。
組織内の対話の質を高めるには、上司へのトレーニング内容を簡易的にメンバーにも伝えたり、e-learning化したりするなど、全社的なメッセージ発信やトレーニングが必要である。また、キャリアや業務において主体性を発揮できる状態であるのかも、上司以外の人材マネジメントの変革を必要とする。リーダーシップに過度に期待することなく、フォロワー(メンバー)へのアプローチを含めた包括的な手段を検討したい。
“本音で話せない職場”の創られ方
リーダーシップからフォロワーシップへ
対話コミュニケーションの促進を「上司トレーニング」に依存せず、フォロワー(メンバー)へのアプローチ
※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。
※調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/dialogue-culture.html
※報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
調査名称 |
パーソル総合研究所 「職場での対話に関する定量調査」 |
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調査内容 |
・職場内での種々の対話的なコミュニケーションの実態とその影響を明らかにする。 |
調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査時期 | 2024年1月17日-1月22日 |
調査対象者 |
■全国の男女・正規雇用就業者(年齢20-64歳) -令和2年国勢調査で性年代を割付 ■【補論】で用いた分析データは、エール株式会社から提供。 |
実施主体 | 株式会社パーソル総合研究所 |
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
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