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ミドルの未来

ミドル3

55歳定年制が一般的だった高度成長期では、45-55歳とは職業人生を締めくくるキャリアの集大成にあたる時期でした。しかし70歳まで働くことを前提とすると、45歳は折り返し地点を過ぎたばかりの時期にすぎません。ミドルが転換期を迎える今、ミドルのキャリアデザインやミドルマネジメントはどうあるべきなのでしょうか?

- フォーラム
【第3回HITOフォーラム「ミドルの未来」】
<第3部> 『ミドル躍進に向けた人事部の在り方~「これからのミドル」をどう創造していくか~』

2012.12.03

【第3部】『ミドル躍進に向けた人事部の在り方~「これからのミドル」をどう創造していくか~』

≪パネリスト≫
ジブラルタ生命保険株式会社 執行役員 中島 豊 氏
株式会社富士通総研 取締役執行役員常務 加藤 真 氏
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 取締役人事本部長 相原 修 氏
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 執行役員人事部長 工代 将章 氏
≪ファシリテーター≫
インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員 須東 朋広

 

ミドル創造における課題
ミドル躍進に向けて、フォーラムで提起された課題はミドル自身が自らのテーマや専門性、自分らしい「仕事観」が持っていないことです。入社以来、組織から与えられる課題に応え、組織の論理に従い続けてきたことで、ミドル世代は自らの信念に向き合ってこなかったのではないでしょうか。

そうしたミドルの志や専門性がないことは下記のような問題を引き起こしています。

・課題設定力の欠如
本来、ミドル世代には組織や社会の課題を自ら見出し、解決に向けて尽力することが求められています。しかし自らの志や専門性、仕事観が曖昧だと、内発的に沸き起こる課題が生まれません。自ら課題を発見せずに、いつまでも組織から与えられた課題の解決にのみ終始してしまいます。
・上がり意識の醸成とプロフェッショナルの欠如
「プロフェッショナルとしてのミドル」が求められる今、ミドルが専門性や強みを認識できず、それらを磨いてこなかったことが課題として挙げられます。加えて、職位や報酬をモチベーションの拠り所にしている場合、ある一定のポストに達することで “上がり”の意識を持ってしまうミドルが多く存在してしまいます。

こうした問題はなぜ生まれるのでしょうか?
HRMの観点に立つと下記のような問題点が挙げられます。

・金銭的報酬や職位に偏ったインセンティブ設計
hito_forum3_pt1_3_01競争力の源泉が”既存モデルの磨き上げ”から”イノベーション”に移行しているにも関わらず、インセンティブ設計が外発的動機付け(金銭的報酬や職位など)中心になっている。
・同質性を重視し、学び直しを歓迎しない採用慣行
実務経験を過度に重視し、業務遂行に必要な能力の有無という点を無視した採用が横行している。
・画一的な評価・処遇
年次管理のもと一様な評価・処遇を行なっている。
・OJT 中心の人材育成
環境変化のスピードや大きさによりOJT 以外の教育スタイルが必要となっている。

人事機能に求められる対応
では、どのようにして対応すれば良いのでしょうか?
フォーラムでは下記3点について議論されました。

1.気づきを与えるような「場」の設定
hito_forum3_pt1_3_02組織に与えられた課題に応えるだけでなく、自らの信念に向き合えるような場を設定することが求められます。
パネリストの方々からも下記のような意見が出されました。
・「ミドルの不活性化というが、実は活躍する場がないだけだと思っています。本人に高い期待を求め続けることや横同士が高いものを求め合うような風土醸成がカギではないでしょうか。」(工代氏)
・「自ら気づけば誰もが前に進みます。そのために気づきや刺激、問いかけを与え続けることが重要です。」(相原氏)

また、加藤様からはミドル自身が気づき活性化した実例として、『フィールドイノベーター制度』をご紹介いただきました。
これは、一定以上の役職にあった幹部社員を集めて、顧客に密に関わりソリューション営業を行う部署を新設した制度です。振り返りの仕組みを組み込んだことや、ミドル自らが改めてお客様に向き合ったことなどを通して、多くのミドル層が自らの強みを再発見し、職場が活性化したそうです。「自らを振り返る場において、研修の最初の方は自分自身のことついて職歴しか書けない人が多かった。しかし振り返る時間をしっかりと設け、自己を見つめるにつれて、学びたいものが明確になり、皆で教え合う風土が生まれた」という事例も共有頂きました。

2.ミドルに対する評価・処遇の適正化
hito_forum3_pt1_3_03また、ミドル活性化のために必要な要素として評価の在り方についても議論されました。今まで年功的だった企業に対しては成果主義等を導入しても年功は残ってしまいます。フォーラムでは、重要なのは制度ではなくマネジャーが行う評価の在り方ではないかという問題が提起されました。部下の貢献がマネジャーの成績を左右するにも関わらず、現状、マネジャーが部下の評価を適切に行わないケースが多いのではないでしょうか。甘いことばかり言って適切にフィードバックしないことは、個人・企業双方にとって後で不幸になります。
厳しいこともしっかりとフィードバックするようにマネジャーに評価責任を持たせることや、そもそも評価もできず厳しいことも言えないマネジャーを昇格させてはいけないという点が指摘されました。

その際、人事が持つべきスタンスとして中島氏から指摘されたのは人事が制度を作りこまないことです。第2部でも指摘されたように、人事部にはつい制度ばかり着目し制度をつくりこんでしまう傾向がありますが、それが効果を生まないばかりかむしろ適切な評価を阻害していることが指摘されました。

3.タレントマネジメントの実践
年齢や過去の経緯といったしがらみにとらわれず、役割や個々の能力に焦点を当てるために、人事機能にはタレントマネジメントの実践が求められます。
相原様からはグローバルで実践するタレントマネジメントについてお話頂きました。

ベーリンガーインゲルハイム社では360 度評価による振り返りや階層別・地域別での研修を用意しています。しかしながら、「70:20:10というように、研修ではなく日々の業務でいかにストレッチなアサインメントをするか。そして、だからこそいかに人材を見極めるかこそがポイントになる」という点をお話いただきました。人事としては当たり前のことをいかに本気でやるか?こそ要であり、フォーラムでは人材評価に時間をかけて議論を行う例やサクセッションプランを本気で実践する様子が紹介されました。

第3部ではキャリアの在り方やミドルの評価の在り方について議論を致しました。ミドル本来が持つ強みにミドル自身が気付き、その強みを生かして価値発揮できるために、例えば、
・旧来の環境をリセットすることでしがらみを断ち切ること
・個々人が役割意識を持つために、人事評価に透明性を持たせ、本人にもきちんとフィードバックを行うこと。
・評価等を明確に開示し、タレントマネジメントを実践すること
などが求められているのではないでしょうか。

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