ホーム > 調査・研究 > 研究活動 > グローバル人材マネジメント

研究活動

全て
  • グローバル人材マネジメント
  • タレントマネジメント
  • ミドル
  • チェンジマネジメント
  • キャリアマネジメント

グローバル人材マネジメント

グローバル人材マネジメント3

グローバル経済化の進展、新興国市場の拡大などを背景に、日本企業のグローバル経営に向けた動きはますます加速しています。日本企業がグローバルに躍進する企業へと進化するために、これまでの日本型人材マネジメントの何を変え、何を残すべきなのでしょうか。

- 委員会
第1回 議事要旨
『日本企業におけるグローバル人材マネジメントの問題点』

2011.12.22

<要旨>

問題の本質
経営のグローバル化に直面して、日本企業のグローバル人材マネジメントの有効性が低く、国際競争力を高められていないことが問題視されている。その問題の本質は、変革の組織的要件である高次ケイパビリティが機能していないことである。
・同質的で変化を嫌う組織文化
・画一的で全体管理的な人材マネジメント
・学習しない個人

上記によって引き起こされる問題
上記要因によって、①組織能力の硬直化(経営資源の陳腐化と変化に対応しない組織ルーティンによるオペレーションケイパビリティ)と②ダイナミックケイパビリティの機能不全を招いている。

改善策
高次ケイパビリティを活かすための方向性として、下記3点を挙げる。
・多様性を受け入れ、同質的な組織文化を打破すること。
積極的に外国人留学生を採用することや、グローバルへ優秀人材を配置させること
・年次管理を廃止して、個別性を重視した人材育成やプランドアサインメント(≠ローテーション)を行うこと。
・仕事の難易度とリスクを意識したストレッチアサインメントを行うこと。

フレームワーク
(コンティンジェンシーモデルとダイナミックケイパビリティモデルを参考に)

gm_gijiroku_01kai_01

<要旨詳細>

日本企業におけるグローバル人材マネジメント上の問題点

経営のグローバル化に直面して、日本企業のグローバル人材マネジメントの有効性が低く、国際競争力を高められていないことが問題視されている。では、現在の日本企業の特徴とはどのようなものか。コンティンジェンシーモデルとダイナミックケイパビリティモデルを複合したモデルをフレームワークにして、以下論点を整理する。

<外部環境・組織目標>
ICTの発展や知識社会化によって、グローバル競争が一層熾烈化している。またグローバル競争のルールも、従来のようなプロダクトやプロセスなどの改善志向型からビジネスモデル自体の変革という革新志向型へと変化している。
こうした不確実性が高いグローバルマーケットに対して、日本企業ではビジネス戦略が不明確、また組織内への浸透が不徹底といった問題がある。

<企業内部特性:「組織構造・文化」「個人属性」「マネジメント」>
日本企業では新卒一括採用や内部人材育成、長期安定雇用といった日本型雇用システムによって、世界的にも極めて特異的な同質的人材によるハイコンテクストカルチャーが醸成されてきた。そうしたカルチャーによって、外部環境の変化を柔軟に受け入れられない組織文化も特徴的である。また人材マネジメントの観点では、日本企業は一人ひとりの人材を個ではなく、集団として捉え、年次別に管理して人材育成する特徴がみられる。また、変化に対して否定的な組織文化の影響もあり、新しいことよりも正しいことを行う人材を重視する減点主義的な人材評価が行われている。
こうした組織風土や人材マネジメントが、個人属性を規定するという負のスパイラルが働いている。つまり、変化を好まない同質的な組織風土や減点主義的な人材評価を行う人材マネジメントの環境下では、変化適応力の高い人材や成長意欲の高い人材は育ちにくい。特に、人材マネジメントをつかさどる人事や組織文化に多大な影響力を持つミドルマネジャーにもそうした人材が増えることで、より一層組織としての学習力が低下している。

<ダイナミックケイパビリティ・ケイパビリティ・組織有効性>
日本企業が中核ビジネスを改善しながら、効率的に成長させようとする上では、上記のような特性は効果的に機能した。しかし、そうした改善競争時代から革新競争時代へとグローバル競争のルールが変わりゆく中、上記のような日本企業の特性はビジネス成長の足枷となる。
つまり、いまの日本企業の多くは、過去の成功をもたらしたケイパビリティが柔軟性を失った状況にあり、環境変化に適応できないと考えられる。そのため、ケイパビリティを絶えず創造・拡大・修正する能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が必要になるが、それが十分に機能するためには、組織としての学習能力が高められていることが前提にある。
同質性の確保を重んじてきた日本型人材マネジメントによって、変化適応力や学習能力の低下を招いたことが、ケイパビリティの硬直化、またダイナミックケイパビリティの機能不全を起こし、結果として、外部環境の変化に対して適合できず、グローバル競争力の低下に繋がっているのではないだろうか。

今後の方策
一定の同質性を確保しながらも、多様性を重視した人材マネジメントを行う必要がある。そうすることによって、外部環境の変化に柔軟な組織文化が醸成されるとともに、組織文化によって成長のために自ら学習する人材が生まれ、組織としての学習が促進される。そうした組織学習が既存の組織能力を高めるだけでなく、外部環境に適応し、組織のコア・リジディティ化(※)を防ぐダイナミックケイパビリティの働きを促進する効果を高めることで、不確実性の高いグローバルマーケットでのビジネス成長を高めることとなる。

※コア・リジリティ化とは,過去の成功を生み出し競争優位の源泉となっていたケイパビリティが柔軟性を失って環境変化に適応できず,逆に弱みになってしまう現象。

留意点
日本企業の人材マネジメントの全てが世界で通用しないことはない。置かれたビジネス環境やビジネスモデル・企業の成長フェーズ、更にはバリューチェーンによっても適したグローバル人材マネジメントの型は異なることに留意する必要がある。

日時:2011年12月22日(木)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 会議室
参加者:
早稲田大学 政治経済学術院 教授 白木三秀氏
一橋大学商学部准教授 島貫智行氏
株式会社日本総合研究所 調査部長 チーフエコノミスト 山田久氏
アジレント・テクノロジー株式会社 取締役 人事・総務部門長 島田智氏
コーチジャパン ヴァイスプレジデント 人事部 島村隆志氏
HOYA株式会社 アイケア事業部 人事部長 内海将隆氏
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員 須東朋広氏

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 田中聡
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 森安亮介

※肩書きは当時のものです

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メルマガ登録はこちら
    ※メールマガジン 配信停止をご希望の方は、こちらへお進みください。