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ミドルの未来

ミドル3

55歳定年制が一般的だった高度成長期では、45-55歳とは職業人生を締めくくるキャリアの集大成にあたる時期でした。しかし70歳まで働くことを前提とすると、45歳は折り返し地点を過ぎたばかりの時期にすぎません。ミドルが転換期を迎える今、ミドルのキャリアデザインやミドルマネジメントはどうあるべきなのでしょうか?

- 委員会
第5回 議事要旨
『タスク処理型人材から知識創造人材へ:これからのミドルに求められる対応』

2012.11.06

なぜミドル期にタスク処理人材から知識創造人材へ移行できないか

本委員会では、ミドルの価値発揮やミドルのキャリアデザイン、ミドルマネジメントについて過去4回にわたって議論してきた。では、「これからミドルになる層」に対してはどのような対応が必要だろうか。

本来、ミドル前期にさしかかる35歳を境に、個人には自らの価値観や専門性を自覚し、自律的にキャリアを描いていかなくてはならない。20代~30代前半においては、与えられた仕事に全力で取り組むことが良いキャリアにつながるため、個人は自らの専門性やキャリアについて過度に意識する必要はない。しかし、30代後半以降は与えられた役割を果たすだけでなく、自ら課題を設定し解決していくことが求められる。即ち、35歳を境にタスク処理型人材から知識創造人材へ移行していかなければならない。しかし、現実にはミドル期に入っているにも関わらずタスク処理型人材のままである個人が多い。なぜ知識創造人材へ移行できないのだろうか?そして移行するには何が必要なのだろうか?委員会では、ミドル期)以前に求められる事項とミドル期以降の問題に分けて議論を行った。

【ミドル期(35歳)以前について】
前述したように、30代前半までにおいては過度にキャリアを意識する必要は無い。この時期は様々な経験の中からビジネスの基礎を養い一人前になることが大切な時期であり、偏ったキャリア意識は逆に仕事の幅を狭めてしまう恐れがあるためである。特にキャリア初期については、キャリア意識以上に意味づけが大切であり、環境変化に合わせて自らを変え成長し続ける姿勢がなにより求められる。
しかし、35歳以降に知識創造人材に移行するという観点に立つと、日々の仕事の中で自身を見つめ内省をすることが求められる。自らの志や仕事観が曖昧だと、内発的に沸き起こる課題が生まれず、知識創造につながらないためである。ミドル期に入る前から自己の内面を見つめる癖をつけ、専門性や仕事観の萌芽を見出すことが望まれる。

問題
ミドル期に入る前の段階から内省するにあたり何が障壁となっているのか。本委員会においては、下記2点が問題点として挙げられた。
(1) 社内:修羅場経験や失敗経験の不足
自己を内省するきっかけの1つに修羅場経験や失敗経験が挙げられる。自分の能力より高い目標(ストレッチ目標)や失敗経験は、”出来ない自分”に出会い「なぜ出来ないのか?」という自己を見つめることにつながる。
しかし、多くの日本企業において、成長の鈍化や人口構成等の問題から、若いうちに挑戦する機会が少なくなっている。

(2) 社外:企業の外に目を向ける意識や異質な価値観に出会う機会の欠如
タスク処理人材から脱することが出来ない要因に、社員が社内にしか目を向けていないことが挙げられる。個人の内省は異質な価値観との出会いによって促されるが、日本企業は同質性が高く、社内で異質な価値観に出会うことは期待できない。また仮に社外に目を向けたとしても、日本においては自らの経験を体系的に見直す機能が十分ではない。社外での学びを評価しない企業の慣行や、企業を超えた国や地域のサポート体制の在り方が問題だといえる。

解決策
個人に対しては、常に自分の能力以上の機会にチャレンジし、それに全力で取り組むことが求められる。同時に、社内に安住するのではなく、社外に飛び出し、異質な価値観も体験しながら自己を見つめる機会を持つことが求められる。
企業はそれをサポートする立場として、
・適切な修羅場経験を積ませること
・高いストレッチ目標をあえて与えて続けること
・外部交流の推奨や意識的に他流試合の場の用意すること
・個人が自ら手を上げ、ストレッチした機会に挑戦できるような文化の醸成
などが必要となる。
また、政府や地域についてはそうした企業・個人が上記の様な取り組みを行いやすいようなサポートが求められる。例えば北欧では成人学習を促すために学校を開放したり、学習のために休暇を取りやすい制度を整えるなどの施策がみられる。

ミドル期(35歳)以降について
上記のように、ミドル期以前に内省する機会を設け、個人に内省する癖が定着していれば、自ずとキャリア意識や専門性の萌芽は見出せているのではないだろうか。(※尚、内省機会を経ていないミドル世代に対し、いかに内省を促すかについては第3回『ミドルがキャリアをデザインできるようになるには?』や第4回 『ミドル本来の強みをいかに活かすか』を参照下さい。)
ミドル期は個人が組織の中核メンバーとして多忙な日々を送っていることもあり、他の層以上に共助や公助が必要となる。
企業は内省をサポートする立場として、内省機会の提供や”次に学ぶべきもの”に気付けるような場を意図的に提供することが求められる。本委員会では、個人の気付きを支援する具体策として、対話やフィードバック、コーチングなどが挙げられた。また、個人が専門性を磨き上げるために外部交流を図ることを妨げることなく、むしろ促進する姿勢が重要になる。
他方、公助(行政や地域の支援)については、前述した成人学習の支援が一層望まれるとともに、ビジネスパーソンとしてのエンプロイアビリティ向上につながるような「学び直し」を支援する体制が求められる。

上記のような共助・公助のもと、いかに個人が好奇心や学習意欲を持ち続け、専門性を磨き続けるか。そして、社内だけでなく社外においても人的ネットワークを形成し、プロフェッショナルとして成長していくかが「これからのミドル」の創造や躍進の鍵だといえる。

日時:2012 年11 月6 日(火)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO 総合研究所 会議室

参加者:
法政大学大学院政策創造研究科 教授 諏訪康雄氏
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 執行役員 人事部長 工代将章氏
経済産業省 大臣官房秘書課 総括補佐 梶川文博氏
日本電気株式会社 コーポレートコミュニケーション部
シニアマネジャー(企画統括)中島英幸氏
ディー・エイチ・エル株式会社 人事本部
オーガニゼーションディベロップメントマネージャー 牛島仁氏
グリー株式会社 ヒューマンリソース本部長 中西一統氏
株式会社インテリジェンスHITO 総合研究所 主席研究員 須東朋広

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO 総合研究所 研究員 田中 聡
株式会社インテリジェンスHITO 総合研究所 研究員 森安 亮介

※肩書きは当時のものです

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