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キャリアマネジメント

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キャリア自律の必要性は十数年以上前から叫ばれています。しかし「自己責任」という名のもとキャリア開発の主体者が過度に個人だけに委ねられてしまっているのではないでしょうか。個人のみならず企業にとってもキャリアマネジメントの必要性が高まる中、企業にはどのような役割が求められるのでしょうか?

- 委員会
第5回 議事要旨
『個人視点と企業視点から捉えた「学びマトリクス」』

2013.12.16

本研究会では、これまでキャリアを「学びの軌跡」として捉え、「ビジネスパーソンの学び」を「能力開発行動」と「未来成果重視」の高低によって定義される4つのゾーンに着目して議論を重ねてきた。なお、「未来成果」とは、自分の担当仕事領域で本質的に達成しなければならない価値を意味する。そこで、本会合では「学びマトリクス」を個人視点と企業視点に分けて整理した。

個人から見た「学びマトリクス」(学びモード)

個人視点から捉えた「学びマトリクス」では、4つの象限は「学びのモード」として見ることができる。学びのモードとは個人の学習態度と言い換えることができる。なお、「モード」という言葉が示唆するように、仕事内容や職場環境など状況によって大きく変容するものである。ある一時点をスナップショットで切り取った際に、個人はどういう学びのモードを有しているのかを示すツールである。また、それぞれのモードに対する評価はあくまで個人によるものであり、企業の論理を排除するために、可能な限りニュートラルなネーミングを施している。

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企業から見た「学びマトリクス」(5タイプの人材特性)

前述のとおり、「学びマトリクス」を個人から見れば「学びのモード」を表すツールと言える。一方、企業から見れば、人材育成・人材開発の視点から個別に適切なキャリア開発支援を行うための可視化ツールとなる。本研究会では、様々な切り口の中から「世代」を選択し、20代の「若手」と40代の「ミドル」に分けて、各ゾーンに位置づけられる人材の特徴について議論した。

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ポイント(1):中間層「指示待ち人材」の存在
前述の「学びモード」では、二つの軸によって整理された4つのモードを提示した。しかし、企業の立場から社員を可視化し、それぞれを4つの象限に位置づけようとした場合、いずれにも該当しない層の存在が浮かび上がってくる。それが「指示待ち人材」である。
厳密には統計的な検証が必要となるが、特に日本企業の場合、指示待ち人材の割合が多いのではという仮説が提示された、「指示待ち」という言葉から否定的な印象を与えがちだが、組織が変革を必要としない“平時”にはむしろ組織の屋台骨として機能する層である。職務の未来成果に対する重視度や能力開発行動の有無は、会社や組織の方針・指示に沿って変化するという意味で主体性は持たない。入社間もない新人や若手の時期に多い特徴があるが、これまでビジネス環境が安定していた大企業のミドル層にも多くみられる。

ポイント(2):企業から見た世代による捉え方の違い
「若手」と「ミドル」が同じ象限に位置づけられていても、企業から見れば両者に対する見方を変える必要性がある。その必要性が顕著な第1象限、第3象限、第4象限について以下に詳述する。

第1象限の場合
第1象限の人材は、一見すると多くの企業が渇望する理想的なタイプである。ただし、第4回会合でも議論したように、第1象限の人材が実践する「合目的的な学び」は予定調和な環境変化には適応できても、不確実な環境変化に対応して自己変革するための「幅の広さ」を担保できない可能性がある(詳細は第4回議事要旨を参照)。そこで、本研究会では、キャリアの節目に第2象限への移行を繰り返しながら連続的スペシャリストとして成長するキャリア観の必要性を提示した。以上第1象限を整理すると、若手期には自律的に成長するプロフェッショナルタイプ、ミドル期には学びの吸収力を高めながら、自己変革するプロフェッショナルタイプの姿が見て取れる。

第3象限の場合
第3象限において、若手は「評論家」、ミドルは「実践家」という表現を用いている。一般に実務経験が乏しい若手の場合、失敗や挫折経験が少なく、自分の保有能力(=潜在能力≠発揮能力)に過剰な自信を持ったり、専門性を高める必要性を認識しない傾向がある。それゆえ、能力開発行動に目を向けようとせず、結果として環境や他者に対して評論的になることから「評論家」と名付けた。一方、第3象限のミドルは豊富な実務経験を積み、仕事の仕方や進め方に自分なりの型を有している特徴を持つ。そのため、未来成果のために新たな能力開発は行おうとはせず、過去の経験による持論を重んじる傾向になる。本研究会では、実務経験(特に成功体験)を重んじることから「実践家」と名付けた。

第4象限の場合
第1象限と異なり第4象限の人材は、一見すると多くの企業が問題視するタイプである。しかし、それぞれの人材が置かれた環境や状況を無視して一色単に問題視扱いすることはできない。ビジネスの第一線で活躍してい著名な経営者が新人時代、第4象限を彷徨っていたという事例を挙げれば枚挙に暇がない。特に、職能資格制度を敷く日本企業の場合、新卒は「総合職」として採用されるため、希望した職種に配属されることが約束されていない。入社後まもなく理想と現実とのギャップに苛まれ、リアリティショックを経験することも稀ではない現状から、第4象限の若手を「モラトリアム」と名付けている。一方、ミドル期のそれは意味合いが異なる。特に大企業の中で、「機会平等・結果平等」が重んじられ、雇用不安の危機を感じることなく今まで組織に忠誠を尽くしてきたタイプという特徴から「危機欠如人材」と名付けた。

「学びマトリクス」を用いたキャリアマネジメントのススメ

これまで「学びマトリクス」の各象限について、個人・組織の視点から解説してきた。それでは、企業は「学びマトリクス」をツールにして、個人のキャリアに対し、どのような働きかけを行っていくべきなのだろうか。本研究会では、これまでの議論を総括し、「学びマトリクスを用いたキャリアマネジメントのあり方に関する提言(仮)」をまとめた。

象限間の変遷(キャリア)には幾通りものパターンが想定されるが、ここでは能力開発行動の有無を境界に、上象限と下象限に二分して議論を行った。なお、ここで未来成果重視の有無を境界にして整理しない理由は、それが市場環境やビジネスモデルの変化に応じて大幅に変更する可能性を有しているためだ。または仕事そのものが消失する可能性すらある。これまで担当職務において本質的な価値だとされていたことが数年後には全く価値を持たなくなるということも日常的な事態になることを考えれば、唯一環境変化の不確実性に耐えうる資本は「学習の吸収力(知識・考え方の幅)」であり、そのための能力開発行動と言えるのではないだろうか。

議論を戻すと、能力開発行動の有無を境界に上象限と下象限に二分すると、さらにポジティブな変遷パターンとネガティブな変遷パターンに整理することができる。ポジティブな変遷パターンとしては下象限から上象限に移行するパターンと上象限で維持するパターンが挙げられる。一方、ネガティブなパターンとしては、上象限から下象限に移行するパターンと下象限で維持するパターンが挙げられる。そこで、両変遷パターンに対して、影響を与える組織要因と個人要因として考えられるものを整理した。例えば、前者の変遷を促す組織要因としては、変革における失敗を許容する風土や外部にベンチマークを置くなど組織的吸収能力を強調する風土などが挙げられる。一方、個人要因としては、専門性を高めようとするマインドや過去の成功体験をリセットし、新たな知識や考えを積極的に取り入れる学習棄却能力の存在が挙げられる。

日時:2013年12月16日(月)18:30~21:00
場所:株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 会議室

参加者:
服部 泰宏氏(横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院(兼)経営学部 准教授)
亀島 哲氏(厚生労働省 人道調査室 ハローワークサービス推進室 室長)
田中 潤氏(株式会社ぐるなび 執行役員 管理本部 兼 人事部門長)
福井泰光氏(MHDモエヘネシー ディアジオ株式会社 常務取締役人事総務部長)
島田 由香氏(ユニリーバ・ジャパンHD株式会社 取締役本部長)
川口公高氏(株式会社ミスミグループ本社 人材開発室 副ゼネラルマネジャー)
酒井 之子氏(コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社
マーケティング本部教育研修部 担当部長)
須東 朋広 (株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 主席研究員)

事務局:
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 田中 聡
株式会社インテリジェンスHITO総合研究所 研究員 森安 亮介

※肩書きは当時のものです

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