パーソル総合研究所、企業の不正・不祥事の実態と防止・改善策に関する調査を発表

全就業者の13.5%が不正に関与、または見聞きしたことがあり、業種別では「運輸業、郵便業」「医療、福祉」の不正発生リスクが高い結果に

 株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、全国の就業者を対象に実施した「企業の不正・不祥事に関する定量調査」の結果を発表します。

 本調査は、企業の不正・不祥事の実態やその要因、防止・改善施策のあり方などを明らかにすることで、リスク管理や危機管理対策、コンプライアンス施策などの参考にしていただくことを目的に実施しました。不正・不祥事は時に企業業績に大きな損害を与え、コーポレート・ガバナンス上の大きな問題となりますが、今回の調査では就業者側のストレスを高め、主観的なウェルビーイングを下げることも判明しました。

 

 

全就業者の13.5%が不正に関与したことがあるか、見聞きした経験がある。

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不正発生リスクを業種別にみると「運輸業、郵便業」「医療、福祉」が高い結果に。
(個人の不正許容度/組織の不正黙認度がともに高い)

※個人の不正許容度:個人が不正しても許される、不正は必要悪だと感じる意識
※組織の不正黙認度:勤務先の会社は不正・不祥事が起きても対処せず、隠ぺいするだろうという意識

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主なトピックス

【実態】

  1. 不正に関与・目撃した就業者にその内容を確認したところ、労務管理上の関与・目撃率が最も高い結果に。
  2. 職位別では「部長相当」の関与・目撃経験が22.4%で最も高く、職種では「間接部門」の関与・目撃率が最も高い。

【要因】

  1. 不正発生リスクを高める要因を分析すると、長時間労働や不明確な目標設定、成果主義・競争的な風土などが不正発生のリスク(個人の不正許容度、組織の不正黙認度)を高めていた。

【防止・改善施策】

  1. 人事管理における「目標の透明性(個人と組織の目標の紐づき)」「従業員主体の異動(会社都合の異動・転勤の少なさ)」や「人材の多様性」が、主たる不正発生要因(「属人思考」「不明確な目標設定」「成果主義・競争風土」)に対してマイナスの影響を与えている(不正発生のリスクを下げる)
  2. 企業の不正対策は、従業員から「現場感の欠如」や「対処の不徹底」、「量的な負担感」を感じられており、そうした対策が不正対策を形式的に「こなす」意識につながっている。
  3. 不正目撃者の53.9%が不正に対して何らかの対応を行い、「特に何もしなかった」が46.1%。対応内容としては、「社内の上司に報告した」が36.2%で最多。
  4. 従業員の「膿だし感(会社の悪い部分が明るみになって心が晴れた)」「腹落ち感(会社の対応について納得できた)」は、不正の解決度とプラスの関係が見られた。また、「腹落ち感」「吐き出し感(しっかり自分の気持ちを話せた)」があることが、こなし意識とマイナスの関係が見られた。

調査概要(主なトピックス)

実態

1. 不正に関与・目撃した就業者にその内容を確認したところ、日常的なサービス残業などを含む労務管理上の関与・目撃率が最も高い結果に。

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2. 職位別では「部長相当」の関与・目撃経験が22.4%で最も高く、職種では「間接部門」の関与・目撃率が最も高い。

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要因

3. 不正発生リスクを高める要因を分析すると、長時間労働や不明確な目標設定、成果主義・競争的な風土などが不正発生のリスク(個人の不正許容度、組織の不正黙認度)を高めていた。

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防止・改善施策

4. 人事管理における「目標の透明性(個人目標と組織目標の紐づき)」「従業員主体の異動(会社都合の異動・転勤の少なさ)」や「人材の多様性」が、主たる不正発生要因(「属人思考」「不明確な目標設定」「成果主義・競争風土」)に対してマイナスの影響を与えている(不正発生のリスクを下げる)

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5. 企業の不正対策は、従業員から「現場感の欠如」や「対処の不徹底」、「量的な負担感」を感じられており、そうした対策が不正対策を形式的に「こなす」意識につながっている。

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6. 不正目撃者の53.9%が不正に対して何らかの対応を行い、「特に何もしなかった」が46.1%。対応内容としては、「社内の上司に報告した」が36.2%で最多。

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7. 従業員の「膿だし感(会社の悪い部分が明るみになって心が晴れた)」「腹落ち感(会社の対応について納得できた)」は、不正の解決度とプラスの関係が見られた。また、「腹落ち感」「吐き出し感(しっかり自分の気持ちを話せた)」があることが、こなし意識とマイナスの関係が見られた。

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調査結果からの提言

パーソル総合研究所
上席主任研究員 小林 祐児

 従業員による法律やルールへの違反、または社会的信頼を損なうような行為は、時に企業業績に大きな損害を与え、コーポレート・ガバナンス上の大きな課題となるだけではなく、従業員側のストレスを高め、主観的なウェルビーイング(幸福感)を下げている。

 しかし、企業がコンプライアンス対策として様々な施策を行っていても、大量の手続きや現場感の無い研修などは、対策を形式的に「こなす」意識を生み、不正防止につながっていないことが明らかになった。

 今回の調査から示唆された不正防止のためのポイントは、まず目標管理の適正化やキャリア形成の整備によって、組織全体の不正風土の改善を図ること。また、一方通行的な説明だけでなく、議論やワークショップ、サーベイなど、従業員側の「意見の吸い上げ」を重視したコンプライアンス対策の重要性だ。

 不正・不祥事が発覚した後も、こうした企業対応によって従業員側に「会社の悪い部分が明らかになってスッキリした」「自分の気持ちが話せた」といった理解や納得を引き出すことで、組織全体のコンディションの回復につながっている。

 不正を防ぎ、不正発生から「立ち直る」ためには、事案をただ穏便に処理するのではなく、透明性高く調査を行い、従業員側の意見に耳を傾ける姿勢が重要になる。

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※本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と明記してください。
※調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/corporate-misconduct.html

※報告書内の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計と内訳の計は必ずしも一致しない場合があります。凡例の括弧内数値はサンプル数を表しています。

調査概要

     
調査名称

パーソル総合研究所 「企業の不正・不祥事に関する定量調査」

調査内容

・不正・不祥事の実態とその影響を明らかにする。

・不正が発生する要因と、その防止策について明らかにする。

・不正発生後、組織改善のための対応施策のあり方を明らかにする。

調査手法 調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
調査時期 2023年 1月30日 - 2月3日
調査対象者

■スクリーニング調査

 ・全国の就業者 20~69歳男女 46,465s
 ・労働力調査の構成比に合わせて、業種(20分類)を割付。

■本調査

 ① 5年以内に不正関与・目撃群 n=3000s
 ② 非発生群 n=1000s
 ・①の業種(20分類)×企業規模(1万人以上、1000人以上、それ以下)に合わせて、②は割付。
 ・いずれもライスケール1問正答者

実施主体 株式会社パーソル総合研究所

【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/について

 パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。

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