環境配慮や人権配慮行動も多く、学びへも前向きな傾向
学生時代の教育、企業の人材マネジメントによる影響も見られた
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)と、株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役社長:小林 仁)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、立教大学中原淳教授と共同で、就業者の社会貢献意識(ソーシャル・エンゲージメント)に関する調査(サンプル数6,000人)を実施し、結果を取りまとめましたのでお知らせします。
企業活動において、SDGs、ESG投資など、持続可能な社会づくりが強く求められている一方で、一般の日本人の社会課題への意識や行動は、国際的に極めて低いことが指摘されています。働く人々の社会貢献や社会を変える効力感といった意識の実態、そしてそこに影響する要因について調査しました。
本調査での「幸せな活躍」の定義と測定:「はたらくことを通じて、幸せを感じている」などの7項目を「個人の主観的な幸せ」として測定し、「顧客や関係者に任された役割を果たしている」「担当した業務の責任を果たしている」などの5項目を個人のジョブ・パフォーマンスとして測定した上で、全体分布の中でともに高い層を「幸せな活躍層」として定義。
■ソーシャル・エンゲージメントの定義
就業者の社会課題解決への関心の強さや責任感、課題解決への効力感を「ソーシャル・エンゲージメント」として測定
本調査では、こうした傾向を受けて、就業者の「ソーシャル・エンゲージメント」を高めるための提言もまとめています。
※働く人が自分の仕事を主体的に再構築し、自分にとってより意義のある形に変えるプロセス
今回、就業者の社会課題への関心の高さや社会変化への効力感の高さを示す「社会」へのエンゲージメントとして、「ソーシャル・エンゲージメント」という独自の概念を用いて調査を行った。
ソーシャル・エンゲージメントが高い従業員は、目の前の仕事に主体的に取り組み(ジョブ・クラフティング)、学びの意欲が高く、業務上の成果や主観的なウェルビーイングも高いことがわかった。
ソーシャル・エンゲージメントの高さには、学生時代・社会人の経験との関連が見られ、社会人領域では直接的体感を伴う「手触り経験」、仕事以外の越境経験である「踏み出し経験」、組織や仕事を俯瞰して見る「見渡し経験」といった経験が、ソーシャル・エンゲージメントを育てていることが示唆された。
また、ソーシャル・エンゲージメントには企業の人事管理も影響する。キャリア目標を明確化することや、長時間労働を防止することなどとプラスの関連が見られた。また、業務命令による異動・転勤の多さはマイナスに作用しており、伝統的な日本の配置転換の在り方が、就業者の社会的関心を下げている可能性も示唆された。
CSR活動や金銭支援といった直接的な社会貢献だけではなく、主体的に社会のことを考えられる人材を育てることも、企業の重要な社会的責任として認識されるべきである。そのために、社会課題を解決する「社会志向」の人材マネジメントの重要性を提議したい。
パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・立教大学中原淳
ハタチからの「学びと幸せ」探究ラボ 一同
※本調査を引用いただく際は、出所として『パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳「就業者の社会貢献意識に関する定量調査」』と明記してください。
※報告書内の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計と内訳の計は必ずしも一致しない場合があります。凡例の括弧内数値はサンプル数を表しています。
調査名称 |
パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳 「就業者の社会貢献意識に関する定量調査」 |
---|---|
調査内容 |
|
調査手法 | 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査時期 | 2023年1月27日–1月30日 |
調査対象者 |
有期雇用を含む18~69歳の就労者 6000名 ※2020年の国勢調査をもとに就労者の性年代(5歳刻み)で割付 ※学生アルバイト(通学のかたわら仕事をしている人)は除く |
実施主体 | パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳(ハタチからの「学びと幸せ」探究ラボ) |
ベネッセ教育総合研究所・立教大学中原淳教授・パーソル総合研究所による産学連携の研究プロジェクト。未来を生きる大学生~若手社会人が、"よく生きている""はたらいて笑っている"未来をワクワクして描き、意欲を持って学びや行動へと向かうための羅針盤を届けることを目的としています。
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
ベネッセ教育総合研究所は1980年に発足した株式会社ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクです。子ども、保護者、学校・教員を対象に様々な調査・研究を行っています。また教育内容や方法、評価測定などについても研究開発を進めています。調査・ 研究で得られた知見は、ベネッセ教育総合研究所のWeb サイトにて公開し、子どもの成長・発達を取り巻く環境の改善をサポートする情報発信を行っています。
立教大学 経営学部 中原淳研究室は、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発など、企業組織における「大人の学び」を研究する研究室です。パーソル総合研究所、ベネッセ教育総合研究所をはじめとする多くの企業と共同研究を実施し、社会に最新の研究知見をお届けしています。
株式会社パーソル総合研究所 広報
TEL:03-6385-6888 Mail:prc_pr@persol.co.jp
株式会社ベネッセホールディングス 広報部 担当:萩澤、濱野、明日、宮本
TEL:042-357-3658 / FAX:042-389-1757