若手の考えがわからない?部下が成長を実感する育成法とは?

公開日 2018/12/20

若手の考えがわからない?部下が成長を実感する育成法とは?

「部下が期待通りの働きをしてくれない」、これはマネジメントや育成にかかわるビジネスパーソンなら、誰でも一度はぶつかる大きな壁ではないでしょうか。「部下が指示待ちの状態が多い」「指示通りに動いてくれない」「そもそもどんなことを考えて仕事をしているのかわからない」など、育成を任せられた立場にとって、部下や後輩の仕事に対する姿勢は悩みの種にもなり得るのです。今回は、部下の育成には何が必要なのか、どうすれば部下を成長させることができるのか、その方法をご紹介しましょう。

部下が成長を実感するのはいつか?

漠然と「成長」といっても、何をもって成長とするのか、明確に規定するのは難しいとも言えます。当社の『人材開発白書2009』では、若手・中堅社員が成長を実感できるタイミングは、以下の6つに分類できるとしています。

若手・中堅社員が成長を実感する6つのタイミング

  1. 業務能力の向上
    今までスムーズにできなかった業務がより効率的にできるようになり、仕事の専門性が高まったとき
  2. 他部門理解の促進
    自分が所属している部署だけではなく、他部署についても理解できるようになり、組織を構造的に認識できたとき
  3. 部門間調整力の向上
    複数のチームや社外の人たちとの調整ができるようになったとき
  4. 視野の拡大
    仕事をより高い抽象度(視点、一段大きなカテゴリー)で、多角的に理解できたとき
  5. 自己理解の促進
    逆境でも自分自身を冷静に、客観的に認識できるようになったとき
  6. タフネスの向上
    精神的なストレス耐性の向上を実感したとき

以上のようなタイミングでビジネスパーソンは自分自身の成長を実感し、その後の仕事の糧としていけるようになります。また、このようなタイミングに部下が気づけるよう、能動的に働きかけることが育成につながるのではないでしょうか。

部下が成長するか否かは他者とのかかわりにかかっている

部下が仕事で成長を実感するためには、成長を実感できるタイミングづくりも含めて、まわりのサポートが不可欠になるでしょう。そのなかで上司ができる部下へのサポートは、主に以下の3つが考えられます。

  • 業務支援
    業務に必要な知識やスキルを教え、仕事の効率的な進め方を示す
  • 内省支援
    仕事が終わった後に自分自身を振り返り、変化していくきっかけを与える
  • 精神的支援
    プレッシャーのかかる業務でも、息抜きや安らぎを与える

ただ単に業務を教えたり手助けしたりするのではなく、心理的支援も重要な役割を担っていることがわかります。

人間関係のなかで部下は成長する

さらに上司だけはなく、同僚や後輩、職場の人間関係が成長を加速させます。同じ部署のメンバーや同僚と良好な人間関係を築くことで、職場自体がビジネスパーソンを成長させる最適な環境となります。他者とのかかわりにおいて好ましい態度や行動を促す職場の特徴として「メンバーが相互に助け合っている(互酬関係)」「業務や将来について話し合っている(業務/将来についてのダイアログ)」「メンバー間の良好な関係を維持しようと上司が働きかけている(上司のメインテナンス機能)」の3つが挙げられます。部下に限ったことではなく、ビジネスパーソンを成長させるには、社内の環境が重要な要素と言えるでしょう。

また、新人から中堅へと経験を積み重ねることによって、社内の人間とのかかわりだけでは成長の壁にぶつかってしまいます。中堅以上の部下については、取引先や社外の人とのかかわりが増やすことで、その人間関係が成長の触媒となってくれます。

部下が成長するのに最も大切な「内省支援」

部下の成長をできるだけ早く促したいのなら、先に述べた3つのサポートのうち、「内省支援」を重点的に行うのがよいでしょう。なぜなら、成長を実感する6つのタイミングは、「内省支援」から大きな影響を受けることがわかっているからです。では、「内省支援」とは具体的にどのようにすればよいのでしょうか。

仕事を次につなげて成長するには、なぜ上手くいったのか、なぜ上手くいかなかったのかを考えることが大切です。しかし、前掲の調査では、若手であればあるほど、立ち止まって仕事を振り返ることができないという結果が出ています。仕事が終わったら振り返ることなく、次の新しい仕事へ移ってしまうことが理由でしょう。だからこそ、上司から部下へ都度フィードバックすることと、自身の適切な振り返りの機会を与える「内省支援」が重要になってきます。他者が無理やりにでも立ち止まらせ、一緒に振り返る時間を作ることで、業務能力の向上について確かな実感を部下に与えることができるのです。

できなかったこと・失敗したことばかりを振り返ることのないよう、できたことや成功したこと、なぜそうなったのか、どうしたらよかったのかなど、部下の思考を促して次にどうすればいいのかにつなげましょう。

まとめ

業務のやり方やコツを教えるだけでは、部下をビジネスパーソンとして成長させるには不十分です。業務の節目ごとに部下の内省を促す機会を設け、人間として成長できるようサポートしていきましょう。上司と部下、先輩と後輩、入社同期、取引先のお得意さまなど、職場の内外でかかわるあらゆる人間関係が、一人前のビジネスパーソンとしての糧となります。

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