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2014.12.02

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ジェネレーションYに学ぶ自分自身の声に向き合ったキャリアの歩み方

キャリア ミドル・シニア

「ミドル世代に元気がない」という声をよく聞く。企業組織に所属し続ける中で、ミドル世代は何を見失ったのか。そして、それはどのようにすれば取り戻せるのだろうか。ミドル世代の1つ下に当たる世代、「ジェネレーションY(Y世代・1975年~1989年生まれ)」を代表し、Teach For Japanの松田氏・蓑輪氏に話を聞くことでヒントを探った。

大切にしているのは「組織のミッションが個人のミッションでもある」関係性

須東:よく「ミドルは元気がない」という話を聞きます。皆さんから見てミドル世代はどのように映っていますか?

蓑輪:今のミドルに元気がないというのは少し意外です。私が以前いた外資系金融機関ではむしろミドル世代の方がパワフルでした。会社に対する愛社心も強かったですし、「今の会社を自分たちが成長させてきたんだ」という自負心も持っていらっしゃいました。当時お世話になったミドルの方々を私は今でも尊敬しています。

松田:世代で区分けして考えることに少し違和感があります。私たちの世代でも仕事に前向きな人もいればそうでない人もいます。これはミドル世代においても同じことだと思います。実際、世代による意識の違いは感じられますか?

Teach-For-Japan様.png左からTeach for Japanの松田悠介氏、蓑輪淳子氏、インテリジェンスHITO総合研究所の須東朋広主席研究員

須東:私もミドル世代の一人ですが、私たちには「勝つことが全てだ」といった価値観がベースにあるように思います。そのため「同期より先んじて成果をあげてやろう」なんてことを思っていた世代です。成果を上げて出世するためには私生活の犠牲も厭わず、人よりも多くの仕事をしようとしてきました。しかし、今の若い世代を見ていると、そこまで勝ち負けにはこだわっていないように見えます。もっと違う「何か」を大切にしているようにも思うのですが、いかがですか。

蓑輪:たしかに私自身も「是が非でも社内で昇進していくぞ」という意気込みは持ったことがありません。

松田:私は逆に「勝ち負けではないぞ」と前職のコンサルティングファームで教えられました。同期同士で勝負をするのではなく、「個々がいかにリーダーシップを発揮し、シナジーを生み出すか」が大事だと教わりました。その点は今でも非常に意識しています。

蓑輪:以前と比べると、私たちの世代には社内外にネットワークを持ちやすい環境にあることも影響しているかもしれません。私たちの世代は会社以外にも色んなコミュニティに属していますし、今は転職も選択肢に入るようになってきました。キャリアの選択肢は昔より豊富なのではないでしょうか。実際、私も松田に知り合ったのは前職の職場にいた時です。

須東:私たちミドル世代は1つの企業で勤め上げることが普通でしたので、その環境の違いは大きいかもしれませんね。個人を取り巻く環境が変わったとすると、個人と組織の在り方も変化しているのでしょうね。

松田:これは私自身が注意していることですが、組織のミッションが個人のパーソナルミッションでもある関係性が大切だと思っています。Teach For Japan(以下、TFJ)の『ひとりひとりの子どもの可能性が最大限活かされる社会の実現』というミッションが達成されることで、私たち個人のミッションも達成されるということです。組織のミッションに個人が盲目的に従うのではなく、組織がハッピーになることで個人もハッピーにならないといけない。

蓑輪:非常に共感します。私自身、自分が培ってきたものをTFJの成功のために使えるのであれば幸せだろうなと思い、この組織に入りました。

写真_3.png
志に共感した多くの学生が集まる

自分自身のパーソナルミッションにいかに向き合うか

須東:お二人のお話を伺って、私たちミドル世代が見失ってきてしまった「何か」が分かってきたように思います。つまりパーソナルミッションに基づいた働き方が出来ていないということではないでしょうか。しかし、日々働く中で今の私たちがパーソナルミッションを持つのは難しい。パーソナルミッションを持ち続けるためにはどうすれば良いでしょうか。

松田:自分自身の心の中にあるもの、内なるものに向き合うことだと思います。最近の学生を見ても強く感じるのですが、インターナルモチベーションに従って価値判断をしている学生が非常に多い。彼らは大企業に入ろうとは思っていません。人気企業や大手企業が一夜にして力を失う様を目にしてきた彼らは、人気企業で20〜30年過ごすことが自分の市場価値を高めることにつながるわけではないということを知っています。

グローバルな情勢下、日本の立ち位置はどこか?、今後日本はどうなっていくのか?といった大きなうねりをしっかり感じ取っています。その中で「どこに身を置けば自己成長でき、自己実現につながるか?」「自分が今しかできないことは何か?」といった問いに向き合い、貪欲に行動しているように私には見えます。

須東:インターナルモチベーションに従うことで、自ら課題を見出し、そしてそれに真剣に向き合って行動しているということですね。

松田:そうです。実際、私たちは学習支援プログラムの中で、大学生を教師として困難を抱える子どもたちの指導にあたらせていますが、派遣される大学生に金銭的な報酬はありません。

家庭教師や塾講師であれば時給2000〜3000円もらえるのに、なぜ彼らはうちに来るのか? この理由には2つあって、1つは「社会に意味ある価値を残したい」ということ。困難を抱える子どもたちのために、自分ができることをしたいという気持ちが強い。そしてもう1つが「成長したい」ということです。彼らはリーダーシップを取る経験や挫折経験が成長につながるということを分かっています。彼らはこのようなことに、やり甲斐を感じているんです。

写真_2.png
学校現場での活動の様子

須東:私たちミドル世代は正解と効率を求める世代だと言われます。正解を求めるということは、課題はもともと与えられているということ。その課題は正しいのか、自分や自組織にとって本当の課題は何なのか、といったことは見てこなかったように思います。しかし、今は課題設定力が大事だと言われる時代です。ミドル世代自身も課題解決型から脱したいが、これがなかなか難しい。

蓑輪:いかに多様な環境に身を置き、多様な価値観とぶつかるかという点が大切だと思います。異なる価値観と出会うことで、今まで自分が「当たり前」と思っていたものに疑問が生じます。そこではじめて課題が生まれてくるのではないでしょうか。TFJで育った時代も環境も全く違う背景を持つ子どもたちと接することで、教師が自身を内省し、それがリーダーシップを育む契機になっています。これは会社においても例外ではないと思います。会社にも多様な人がいます。社外に出るだけではなく、社内であっても異なる部署や異なる世代と会うことで多様性に触れる機会を作れるのではないでしょうか。

松田:社外で起業するアントレプレナーと対比して、イントレプレナーという言葉があります。これは企業の中で新規事業など新しいことにチャレンジしていくことを意味します。ただ、このイントレプレナーが発揮されるには、失敗を許す文化が必要です。たとえ失敗してもまた挑戦できるような文化でないと誰も挑戦しなくなるということです。

須東:そのためにはまずトップが挑戦や失敗をしているような組織でないといけません。過去、HITO総研でフォーラムを行なったのですが、そこではトップや人事部自身が挑戦も失敗もしていないのではないか、という問題点があげられました。

松田:また、根本的には旧来型の日本教育も影響していると思います。つまり、まさに問題を与えられ、正解を追い求める教育です。TFJでは生徒との対話を重視し、教師自身がロールモデルとなることで、子どもたちが夢や希望を持ち、課題を自律的に生み出せるような教育を目指しています。私たちの理念が拡まって、教育制度が根底から変わっていけばと思います。

パーソナルミッションに基づいたキャリアを歩む

須東:最後に、これからご自身がミドル世代になっていくにあたりどのようにキャリアを歩んでいきたいか。なにか思いがありましたらお教え下さい。

松田:何かを選択する時、常にその判断が自分のパーソナルミッションに基づいているかどうかを大事にしたいですね。パーソナルミッションを犠牲にしてまで他のものは選びたくない。自分の軸にぶれず、自らの信念に基づいて自らの判断で選択をしていれば、たとえ事業では失敗しても人生を失敗だと感じることはないと思います。誰かが決めたキャリアではなく、自分自身のキャリアを歩みたい。今までもそうしてきましたし、これからもそうありたいです。

蓑輪:女性ということもあり、ライフステージにおいてキャリアの理想像は変わってきます。でも各々のステージで自身の内なる声をしっかり聞きたいと思っています。自分が今何を求めていて、何を大事に思っているのか?そして今何をするべきなのか。常に自分の内面に正直なキャリアを歩み続けられれば、それはとても素敵な人生だと思います。

※本記事は、機関誌「HITO」vol.03 『ミドルの未来』からの抜粋記事です。データ・内容は当時。


認定NPO法人 Teach For Japan
子ども一人ひとりの可能性が最大限活かされる社会の実現を目指す教育NPO。日本の子どもたちを取り巻く教育環境に課題意識を持ち、日本で最も有望な未来のリーダーたちを「教師」として採用・育成し、最も支援を必要としている地域・学校に、2年間にわたって紹介する。教師が、子どもの成長を大きく後押しすると同時に、プログラム後、将来さまざまな分野で「教育機会の格差に問題意識を持つリーダー」となって、社会および教育システムの変革を実現していくことを狙いとする。

松田 悠介 氏
日本大学文理学部体育学科卒業後、体育科教諭として勤務。その後、千葉県市川市教育委員会を経て、ハーバード教育大学院で修士号を取得。卒業後、PricewaterhouseCoopersに勤務後、 Teach For Japanを創設。World Economic Forum(世界経済フォーラム) Global Shapers Community選出。

蓑輪 淳子 氏
大学卒業後リーマンブラザーズ証券会社資本市場本部に入社。東京、香港、ニューヨークでの勤務後、ゴールドマン・サックス東京オフィスに転職。主にアジア地区の新卒採用を担当。2012年5月よりTeach For Japanに参画。


機関誌「HITO」vol.03 『ミドルの未来』
cover03.jpg機関誌「HITO」vol.03 『ミドルの未来』では、本記事をはじめ、識者インタビューや企業事例などを通して、学び直しや継続的な職業能力開発の必要性についてお伝えしています。ぜひご覧ください。


>>機関誌「HITO」vol.03 『ミドルの未来』

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