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レポート

2014.07.01

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グローバル人事制度構築で欠かせない3つのポイント

キャリア グローバル人事

【HRサミット2014 登壇報告 vol.4】
グローバルで勝ち続けるための人事制度の構築
~人事管理エキスパートから戦略人事企画プランナーへ~

HRプロ主催HRサミット2014にて、当研究所主席研究員の須東がモデレータを務めたシリーズ講演「経営に資する人事キャリアのつくり方」。第1回、第2回、第3回(記事下の「関連記事」参照)とお伝えしてきた本シリーズの報告記事も今回で最終回です。

今回登壇したのは、カゴメ株式会社 執行役員経営企画本部人事部長の有沢正人氏です。「グローバルで勝ち続けるための人事制度の構築~人事管理エキスパートから戦略人事企画プランナーへ~」と題し、カゴメで行っているグローバル人事制度の構築について講演しました。

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愛知から日本、そして世界へ

カゴメは、創業から今年で115年目、明治32年に創業者の蟹江一太郎氏が愛知県でトマト栽培に着手し、無事発芽させた日から今日まで、トマトケチャップや野菜ジュースをはじめとした多彩な飲料・食品を提供し続けてきました。愛知県から日本全国、そして近年、アジア各国、北米、ポルトガル、オーストラリアなど海外にも拠点が増えてきた同社は、「Next50」と銘打ち、今後50年でグローバルでのビジネスをさらに拡大させようとしています。そのため、グローバル人事制度の構築が急務となっていました。

そこで2012年、HOYAなどでグローバル人事制度の構築経験があった有沢氏が、その推進役として人事部長に外部から招かれたのです。

各国バラバラだった人事制度

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カゴメ株式会社 執行役員
経営企画本部人事部長
有沢正人 氏

「アメリカ、オーストラリア、ポルトガル...、子会社みんながバラバラの人事制度を運用していました」。有沢氏は着任当時の各国拠点の状態をそう振り返ります。「しかも、評価基準があいまいなまま運用している拠点もありました。ある国でセールスマネジャーの評価シートを見せてもらうと、『人との交流』が目標となっており、『たくさん人と会った』ので5段階中の5の評価がついているなんてこともありました。それはもう驚きました」。

そこで、有沢氏はグローバル共通のHRポリシーや仕組みを構築すべく、ジョブ・グレーディング、評価の仕組み、サクセッション・プラン・プログラムを導入することにしました。これらグローバル人事制度の導入は、2つのステージに分けて実施。第1ステージでは、グローバル化を推進するための基盤づくりとして、(1)ジョブ・グレードや評価基準を統一する、(2)コア人材のサクセッション・プランを策定する、(3)グローバル教育体制を確立する、の3点を推し進めていきます。そして、第2ステージでは、グローバル人材を経営に生かすための戦略人事施策としての展開を目指しています。例えば、(1)経営ビジョンの実現に必要な人材の質・必要時期・エリア・人数などを見極められるようにすること、(2)グローバル人材の見える化、(3)グローバルレベルで必要な人材を必要なときに供給できるよう「スキルマップ」を整備する、などといった施策を予定しています。

グローバル人事はトップの強い意思なくして実現しない

これらのグローバル人事制度構築を進めるうえで、欠かせないポイントは次の3点だといいます。

1つ目は、トップの強い意志があること。いかにトップに関心を持たせるかが、人事の力の見せどころです。人事に興味がない社長はいないと思います。ただ、どうやればいいか分からない社長は多いかもしれない。だから、社内の常識や従来の制度・概念のうち、何が社外から見て非常識であり、間違っているのかを伝える。また、人事の何を変えれば、ビジネスの数字に跳ねるのかを丁寧に説明し続ける。それが大事です。グローバル人事は、絶対にトップと握らないとうまくいきません。私がカゴメで行った人事制度の提案のなかには、当時の社長が役員たちに向けて『これは絶対通す』と強い意思表示をした後に私が提案プレゼンをするという場面があったほどです。カゴメの前にHOYAでも、私はグローバル人事制度づくりを担いましたが、そのときも強力なトップのバックアップがあり、成功させることができました」(有沢氏)。

また、制度変革自体も、まずはトップ層を対象とするものから変え、全社へと落としていくのがよいといいます。事実、同社の第1ステージも、役員や部長クラスの評価やジョブ・グレードの制度を構築したうえで、課長クラスの構築を進めています。トップやマネジメント層のジョブ・グレードおよび評価基準が規定されていくことにより、メンバーは、どういう能力があれば、どういう仕事をすることになるか、どういうポジションにつけるかが明確になり、また評価もフェアになるため、成長意欲のある人材が育つ好循環が生まれるのです。さらに、同時にグローバル報酬制度も変えていきます。上から変わると同時に、外へも導入していくことが肝要です。

ポイントの2つ目、3つ目は、人材の確保と体制作りです。まずは人事責任者に経験者を登用すること。グローバル人事制度構築の経験者が社内にいなければ社外から採用する。結果、同社では有沢氏が110余年の歴史上、初となる外部出身の人事部長となりました。そして、専門組織の立ち上げ。同社では2013年に実務部隊としてグローバル人事グループを立ち上げました。これらのことは、社内に対して「グローバル人事を進めていく」という会社の意思をアナウンスすることにもなり、とても重要な意味を持ちます。

今後はトップ層の後継者育成もやっていきたい

ここまで述べたように、10年先を見据えながら、一歩ずつグローバル化の取り組みを進めている同社。講演最後に、有沢氏は今後の方向性について、HOYAでの実績を例に挙げながら、こう話しています。

「私がHOYAでグローバル人事を担当していたときに行っていたもので、『グローバル・エグゼクティブ・プログラム』というものがあります。将来、役員になりたい社員に立候補してもらい、彼らがリーダーとしてふさわしいかを行動・性格特性の360度評価や基礎的能力、論文評価などを通して選抜。そこで選りすぐられた人材を、OJTでエグゼクティブへと育成するプログラムです。どの企業でも、トップの後継者が常時控えているような状態をつくっておくことは非常に重要です。カゴメでも、今後こうした後継者育成の仕組みを構築していきたいと考えています」。

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