HOMEコラム・レポート レポート 【第4回HITOフォーラム「チェンジマネジメントの未来」】第1部前半: 変革し続ける組織を実現するための人材マネジメントのあり方

レポート

2014.01.31

このエントリーをはてなブックマークに追加

【第4回HITOフォーラム「チェンジマネジメントの未来」】第1部前半: 変革し続ける組織を実現するための人材マネジメントのあり方

人材育成

画一性や効率が競争優位に直結する「工業社会」から、独創性やスピードなどが競争優位となる「脱工業社会(知識社会)」に変化するなか、多くの企業で変革が求められています。
では、変革はいかにして実現すれば良いのでしょうか?またどのような変革が求められているのでしょうか?

HITO総研では、2014年1月10日(金)に『チェンジマネジメントの未来』を開催いたしました。まずは第1部のプレゼンテーションの模様をお伝えいたします。

【第1部】 『変革し続ける組織を実現するための人材マネジメントのあり方』
~経営は何を考え、組織・社員にどう仕掛けていくのか~

<パネリスト>
シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長 平井 康文 氏
株式会社良品計画 代表取締役会長兼執行役員 松井 忠三 氏
元プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)米国本社HR担当ヴァイスプレジデント
(現BBT大学院 客員教授)会田 秀和 氏

<ファシリテーター> 一橋大学大学院 商学研究科 教授 守島 基博 氏

【イントロダクション】

守島 基博氏(一橋大学大学院 商学研究科 教授)

冒頭まず守島先生よりチェンジマネジメントを捉える際のポイントについて下記のようなお話を頂きました。
「チェンジをいかに起こすか?」という意味での"チェンジマネジメント"についてはこれまでも多くの議論がなされてきました。例えばクルト=レビンが示した3つのステップ『解凍(変われるかもしれない・変わりたいという感覚の醸成)⇒変革(方向性の提示と変革の推進)⇒定着(導入した変革のメンバーへの定着)』などは有名です。企業人事も、従来のやり方から決別を促したり、変化の方向性を指し示すなど各段階における対応などは行ってきたのではないでしょうか。
しかし、近年では別の意味でのチェンジマネジメントが求められています。それは「チェンジを起こし続ける組織をいかにして創るか?」というものです。変化の激しい現在においては、外部環境の変化や戦略の変化に応じて、常に変革を起こしつづけることが必要です。危機的な状況になって始めて着手する変革ではなく、常態として継続的に変化を起こし続ける組織をいかに創るかがポイントとなります。
今日は企業が「自ら継続的に変革できる組織」を作った企業をお呼びしました。人事は経営から何を期待されているのでしょうか?また具体的にどういったことを行うべきか?企業の事例から読み取って頂ければと思います。

hito_forum4_pt1_01.jpg

【シスコ社におけるチェンジマネジメント】

平井 康文 氏(シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長)

平井氏からは、冒頭ジェネレーションY(14歳-30歳)に関する調査結果が発表されます。これはシスコ社が主要先進14か国を対象に行った調査で、それによるとジェネレーションYの3分の2はフェイストゥフェイスよりもネット上で会う時間の方が長いなど、今までとは異なる価値観を持っているとのこと。顧客の価値観が変化し、且つ、組織内においても価値観の異なる層が増えてくる中で、経営の品質を高めるためには"オーケストラ型組織"へと変化すべきだとお話し頂きました。
バイオリン奏者にはクラリネットの楽譜は共有されていないように、"オーケストラ型組織"では個々のプロフェッショナルが自身のパートに責任を持ちながら、同時に組織全体としてまとまりハーモニーを織りなすことが求められます。組織として一体感を持たせるために欠かせないのが、企業の文化やビジョンなど共通の価値観の浸透です。そうした価値観を組織の隅々にまで浸透させるにあたり、特に欠かせないのが企業文化を体現する一人ひとりのリーダーシップです。同社ではそうしたリーダーシップのコンピテンシー"C-LEAD"(※)を明確にし、それに基づいた採用や評価を行っている旨が紹介されました。共通の価値観の中で「何を変えないか」というアンカーを明確にするからこそ、それ以外の「変えるべきもの」が明らかになります。そして、コンピテンシーの中にイノベーション創出や変革に必要な要素を加えることによって、変化し続ける人材を輩出し、継続的に変化できる組織創りを行っているというお話を頂きました。

※C-LEAD ...「Collaborate(コラボレーション)/Learn(学習)/Execut(実行) /Accelerate(加速) /Disrupt(破壊)」

hito_forum4_pt1_021.jpg

【良品計画社におけるチェンジマネジメント】

松井 忠三 氏(株式会社良品計画 代表取締役会長兼執行役員)

続いて松井氏からは、業務マニュアルMUJI GRAMを中心とした良品計画社の変革についてご紹介頂きました。創業以来10年にわたり急成長してきた同社ですが、11年目以降、その成長にブレーキがかかります。松井氏によると、その根本的な原因は経験主義の蔓延や実行力の欠如といった"組織文化"にあったそうです。
経験主義を打破するために実施した風土改革の象徴的なものが業務マニュアルMUJI GRAMです。マニュアルというと一見硬直的なイメージがあります。しかし、MUJI GRAMには「マニュアルの更新」を通して変化することそのものを仕組みの中に組み込んでいることを詳しくご説明頂きました。社員からの声に基づき販売方法などが変わることで、「お客様の変化によって仕事の仕方を変える」文化が徐々に組織に醸成されていったそうです。同時に、それらを支える人材に対する評価・育成の仕組みについても紹介されます。各ポストに必要な能力が可視化されるとともにファイブボックスと呼ばれる「パフォーマンス」と「潜在能力」の2つの観点から評価する方法によって、適切な人材が評価・登用されることで変化し続ける組織になっていることが示されました。

hito_forum4_pt1_03.jpg

【Transformational Organization 】

会田 秀和 氏(元P&G米国本社HR担当ヴァイスプレジデント)

会田氏からは、「変革は会社の業績向上のために行うべきだがそれが徹底されていないのではないか」という問題提起がなされます。変革とは、例えば「シェアや利益率が悪化した。なぜこんなことが起こっているのか?」という問題意識を起点に出発すべきです。しかし日本の人事は、業績よりも制度や社員意識に目を向けすぎているのではないかという指摘がなされます。組織の形態や制度、文化、必要なスキルなどは戦略によって変化します。人事は戦略的見地から組織を捉える必要があり、(成長⇒成熟⇒衰退いうサイクルをしっかりと理解した上で)衰退期に入る前に次の戦略を打ち立て、新しい組織能力を作り上げることこそが基本だとお話頂きました。
そうした変革し続ける組織を実現するために、必要不可欠なのがリーダーの育成です。ボトムアップの目線ではつい社内だけに目が向きがちです。中長期的な視点・戦略的な見地・市場環境やステークホルダーの状況なども鑑みながら変革を遂行できるリーダーの存在こそが変革を成功させます。実際、変革し続ける企業の代表であるP&G社やGE社では、リーダー育成のために数億円のお金をかけていますが、日本企業ではそこまでリーダー育成に着手できていないのではないか?と問いが投げかけられました。

hito_forum4_pt1_04.jpg

第1部後半で行われたディスカッションの模様のついては次回お伝えさせて頂きます。

関連コンテンツ

このエントリーをはてなブックマークに追加

【経営者・人事部向け】

パーソル総研 メルマガ

雇用や労働市場、人材マネジメント、キャリアなど 日々取り組んでいる調査・研究内容のレポートに加えて、
研究員やコンサルタント・講師のコラム、お得なセミナー・研修情報などをお届けします。

メルマガ詳細はこちら
PAGETOP
PAGETOP