ホーム > 調査・研究 > 研究活動 > ミドルの未来

研究活動

全て
  • グローバル人材マネジメント
  • タレントマネジメント
  • ミドル
  • チェンジマネジメント
  • キャリアマネジメント

ミドルの未来

ミドル3

55歳定年制が一般的だった高度成長期では、45-55歳とは職業人生を締めくくるキャリアの集大成にあたる時期でした。しかし70歳まで働くことを前提とすると、45歳は折り返し地点を過ぎたばかりの時期にすぎません。ミドルが転換期を迎える今、ミドルのキャリアデザインやミドルマネジメントはどうあるべきなのでしょうか?

- 委員会
第4回 議事要旨
『ミドル本来の強みをいかに活かすか』

2012.10.02

ミドル躍進に向けて、企業は何をすべきだろうか。ミドルが躍進するためには、ミドル本来が持つ強みが組織の中で発揮されている状態が望ましい。しかし、現状その強みが最大限発揮されているとは言い難い。ミドル世代が持つ強みとは何なのか?そして、それらが発揮されていない理由は何なのだろうか?
本委員会では、ミドル世代が本来持つ強みについて議論を行った上で、その強みの発揮を阻む要因や対策について議論を行なった。

ミドル世代が持つ強みについて

ミドル世代が本来持つ強みとは何か。本委員会では、経験の有無が優位性につながる能力は何か、という観点から議論を行なった。結果、ミドル世代が持つ強みとして人間関係構築力やファシリテーションスキル、技能継承力などが挙げられた。

・人間関係構築力
顧客と深い信頼関係を構築し関係性を維持する能力は、経験を重ねることで熟達していく。例えば、初めて会う顧客からも信頼を得て継続的な関係に発展させる力、顧客と相対し顧客課題を引き出す力、相手の機微をはかる力などについては経験や人間的厚みがものをいうであろう。これらは若手には出せない領域だと言える。
また、社内外に人的ネットワークを構築し外部にブレーンを持つような力についても、やはりミドル世代に軍配が上がるはずである。こうした人的ネットワークを活用することで、顧客課題に対して迅速かつ的確に対応できることもミドルの持つ強みであろう。

・ファシリテーションスキル
ここでいうファシリテーションスキルとは、会議運営術のような狭い意味ではない。まずは人の意見を肯定した上で、その意図や背景を引き出したり、言葉の定義を正確に把握する力。そして、自分の経験に照らして意味付けをする力といった要素を含む。こうした質問力や情報を引き出す術、コンテキストを読み取る力、そして自身の価値観から意味づけを行う力についてもミドル世代に優位性があり、且つ現在の企業に求められる能力であろう。

・技能継承力
組織が持続的に発展していく上で、蓄積された技能やナレッジを次世代に継承していくことは欠かせない。豊富な経験やナレッジを培ったミドル世代は、それらを後進にしっかりと伝えることで組織を活性化させるような役割が求められる。暗黙知を形式知化したり体系化して後進に継承する力は、今のミドル世代に求められる能力である。

ミドル世代の価値発揮を阻む要因とその打開策について

組織の中でなぜミドル世代の強みが発揮できないのか。本委員会で指摘された要因は、役割意識に徹することができていないという点である。例えば、人間関係構築力を活かし顧客と深く親密な関係性を築く役割は、企業にとって非常に貴重であろう。しかし、例えばマネジメント層だった社員がメンバー層に変更した場合、その役割に徹することが出来ないケースが多い。これには2つの理由が考えられる。1つは役割を認識しているにも関わらず、それに徹することができないということ。そしてもう1つは、本人がその役割に気付いていないということである。

前者について、役割意識を持っているにも関わらず、それに徹することができない要因としてしがらみの存在が挙げられる。「昔面倒をみた」「あいつは俺の下だった」といった過去の経緯や人間関係、自身のプライドなどによって役割に徹することができないといったものである。
後者の、役割を認識できていない理由として、第3回で議論したように、「役割期待をしっかり伝えられていないのではないか」という問題点が考えられる。各ポジション・各役割について、企業側の期待が一般的な役割期待を持ったままとなっているのではないだろうか。個々のポジションごとにその役割期待をしっかりと伝えるとともに、本人自らもそれに気付けるような場が必要となる。

では、しがらみを断ち切ったり、役割意識を持つために企業はいかにすれば良いのだろうか。本委員会では下記のような3つの方向性が示された。

・環境をリセットすることでしがらみを断ち切る

しがらみを断ち切るためには、今までの組織や環境をリセットし、新しい組織や環境をつくることが一つの手である。本委員会では3つの企業事例が紹介された。1つは顧客深耕をミッションとする新たな組織にミドル層を集めた結果、ミドル活性化や顧客満足度向上に成功したという事例。2つ目は全従業員に対しペアを組み、互いにコーチングすることで組織風土改革に成功した事例。そして3つ目はサードプレイスなど年齢・役職が関係ない場を設定することで個人の課題発見に寄与できたという事例である。いずれも、旧来のしがらみがリセットされたことや明確なミッション・役割が個々人に与えられたことなどが成功要因だと考えられる。

また、そもそも採用や育成などが役割によって区分されている組織においては、役割意識を阻害するしがらみは発生しない。新卒一括採用に代表されるように、採用時点で役割を区分していないこともしがらみを発生させる温床になっているのではないだろうか。

・個々人が役割意識に気付ける場を醸成する
役割意識を持つために、社員が自ら気付く場や仕掛けも重要である。本委員会ではその一歩として人事評価に透明性をもたせ、本人にきちんと伝える必要性が指摘された。個人にどのような役割が期待され、その役割期待に対し現状どの程度貢献できているか。そういった評価を適切に行い、情報を開示することで、本人が気付きを持つということである。実際、グローバル企業においては評価等を開示し、降格や退出も含めて評価を徹底することで、役割意識やその貢献に対する危機感を醸成しているケースもみられる。
日本企業においては、従来こうした人事情報はむしろ隠す傾向にあった。これは組織力や社員の長期コミットメントを維持する面では有効であった。しかし、役割意識や自身の価値を認識できずに、しがらみを生む温床にもなっている。

・マネジメント層のマインドを変える
年齢やしがらみではなく、組織目標や役割にフォーカスするために、人事が着手すべき施策はタレントマネジメントの発想をマネジメント層へ浸透させることである。タレントマネジメントは組織の目標や組織が求める役割に焦点を合わせた上で、個々の能力に着目し、組織の価値発揮を図るものである。あくまで組織から求められる役割と個々の能力に注目するため、年齢やその他しがらみとは関係なく人材活用を行う一手だと言える。一般的にはマネジメントされる側への研修等をよく目にするが、組織全体の意識を変えるためには、むしろマネジメントをする側のマインドを変えることが、効果的なのではないだろうか。

日時:2012年10月2日(火)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 会議室

参加者:
法政大学大学院政策創造研究科 教授 諏訪康雄氏
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ 執行役員 人事部長 工代将章氏
経済産業省 大臣官房秘書課 総括補佐 梶川文博氏
日本電気株式会社 コーポレートコミュニケーション部
シニアマネジャー(企画統括) 中島英幸氏
ディー・エイチ・エル株式会社 人事本部
オーガニゼーションディベロップメントマネージャー 牛島仁氏
グリー株式会社 ヒューマンリソース本部長 中西一統氏
株式会社インテリジェンス 取締役兼専務執行役員 小澤稔弘
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員 須東朋広

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 田中 聡
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 森安 亮介

※肩書きは当時のものです

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メルマガ登録はこちら
    ※メールマガジン 配信停止をご希望の方は、こちらへお進みください。