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レポート

2018.09.04

HRリーダーズフォーラム開講!第1講は「人事総論」

リーダー育成 人材育成 研修

パーソル総合研究所は、「企業経営における戦略パートナーとしての人事」を実現するにあたってキーパーソンとなる次期リーダーの育成を本格的に支援するための学びの場として、「HRリーダーズフォーラム」を開講しました。10テーマにおよぶ人事領域の理論やプラクティスを学ぶ講義と、自社・自組織の課題への打ち手を考察するワークショップ、著名な人事変革リーダーの実体験を聴講する「人事変革ストーリー」など、さまざまな角度から人事パーソンとしての専門性とリーダーシップを高める全15回のプログラムを2019年3月まで開催していきます。


幅広い年代が集い、ユニークな学びの場に

第1期生として参加するのは、日本の大手企業20社の次期人事リーダー候補者と経済学・経営学・社会学を専攻する5名の学生オブザーバー。20代から40代まで幅広い年代が集い、人事歴も1年未満から10年以上のベテランまで。そこに学生も加わり、様々な視点が混ざり合うユニークな学びのグループが形成されました。

第1講「人事総論:経営パートナーとしての人事とは」では、企業経営における「人材」という資源の意味にはじまり、継続的な成長のために企業はどう「人材」をマネジメントするのか、それを担う「人事」という機能の役割やその課題は何か、などのトピックを、海外との比較を交えながら考察し、本プログラムの全体像や思想の根幹を学びました。

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経営の戦略パートナーとしての人事とは

「人事総論」と称した8月9日の初回では、本プログラムの根幹となる「経営パートナーとしての人事とは」をテーマに、学習院大学の守島基博教授と一橋大学の島貫智行教授にセッションをご担当いただきました。

"あなたが所属する人事部門は、「経営の戦略パートナー」として機能できていますか?"

この問いを皮切りに、人事の起点はビジネスであり、会社、事業の戦略の変わり目に人事が十分に機能できているのか?を考える講義が展開。「『戦略変更を担える人材がいない』という課題は、裏返せば、それまでの人事施策、やり方が失敗だったということ」といった刺激的な指摘を踏まえ、複数の実企業の事例をもとに、「戦略が決まっていない中で、人事はどう動くべきか」「2、3年先を見据え、どんな人材を採用するか」といったテーマをグループおよびクラス全体でディスカッション。「事業を撤退するから解雇」とは言えない日本企業の人事の難しさも踏まえつつ、企業の戦略に合致した人的成果を出すための要諦や心構えについてもレクチャーされました。

経営パートナーとしての人事であるためには、会社や各事業の戦略を知り、今後どう変化していくのか経営の方向性を予想できるか、できるだけ多くの可能性を残しておけるかがポイントになります。そのためにまず必要なことは、「"経営の時計"と"人事の時計"は速度が違う」ということを認識すること。「人事部内に流れている時間よりも、経営を取り巻く時間の流れは数倍速い」という意識に立って、各事業のリーダーが欲する戦略的ニーズに合致した最適な人材をレコメンドする用意ができているか?という問いに、参加者の多くが現在果たしている役割と果たすべき役割のギャップを感じ、人事としての自身のあり方を再考する機会となったようです。

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あなたの会社のタレントマネジメントは「適所適材」になっているか?

上述した価値を人事が発揮するためのキーワードとして「タレントマネジメント」についても言及されました。

タレントマネジメントとはデータを集めることではなく、戦略上のニーズがあるときに人を確保すること。そして、ありがちな「一部のトップ層に適用する考え方」ではなく、本来は「全員戦力化を目指すもの」であるということ。その根本にある考え方は「適所適材」だといいます。

「適材適所」が、人が持つ能力や経験を軸として役割やジョブを当てはめるとするならば、「適所適材」はその逆で、役割やジョブがまずあって、それを実行、達成するために必要な人をアサインするという考え方。この思想を機能させるには、人事がいかに「どこにどんな能力や経験を持った人材がいるか」を把握し、「その能力をさらに伸ばすためには何が必要か」を思考し、仕掛けるというアクションが求められます。

そうしたなかで、「全員戦力化のタレントマネジメント」を考える上で極めて重要と守島先生が例示したのが「中途採用」の改革。多くの企業において、新卒入社者は入社前から手厚くしフォロー、育成するスキームがあるのに対し、中途入社者の会社への適応、スキルアップは現場任せとなっていることに警鐘を鳴らされました。

経営に資する人事とは、中長期の視点で人的資源を育成、適所適材で配置できる人事であり、ビジネス目的を達成するための重要な手段です。今後会社や事業が直面するであろう環境変化や戦略の変更に適応しうる能力開発と同時に、「うちの会社が好きだ」というエンゲージメントを高める工夫は、新卒・中途問わず、人事が配慮すべき対象であるのです。

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人事部門のデリバラブルとは?

また、人事部の役割についても、ウルリッチモデルや守島モデルなどフレームワークを活用しながら学びました。ここで重要なのは、それぞれのフレームワークの前提を知っておくということ。どういった労働市場を想定したものか、経営もしくは労使などどの視点に立って考察されたものかを踏まえたうえで、自社の人事の性格や特徴を把握することが意味を成すとのことでした。その上で、人事部門のデリバラブル(=提供価値)を考える際、ステークホルダーを想定することの重要性と、人事部門が苦手とされる自身の人事施策の評価についても言及。施策がうまく機能しない理由として、「施策そのものの間違い」と「運用の失敗」が指摘されました。

こうした議論を踏まえ、この日の総括として、ラム・チャランの提唱する「報酬や手当てなどを主に担当し、CFOが監督するという『HR-A(administration)』と、従業員の能力向上にフォーカスし、CEOの監督を受けるという『HR-LO(leadership & organization』への人事機能の分割※は自社にフィットするか否か」についてディスカッション。各人が自社の状況を分析したうえで、グループおよびクラス全体で結果のシェアを行いました。

初対面にも関わらず、各議論は大いに盛り上がり、参加者の学習意欲とコミュニケーション力の高さに講師の先生方もますます熱が入るといった好循環で、予定時刻を超える充実の内容となりました。

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受講者の声

最後に受講者の声をご紹介します。

一方的な講義形式ではなく、双方向のコミュニケーションスタイルで、常に「自分の会社では?」「こんな場面ではどうする?」と頭をフル回転させての参加でした。 1つのテーマについて、概論、ケーススタディ、ディスカッション、まとめ、と時間をとって学ぶことで定着度も高まり、また、各社のお話を聞くことで実践にも生かせるヒントが得られた気がします。これまで、「戦略人事」「経営の右腕」というようなキーワードは様々な機会で耳にし、頭では理解していたものの、自分の業務との結びつきがクリアにならずぼんやりしていましたが、講義とケーススタディを通して、戦略人事がどういうものかが自分の中で明確になりました。(食料品 N.H様)

人事のあるべき姿を聞けたと同時に、理論だけではなく、日本企業の現状の課題に照らした考察を聞けたことで、自社に置き換えて考えることができた。(サービス業 M.S様)

人事は知れば知るほど、考えれば考えるほど、正解が見えない役割であると気づいた一方で、自身はどこまで知識や考察ができているかというと、まだまだ半人前以下だと感じました。 人事の役割とは?という概念について、人事部門に着任したメンバや事業部門の人事メンバにインプットするだけで、仕事に対する意識は変わると思うので、是非活用したいです。(情報・通信業 M.T様)


人事に求められていることの変化を学ぶことができた。ヒトしかみていない人事だったので視野を広げ、視座をあげて戦略に関しても関心を持つ(どんどん情報を集めていく)ようにしたいと思った。人事の全体を担当しているので、各種業務にあたる際には戦略を念頭におきながら動くようにクセ付けしたい。 (その他製品 K.S様)

次回は8月28日、30日の2日程にわたって、「人事制度論:経営戦略を実現するために、人事制度はどうあるべきか?」をテーマにセッションが行われます。等級・評価・報酬制度に焦点を当て、経営戦略と人事戦略の関係性を紐解きます。


プログラム監修委員 櫻井's VIEW ―'Outside-in'思考できていますか?―

いよいよHRリーダーズフォーラムが開講した。

初回は、これからのプログラム全体の背骨となる「人事総論」。人事の役割とは何か、その中で人事プロフェッショナルとして何を考え、行動していけばいいのか、を守島、島貫両先生ご指導の下、ケースや人事コンピテンシーモデルなどを通じて一日じっくり振り返った。

コーディネーターとして参加する私にとっても、どのような参加者がいて、彼らがどういう考え方をするのかを知る大きな機会であった。もちろん今回の参加者は皆若く有能で、会社からは大きな期待をされ、日々様々な業務を任されている方々であるが、議論の内容からは毎日「火消し」的な仕事に追われ、なかなか本質的なことを考える余裕がない姿が垣間見えた。それゆえに、ミクロの視点で個別社員を見ることは得意だが、個人を捨象してマクロの観点から組織を見ることはまだまだ苦手のようであった。また、日本企業における人事の在り方ゆえなのか、考え方が権威的で、「人事の既得権」や「人事部の内部論理」に依拠しがちな傾向が強いようにも思われた。

受講後のコメントでは、これらに自ら気付かれたというコメントも多く、ひとまず第1講の目的は果たせたのではないかと思う。彼らの今後の成長が楽しみである。(櫻井 功  パーソル総合研究所 副社長 兼 シンクタンク本部 本部長)

※参考:ラム・チャラン(2015) 『It's Time to Split HR(人事部門をなくそう)』DIAMOND Harvard Business Review、2015年7月号、10-11頁.

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